リサーチ

2021.01.27

デジタル化・働き方の多様化で高まる「ワークフローシステム」への関心

普及の第一歩はビジネスパーソンの理解促進

ワークフローシステムメーカー(ベンダー)として製品開発・販売を行う株式会社エイトレッドは、同社が運営するワークフロー総研を通じて、東京在住の会社員108名を対象に、『ワークフローに関するアンケート調査』を行い、2020年4月に調査結果を発表した。

ワークフローシステムとは

ワークフローとはWork(仕事)+Flow(流れ)の意で、もともとは業務プロセスや、業務について行われる一連のやりとりの流れや、それを図式化したものを指す言葉である。

ワークフローという明確な流れ図をつくることには、業務が可視化される、マニュアルとしても使える、業務の進行状況や問題点を把握しやすくなる、といった利点がある。煩雑になりがちな業務の申請プロセスなども、ワークフローの確立によって改善が期待される。

そして近年、IT化とともに「ワークフローシステム」を導入する企業が増えてきた。ワークフローシステムとは「業務手続きの電子化」、つまりワークフローの図式を事務処理の流れとしてコンピューターに組み入れて自動化することである。

組織における大抵の業務には、申請→上長の承認→決裁といった流れが存在するが、ワークフローシステムによる電子化で各ステップ間の引き継ぎが円滑化しスピーディーになるので、業務効率が格段に上がるのだ。



テレワークが主流になるなか
ワークフローシステムの需要が増す

申請・承認・決裁の方法がアナログだった企業では、新型コロナウイルスの影響で突如強いられた在宅ワークによって、業務が滞った経験をしたビジネスパーソンは少なくないだろう。電子化どころか、そもそもワークフローがしっかりと確立されていない企業では、在宅ワーク下で業務における承認・決裁の進捗状況がわからずに苦戦したケースも多いようだ。

ワークフローシステムが導入されると、オフィスでも起こりがちだった、上長が不在または離席中のため出直す...、などの無駄や面倒を省くことができ、上長はもちろん関連部署への共有も迅速になるし、テレワークとの相性も良い。

新型コロナ対策に加えて、人材不足や働き方改革への対応という観点でも、生産性や業務効率アップは重要であり、ワークフローシステムの必要性に注目が集まっている。



ワークフローへの期待は大きいが
具体的な理解はまだまだ

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『ワークフローに関するアンケート調査』で、自身の業務を効率化するためワークフローについて「知りたい」と答えた人は、7割近くにのぼったことから、多くのワーカーが業務効率化を重要視し、ワークフローの効果に期待していることが読み取れる。

ただ一方で、「知りたい」と思っているワーカーでも、「知る手段が充実していない」との答えが6割以上だったことから、期待はしていても、具体的に知る機会がまだまだ少ないことが伺える。

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ワークフロー(システム)の活用には
具体的な有用性の周知がポイント

今後テレワークがますます推進され、ニューノーマルな働き方が浸透していけば、デジタルで効率よく申請・承認・決裁ができるワークフローシステムへのニーズは高まっていくことが予測される。業務効率化の有効な手段として、デジタル化は避けて通ることができない。

しかし調査結果をみると、現状はワークフローの構築や改善に携わっている人は多いとはいえず、ワークフローやワークフローシステムの意義について、じゅうぶんに認知されているとも言い難い。

ワークフローシステムが導入されているのに、まったく活用されていないという話もある。活用されてない理由にはリテラシーの問題も考えられるが、システムの有用性が現場の人間に共感されていないことも大きいのではないだろうか。

ワークフローシステムを導入するにしても、まずは紙ベースでワークフローを構築するにしても、組織内で細やかな説明を行う、ワークフローについてのセミナーに参加する、個人が手軽に閲覧できるWebサイトや書籍を活用するといった手段で、ビジネスパーソンたちの理解を深めることが、ワークフローをビジネスの現場に普及させ、有用性を活かしていくための第一歩になるだろう。

【出典】ワークフロー総研(株式会社エイトレッド運営)『ワークフローに関するアンケート調査』

作成/MANA-Biz編集部