リサーチ

2021.01.28

働き方における2020年の振り返りと2021年の展望

コロナ禍は働き方をどう変えた?

コクヨ株式会社では2020年12月、「2020年の振り返りと2021年の展望」をテーマに、大手企業のワーカー約300人を対象にWEBアンケート調査を実施した。2020年は、新型コロナウイルス感染拡大により、多くの人が新しい働き方や生活を強いられた。この1年にワーカーは何を考え、今後に向けてどんな期待を抱いているのか。調査結果を解説する。

2020年ならではのワークスタイル

今回の調査では、下記3つの軸で調査しました。

①2020年にメディアやビジネスシーンで話題となった施策・ツールの活用頻度および満足度
②2020年の「働く」・「学び」の新しいチャレンジ状況
③2021年に会社に期待すること

2020年、コロナ禍をきっかけにビジネス環境が激変し、ほとんどの人は何らかの形で働き方の変化を迫られました。調査結果では、状況が日々変わる中で新しいワークスタイルに挑んだワーカーの実情や試行錯誤が浮き彫りになっています。



オンライン会議システムは
約7割の活用率

2020年には、コロナ禍に伴って多くの企業がテレワークを実施しました。社内メンバーや取引先、社外のパートナー企業と対面せずにやりとりする必要性が出てきたことから、オンラインコミュニケーションツールの活用頻度も急上昇しました。

調査でも、活用頻度が高かった施策・ツールとして、「テレワーク」のほか「オンライン会議システム」や「社内チャット・SNS」が上位にランキングされています。

感染拡大を背景に、急速にテレワークが広まったことで、思うように進んでいなかった日本の働き方改革が一気に10年進んだ、とも言われています。図らずも新型コロナウイルス感染拡大によって体験したこのテレワークという新しい働き方は、今後も一つのワークスタイルとして定着するでしょう。

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業種によってテレワークの活用頻度に
差が生まれている

しかし気になったのは、会社でテレワークが導入されているにも関わらず、「まったく活用していない」と答えた人が2割近くいたことです。さらに業種別に見ると、サービス業や教育・医療・福祉業で、テレワークの制度をまったく活用していない人が約3割みられました。

業種別でテレワーク活用率に差が出るのは、その業種の業務特性だからしかたがない、と言ってしまえばそれまでです。ただし、これだけテレワークが普及している状況下で、「テレワークを活用したくても業務上活用できない」ワーカーの中には、「意に沿わない働き方を強いられている」と感じている方も少なからずいると推測できます。

テレワークは、基本的には多様な働き方を促進するための施策です。企業側では、テレワークを活用して一人ひとりが快適に働けるよう、業務フローを見直したり、組織文化を醸成することが求められます。



パートナーやクライアントと一緒に
働き方を進化させる

今回の調査で、活用率か約7割と最も高かったオンライン会議システム。このことからも、対面で行っていた会議や打ち合わせの多くがオンラインに移行したことが伺えますが、その活用頻度を部署別に比較してみると、興味深い事実が浮かび上がってきます。

「社外の方とオンラインで打合せ」と「顧客とオンライン商談・ヒアリング」の2項目で、営業部署では4人に1人が「まったく活用していない」と回答。また、技術・開発部署でも、2~3割の人がこの2項目をまったく活用していませんでした。

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営業や技術・開発は、社外とやりとりする頻度が比較的高い部署です。それでもオンラインでのコミュニケーションをまったく行っていない人もいるということは、たとえ自社でオンラインを推進していても、相手先の企業やパートナーが対面重視であれば、オンライン化は進められない。すなわち、テレワークの推進は自社だけの問題ではなく、周りも巻き込んでいく必要がある、ということです。

コロナ禍が続く中で、今後は営業活動や打ち合わせ、ヒアリングにオンラインを取り入れていくことは必須です。関係企業や取引先を巻き込みながらICTやインフラ投資、セキュリティ対策などを進め、一緒に働き方を変えていくことがより重要になってくるのではないでしょうか。



