リサーチ

2016.06.17

「誰の意見が一番大切か」を知るのが仕事の成功の鍵!

他者の意見は役立つばかりにあらず

多人数、他部署の人間が関わるプロジェクトや仕事でトラブルが起きた時。あなたは、誰の意見を聞くべきか、誰に相談すべきか、悩んだことはないだろうか?

多くの人が関わる仕事では、多方面から意見や指示や注文が出てくる。それ故に困った事態になることもあるだろう。部署の管理職よりさらに上の役員が会議で現場を無視した指示を出してきたり、他部署の人間がこちらの事情も考えず無理な注文や意見を挟んできたりしたときなどだ。

このようなときこそ、もっともコミュニケーションをとるべき相手は、「直属の部下/上司」だ。

株式会社富士ゼロックス総合教育研究所が2015年2月に発行した、坂本雅明・編著『人材開発白書2015:ミドルの決断力』の中に、「関与が役立った相手と阻害した相手」というグラフがある。そこでは、直属の上司と立場が近い部下の意見が一番役に立つという結果が出ている。逆に、一番役立たなかった、むしろ阻害した相手は上司の上司/立場の遠い部下/他部門の人間となっている。  

 

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上司は、あなたの部署の機能をよりよく知っており、さらに包括的に組織を見ている人物。当然、真っ先に相談するべき相手だ。他部門との調整についても、直属の上司をうまく活用したい。例えば他部門の上司と交渉する場合も、対等な立場で話し合える上司同士で行ったほうが、物事がスムーズに運びやすい。また同時に、上司からネゴシエーションスキルを学ぶ機会にもなるだろう。同様に上司の立場であれば、部下が把握している具体的な仕事現場の状況や、部下同士の人間関係の情報などが役に立つ。このように、お互いの状況をよく知っている者同士の意見が、円滑に仕事を進めるうえで有用であることが、数字からもよくわかる。

 
興味深いのは、「上司の上司」が、仕事上の関係が強い立場にもかかわらず、阻害する存在と感じている人数が多いことだ。
確かに、直接の上司ではないので、コミュニケーションにおいて距離があり、ただでさえも意思疎通は難しい。そして、この立場の人たちはミドルマネージャーの上司、すなわち事業部長クラスにあたる。このクラスの人たちは複数の異なる部門を俯瞰で眺め、全体が最適に仕事を進行できるよう、調整しなければならない。だから特定の機能部門には不利になる意見を述べたり、の意見や提案を退けたりしなければならない時も多くある。これらが、事情が見えづらい下の立場からすれば「阻害」と受け取られるのだろう。
 
戦略などの重要事項は、決定段階では上司の上司まで上がっていく。「上司の上司」の意向もできるだけ確認しておき、下の立場ながらに全体像をある程度掴んでおくことが、「阻害」を最小限に防ぐために大切なのかもしれない。また、上司の上司である立場の人間も、自分の意見で部下が理不尽さを感じたり困惑したりしないよう、直属の部下を通して、コミュニケーションを大切にすることで、お互いに実行の協力が得られる関係が築けるはずだ。
 
 
 
(出典)坂本雅明編著(2015)『人材開発白書2015:ミドルの決断力』富士ゼロックス総合教育研究所をもとに作成。図表は同社より許可を得て転載。
 
 
作成/MANA-Biz編集部