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2021.12.20

SDGsとは?これだけは押さえておきたいSDGsの基本

知っておきたいトレンドワード3:SDGs

レジ袋の有料化など生活に密着した取り組みが活発になりつつあるSDGs。今や行政だけでなく企業や個人にも協力が求められている。SDGsの目標達成が急がれるのはなぜ? MDGsやESDとの関係性は?

SDGsってなに?

SDGsはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称。国連加盟193か国が2016年から2030年までの15年間で達成するために掲げた国際目標です。2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030年アジェンダ」に記載されています。

SDGsは17のゴールとそのゴール達成のための具体的な目標を169のターゲットとしてしめし、「地球上の誰一人取り残さないこと」を誓っています。より良い世界と地球の未来のために、発展途上国も先進国も世界が一丸となって取り組むべき目標なのです。

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SDGsがめざす17の目標とは?

SDGsがめざすのは、2030年までに17のゴールを達成し、2030年以降も「持続可能な社会」を実現させ続けることです。17のゴール(目標)は、「社会」「経済」「環境」の3つ分野と、その3つの分野と横断的に関わる内容で構成されています。

ゴール1~6:

貧困・飢餓・健康福祉・教育・ジェンダー・水・エネルギーなど、人間が人間らしく生きていくための「社会」に関する目標


ゴール7~12:

雇用・格差・経済成長・生活インフラなど、最低限の暮らしの保証からよりよい暮らしといった「経済」に関する目標


ゴール13~15:

気候変動問題・海と陸の資源に対して、人間だけでなく動植物が暮らす自然の持続可能性に関する「環境」についての目標


ゴール16~17:

「社会」「経済」「環境」の3分野すべてに関わる、暴力の撲滅・ガバナンス強化・投資促進・パートナーシップなどの目標


また、17のゴールごとに10個程度のターゲットがしめされ、具体的な数値や達成イメージを説明しています。ターゲットは全部で169あります。

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2021年SDGsの達成度ランキング、日本は何位?

各国のSDGsへの取り組みはスコア化され、達成度ランキングが毎年発表されています。2021年6月14日発表の最新ランキングで日本は193か国中18位。ただし、先進7カ国の中ではドイツ(4位)・フランス(8位)・イギリス(17位)に次いで4位。2019年(15位)、2020年(17位)と3年連続で順位を落としています。




MDGsってなに?SDGsとの違いは?

MDGsはMillennium Development Goals(ミレニアム開発目標)の略称で、2015年までに達成すべき8つのゴールと21のターゲットと60の指標からなる国際的な開発目標です。2000年9月に21世紀の国際社会の目標として、国連ミレニアムサミットで採択されました。

MDGsの具体的な成果には、途上国における貧困層の割合減少、初等教育就学率の改善、インターネットの普及率アップ、HIV新規感染者の低下などがあります。その一方で、二酸化炭素排出量の増加やジェンダー平等などに課題が残ったほか、貧困層と富裕層間、都市部と農村部間の格差拡大が問題視されました。

MDGsとSDGsの大きな違いは、MDGsは途上国の課題が中心だったのに対し、SDGsでは先進国にも共通する課題も含まれていることです。「誰一人取り残さない」世界の実現をめざして、MDGsの未達成課題とともに世界共通で達成すべき課題も加えて、ゴールやターゲットが拡大・細分化されました。

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ESDってなに? SDGsとの関係は?

ESDはEducation for Sustainable Development(持続可能な開発のための教育)の略称で、持続可能な社会の創り手を育む教育のことです。持続可能な社会を実現していくためには、一人ひとりが新たな価値観を受け入れて行動を変えていく必要があるからです。
ESDは2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議」で日本が提唱して以降、ユネスコを主導機関として国際的に取り組まれています。日本の学校では、2008年の学習指導要領からESDの考え方が含まれています。




SDGsへの取り組みが急務なのはなぜ?

産業の急速な発展や経済のグローバル化による環境破壊に対し、世界全体の課題として取り組むためにつくられたのがSDGsですが、ここ数年は大きな自然災害が全世界的に頻発するなど、環境の悪化が急速に進んでいます。


地球温暖化

今、地球温暖化の影響で自然災害が世界的に頻発しています。2015年に採択された「パリ協定」では世界共通の長期目標が示され、「世界的な平均気温上昇を産業革命前(1880年)に比べて2℃以下に抑えることを目標とし、1.5℃以下に抑制することを努力目標とする」とされました。

たった2℃の気温上昇ですが、人間と自然が共存し続けられる限界レベルといわれています。2℃の気温上昇によって、洪水や豪雨の増加、海面水位上昇による沿岸地域の消失、植物や動物の絶滅など多大な被害が予測されます。また水や食料の不足、熱中症や感染症の蔓延といった健康被害も懸念される極めて危険な状態になるのです。



プラスチック汚染

プラスチックは自然によって分解されませんが、9割ものプラスチックはリサイクルされず、毎年800万トン以上が海に流れ込んでいます。2050年の海には魚の数よりもプラスチックごみのほうが多くなるとの予測があるほどです。
プラスチックごみは劣化や破砕によって「マイクロプラスチック」と呼ばれる細かい破片となり、エサとともに鳥や魚の体内に取り込まれてしまうため生き物にとって大変危険です。私たち人間も魚介類を食べることでマイクロプラスチックが体内に入り、健康被害を引き起こすリスクがあります。




今、企業がSDGsに取り組む意義

「誰一人取り残さない」SDGsの目標を達成するためには世界中のすべての人の主体的な行動が不可欠ですが、社会の一部である企業の協力がなければ実現しません。

近年急激に悪化している環境問題の原因は産業の急速な発展にあり、これまでの企業活動はそういった発展の上にあります。環境問題が悪化の一途を辿っている今、何も手を打たなければ企業の存続が難しくなるかもしれません。また、世界の継続的な安定なくして企業の成長と発展もないでしょう。
これからは企業活動そのものが、人と自然の共存を持続可能にするものでなくてはなりません。そして、そういった企業の姿勢が企業の価値を左右するようにもなっていくでしょう。


作成/MANA-Biz編集部