仕事に役立つオノマトペ

2023.01.16

失言や勘違いは「ぶーっ」「しーっ」で伝える

オノマトペ17:思い違いやミスをさらっと指摘したいとき

他人の思い違いや失言、ミスを指摘するとき、ストレートに「今の、セクハラ発言です」「それ、違いますよ」などと言ってしまうと、相手が気分を害することも。上司に対しての場合は、なおさら気づかいが必要です。オノマトペとゼスチャーを使って、フワッと明るく伝えましょう。

やわらかいオノマトペで
相手の心にソフトに届く
他人が間違っていることを指摘しなければならないときは、まず両手の人差し指をクロスさせて、自分の顔の前に小さなバツをつくります。そのうえで「伊藤さん。あれはぶーっです」「あの内容は社外ではしーっです」などと明るめのトーンで伝えます。「ぶーっ」「しーっ」というオノマトペを加え、「あれは許容範囲を超えています」「社外秘ですよ」などと言うよりソフトな印象になり、さらにゼスチャーをすることで「これはダメなんだな」としっかり伝わります。
ミスや思い違いは、基本的にしたくてやる人はいません。さらっと伝えることで相手がダメージを受けすぎないように配慮することが大切です。上司が意識せずにセクハラ・パワハラ発言をしたときや、子どもを注意するときなど幅広いシーンで、このオノマトペは活用できます。
相手に準備を
させるオノマトペも活用
相手に言いづらいことを指摘・忠告しなければならないときは、「んーーーっとですね」と低い声で声をかけてから、がオススメです。
長く伸ばした低音を聞いた相手は、「何か言いにくいことを話そうとしているんだな」と直感的に理解して、心の準備をします。このようにワンクッション置けば、相手にとって耳の痛い話でもスムーズに伝えやすくなります。

藤野良孝
FUJINO YOSHITAKA

朝日大学保健医療学部教授、早稲田大学オープンカレッジ講師。国立大学法人総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了後、文部科学省所管独立行政法人メディア教育開発センター研究開発部助教などを経て現職。スポーツやビジネス、日常生活で使われるオノマトペの効果について多角的に研究し、テレビやラジオ、講演などを通じて普及に努めている。著書に『運動能力がアップする「声の魔法」』①~③巻(くもん出版)、『脳と体の動きが一変する秘密の「かけ声」』(青春出版社)など多数。

文/横堀夏代 撮影/ヤマグチイッキ イラスト/岩並明里