仕事に役立つオノマトペ

2022.08.18

「パパッとやって」で部下を感じよく促す

オノマトペ14:仕事が遅い部下を注意するとき

部下のゆっくりした仕事ぶりを見ていると、つい「もっと早くやって」と言いたくなるかもしれません。でも、ストレートに言葉をぶつけるより、オノマトペで爽やかさをプラスして伝えた方が相手の心にスッと届きそうです。

「早くやって」と言われた部下は
遅いのを注意されたと感じてネガティブを募らせる
仕事が遅い部下を「もっと早くやってくれる?」と注意したらどうでしょう。人は言葉のもつ意味に反応するものです。「早くやって」と言われたら、「あなたは仕事が遅い」と上から目線で伝えられたと感じてネガティブな気持ちになるでしょう。下手をしたら、「どうせ自分は仕事が遅いですよ」と開き直ってしまう可能性もあります。
こんなときは「パパッとやってくれる?」といった感じで、オノマトペを使って注意するのがオススメです。「パパッ」はP音が明るい印象を醸し出すため、相手をイヤな気分にさせず、テキパキした行動へと導きます。
オノマトペで
言い換えるだけでなく笑顔も大切
「パパッと」だけでなく、「チャッチャッと」や「サクッと」などのオノマトペも、角を立てずに後輩や部下を注意したいシーンで向いています。
ただし、注意点が1つあります。伝えるときは、必ず笑顔で、爽やかな声を意識しましょう。いくら明るいオノマトペを使っても、イライラが態度や表情に出ていては、部下がおびえてしまうかも。笑顔で促すために、できるだけポジティブな感情を持ちながら声をかけてみましょう。

藤野良孝
FUJINO YOSHITAKA

朝日大学保健医療学部教授、早稲田大学オープンカレッジ講師。国立大学法人総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了後、文部科学省所管独立行政法人メディア教育開発センター研究開発部助教などを経て現職。スポーツやビジネス、日常生活で使われるオノマトペの効果について多角的に研究し、テレビやラジオ、講演などを通じて普及に努めている。著書に『運動能力がアップする「声の魔法」』①~③巻(くもん出版)、『脳と体の動きが一変する秘密の「かけ声」』(青春出版社)など多数。

文/横堀夏代 撮影/ヤマグチイッキ イラスト/岩並明里