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2022.01.12

DXとは?いまDXが急がれている理由とは

知っておきたいトレンドワード4:DX

国際社会において優位性を確立するため政府も大々的に推奨しているDX。ITやAIとなにが違って、企業にとってなぜ重要なのか?

DXってなに?

DX(Digital Transformation / デジタルトランスフォーメーション)とは、「進化するテクノロジーによって人々の生活をより良いものに変化させる」という概念です。2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱しました。

学問的な用語としてうまれたDXの概念は、日々の暮らしや仕事など生活のあらゆる面が対象ですが、近年はビジネスの場面で語られることが多くなってきました。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

(2018年12月 経済産業省『DX推進ガイドライン』より)


これを要約すると、企業はデジタル技術を活用することで、新たな時代を勝ち残れるよう競争力を高めていくこと。DXは単なる「変換・変容(transformation)」ではなく、革新的なイノベーションにつながる「変革」として期待されているのです。




デジタルトランスフォーメーションはなぜDXと略されるの?

デジタルトランスフォーメーションは英語で「Digital Transformation」と書くので、頭文字をとるとDTですが、なぜDXと略されるのか...?それは、「Transformation」の「trans」には「cross」と同じような意味があり、英語圏では「cross」は省略して「X」とも書かれるため、「trans」を「X」に置き換えてDXと略されるようになりました。




DXとIT化の違いは?

IoTやAIなどのテクノロジーを活用するIT化とDXは似ているようですが、大きな違いがあります。

IT化やIT導入は技術としてITを活用することです。たとえば、帳簿を紙からデジタルに移行したり、連絡手段を電話や手紙からEメールやチャットツールに置き換えるのも、IT化の一つです。ただ、これだけではITを使って既存の業務プロセスが効率化されただけで、DXとはいえません。

DXはデジタル技術の活用によってビジネスモデルやサービス自体を変革させ、企業の在り方や働き方、ワーカーの生活にいたるまで、既存の価値観や枠組みを覆すほどの大きな変化を及ぼします。
IT化はDXに欠かすことはできませんが、経営戦略的にビジネス変容をさせることを見据えたうえでIT化を進めなければ、DXを実現することはできません。




今、なぜDXが注目されているの?

近年は、世界的に最新鋭のIT技術を活用した製品、サービス、ビジネスモデルが続々と生まれ、市場がめまぐるしく変化しています。そして私たちの生活もITの恩恵を多分に受け、ITによって生活スタイルをも変化しつつあります。
そんな変化の激しいこらからの時代を生き残っていくためにはDXへの取組みが急務なのです。


企業優位性の確保

DXの目的は、経済産業省の『DX推進ガイドライン』(2018)が示しているように、企業がIT技術の発展によって競走優位性を高めて事業を継続させることです。
企業間の競走が激化するなか、業務の効率化や生産性向上はもちろん、新規事業の展開などにも目を向けなければ、企業の存続は難しくなります。COVID-19の影響で収益が大幅に落ち、ビジネスモデルの大胆な見直しや新規事業の開拓が必要になった企業も多いはずです。事業継続計画(BCP)のためにもDXの推進は避けては通れなくなっています。



IT技術の進化

日進月歩のIT技術。少し前までは革新的だったAIも今では身近なものになり、お掃除ロボットや車の自動運転などにもAIが搭載されています。5Gによってネットワーク通信が高速化し、AIによるビッグデータの解析なども一般的になってきました。
最先端の技術を柔軟に取り入れられるかどうかは、今や企業の競争力に直結します。乗り遅れると、競合他社や新規参入企業に遅れをとる、顧客の意識やニーズの変化に適応できないなど、多くのビジネスチャンスを失うことに。IT技術の急速な進化と歩幅をあわせて、企業にも改革が必要なのです。



2025年の崖

経済産業省は国内でDXを実現させるため、2018年5月に「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を設置。現状の課題の整理と対応策の検討を行い、同年9月に『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』を発表しました。
老朽化や人材不足の問題が2025年を節目に顕在化して、システムの刷新が間に合わなかった場合の経済損失は年間最大12兆円にのぼるともいわれています。

2025年の崖とは

●既存のシステム(レガシーシステム)の老朽化に対して、デジタル市場の拡大とともに増大するデータを活用しきれなくなる
●メインフレーム(機関情報システムなどに使用される大型コンピュータ)の担い手の高齢化による世代交代の必要性が生じる
●テクノロジーの進化に伴って先端IT人材が不足する

その結果
●市場の変化に合わせてビジネスモデルを変更できず、デジタル競走の敗者になってしまう
●レガシーシステムの維持管理費が高額化して、業務基盤そのものが維持・継承できなくなる
●人材不足によってサイバーセキュリティや事故・災害によるシステムトラブルやデータ滅失などのリスクが高まる



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出典:経済産業省「DXレポート~ITシステム2025年の壁の克服とDXの本格的な展開~(サマリー)」



コロナを契機とした事業継続のあり方の見直し

このコロナ禍で企業に求められるのは、従業員や顧客の安全を守りながら事業を継続すること。そこで注目されているのがDXです。
国もコロナ禍における事業継続にはDXが必要不可欠と位置づけ、『DXレポート2』にまとめています。具体的には、テレワークシステムやオンライン会議システムの活用、クラウドストレージなどを利用した営業活動・業務プロセスのデジタル化、顧客対応の自動化・オンライン化(チャットボットなど)、従業員の安全や健康管理のデジタル化などを進めることで、安全確保と事業継続の両方を実現できるとしています。


作成/MANA-Biz編集部