リサーチ

2020.11.27

新型コロナの影響でますます高まるインターンシップの重要性

約7割の企業が新卒採用に向けて現場での実施を予定

株式会社学情は2020年6月、全国の企業および団体を対象に、『2022年卒向けインターンシップに関する企業アンケート』を実施。新型コロナウイルスによるインターンシップの実施時期や実施方法への影響について調査を行い、492件の有効回答を得た。

新卒採用の一環としてインターンシップを行う企業が増えている。大学1年生から参加できるインターンシップを開催する企業や、インターンシップが単位認定される大学もあり、学生側も年々インターンシップ参加に積極的になっているようだ。

企業にとっても学生にとってもインターンシップの重要性が増すなか、新型コロナウイルスの感染が拡大。今後、新卒採用ためのインターンシップにどのような影響を与えるのだろうか。

株式会社学情が実施した『2022年卒向けインターンシップに関する企業アンケート』では、約7割の企業が、感染症対策をしたうえで「直接来社のインターンシップを予定している」と回答。オンラインのみで開催予定の企業は6.1%に留まっている。

通常の業務では感染拡大防止のために対面接触の機会を減らすことが是とされ、多くの企業でテレワークや会議・商談のオンライン化が進んでいるが、インターンシップは現場で実施する意向の企業が多いことがわかる。

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インターンシップの実施予定期間は「1日」開催が最多。「半日以下」と合わせると、短期間のプログラムを予定している企業が66.8%にのぼるが、複数日程のプログラムを予定している企業も増加傾向にある。
2020年1月に行われた『採用動向調査』と比較すると、「2日~3日程度」が2.2ポイント増、「5日~1週間程度」が4.4ポイント増。国内で感染者が発生し始めた1月から、その後の緊急事態宣言や自粛生活を経た6月までの間に、「実施日程を増やす」という判断に転じた企業があったということだ。

2021年卒採用では、3月採用広報解禁のタイミングで採用説明会やイベントにストップがかかり、企業の採用活動が難航。オンライン面接などを取り入れながら手探りで進められているという。新型コロナウイルスの長期化が予測されるなか、学生と直接会う機会や新卒採用の手段として、インターンシップの重要性が増していると推察される。

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調査結果からは、インターンシップの実施を感染リスクとして回避する傾向よりも、会社説明会や面接など、通常の採用活動が危ぶまれたときのためにも、インターンシップの重要性が増している印象を受ける。インターンシップは、不特定多数が集まる説明会などより感染症対策がとりやすく、学生とより深いコミュニケーションを図ることができる。年間を通して行うことができるので、日程を調整して少人数で実施することや、感染再拡大によってストップがかかったとしても、時期を改めて開催する等の対応が可能だ。

そもそもインターンシップを採用活動の一環として実施する企業が増えていた背景には、学生の人となりや仕事ぶりを入社前に見るためであり、学生にも企業のことをよく知ってもらうことでミスマッチを防ぎ、早期離職を減らすことが期待できるからだ。だからこそ、新型コロナウイルスの影響下でも、多くの企業が現場で実施するインターンシップを希望しているのではないだろうか。


調査では、インターンシップの開催時期を幅広く予定している企業に対し、学生側は学校が長期休暇に入る夏期のインターンシップを希望する傾向が強かったが、新型コロナウイルス長期化への懸念と収束時期が見えない現在の状況を考えると、その傾向も変わってくるだろう。新型コロナウイルスの影響でほぼすべてのイベントが中止となった2021年卒採用の教訓をふまえて、「直接会えるうちに会っておきたい」と考えるのは企業も学生も同じだ。実施時期を限定しないフレキシブルな採用活動としても、インターンシップへの関心はますます高まっていくかもしれない。

経済状況の悪化で新卒採用市場そのものが縮小すると、学生は希望する企業への就職を実現するため、企業はより優秀な人材を見極めるために、互いに密度の高いコミュニケーションを求め始める。感染症対策を万全にしたうえで新卒採用のためのインターンシップを実施し、アフターフォローなどにはオンラインも活用しながら、企業と学生が繋がっていけることを望む。




作成/MANA-Biz編集部