これから活用頻度が伸びるのは
オンラインホワイトボード

2020年に話題となった施策・ツールを少しでも「活用した」と回答した人には、使ってみたうえでの満足度も教えてもらいました。このランキングでは、「稟議・決済のオンライン化」や「オンライン上の経理処理」などが、活用頻度における順位に比べて上位にきています。つまり、「試してみたら使いやすかった」と実感した人が多いことになります。これらの項目は、いったん制度やインフラを整えてしまえば、活用促進はスムーズにいくと考えられます。

もう一つ注目したいのは、オンラインホワイトボードの活用満足度です。活用頻度は少ないものの、満足度は決して低くありません。オンラインホワイトボードは、アイデア創出を目的とした会議で使われることが多いツールです。今後、オンラインでのアイデア出しの機会は増えていくでしょう。活用頻度が上がれば、使い勝手もさらに改善されて満足度も高まることが予想できます。



オンラインのメリットは
個人の学ぶ意欲も刺激

2020年には、多くの人が今までとは異なる環境で働くことになりました。その中で、働くことに対して「新しいチャレンジができた」と感じたワーカーが約5割みられます。例えば「新しい働き方・業務にチャレンジした」という声は半数で、『海外出張をせずにプロジェクトを進める新しい取り組みにチャレンジできた』など、オンラインを活用した働き方に挑戦したという声が目立ちました。

学ぶことに関しては、4割超の人が「チャレンジできた」と回答しています。内訳を見ると、オンライン学習にチャレンジした人が約3割と多くを占めていますが、『時間ができたので資格試験の勉強ができた』などテレワークによって生まれた時間をうまく活用した人もみられます。

コロナ禍をきっかけに、ビジネスや学習ツールのオンライン化が加速しました。2020年はワーカーにとって、新しい知識やスキル、学び方を身につける節目の年となったのではないでしょうか。

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ただ一方で、新しい働き方や学びにチャレンジしなかった・できなかった人もみられます。「コロナ対応でそれどころではなかった」といった理由を挙げた人もいますが、気になったのは、『学んだところで大して評価されないから』といったネガティブな声も上がったことです。企業としては、学びを評価する仕組みをつくり、従業員のエンゲージメントに訴えかけていくことが求められます。



テレワークによって生まれた物理的距離は
社員への強い働きかけで補う

2021年に自社に期待することとして、コロナ関連の内容以外では、「経営陣のビジョン発信」や「上司からの声掛け・サポート」といった声が多く挙がりました。

テレワーク中心の業務が続く中、仲間との気軽なコミュニケーションが減ったことで孤独を感じたり、コロナによる経済的不安を感じている人も多いでしょう。そういった不安を払拭するためにも、会社からの力強い後押しを求めているようです。

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コロナ禍は不測の事態であり、ほとんどのワーカーは大きな変化を経験したはずです。しかし今回の調査からは、変化を前向きに受け止め、今までと違う施策・ツールを活用したり、新しい働き方や学び方にチャレンジしたりする力強い姿が見えました。

企業は、ワーカーの意欲を促し、戸惑いを和らげる施策をタイミングよく実施していくことが必要ではないでしょうか。

調査概要

実施日:2020.12.18-20実施

調査対象:社員数500人以上の企業に勤めているワーカー

ツール:WEBアンケート

回収数:309件(事前調査:2,211件)


【図版出典】Small Survey「2020年の振り返りと2021年の展望」

河内 律子(Kawachi Ritsuko)

コクヨ株式会社 ファニチャー事業本部/ワークスタイルイノベーション部/ワークスタイルコンサルタント
ワーキングマザーの働き方や学びを中心としたダイバーシティマネジメントについての研究をメインに、「イノベーション」「組織力」「クリエイティブ」をキーワードにしたビジネスマンの学びをリサーチ。その知見を活かし、「ダイバーシティ」をテーマとするビジネス研修を手掛ける。

文/横堀夏代