リサーチ

2020.10.14

新型コロナウイルス感染拡大に伴い急増するリモートハラスメント(リモハラ)

約8割がテレワーク下で上司とのコミュニケーションにストレス

新型コロナウイルス感染症の影響により拡大したテレワークが、新たな“ハラスメント”が生まれている。ハラスメント対策の研修を専門にしているダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社が、2020年5月に実施した『テレワークにおけるハラスメントの実態調査』では、テレワーク業務で上司とコミュニケーションをしている会社員110名から回答が集まり、テレワークにおける課題と留意すべきポイントを明らかにした。

テレワークの導入によって出社が減ると、職場におけるハラスメントの機会が減少する可能性も期待されるが、「リモートハラスメント(リモハラ)」という新しいハラスメントが懸念されている。

<リモートハラスメントの例>
■セクハラ系
・オンライン会議やテレビ電話の画面に、室内の様子を映すことを求められる
・パジャマ等、オンタイムとは異なる服装になることを求められる
・化粧の有無や服装について指摘される
・1対1でのオンライン飲み会に誘われる

■パワハラ系
・業務に関する指導以外の説教をされる
・同居者(子ども等)の声や生活音について、不快感を示される
・行動や時間の使い方について、必要以上の説明を求められる
・過度なオンライン会議や、オンライン飲み会を強要される

ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社が、新型コロナウイルス感染拡大の影響でテレワークを経験するビジネスパーソンが急速に増えた2020年5月に実施した『テレワークにおけるハラスメントの実態調査』によると、テレワークにおける上司とのコミュニケーションで「ストレスや不快感を感じたことがある」という人は約8割。「常に仕事をしているかどうかの連絡や確認」、「オンラインでのプライベートに関する内容の質問」については、40%以上が「上司から受けたことがある」と回答した。

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在宅でのテレワーク時と出社時で、上司とのコミュニケーションによるストレスや不快感に変化があったかについては、「かなり増えた」と「少し増えた」の合計が66.4%。「減少した」はわずか3.6%に留まっている。

テレワークには、出勤ストレスからの解放、無駄な会議やミーティングの減少、家族と過ごす時間の増加、自分のペースで仕事を進められるなどのメリットがあるが、「上司とのコミュニケーション」においては、多くのビジネスパーソンがデメリットを感じているようだ。

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テレワークを快適にするため、コミュニケーション面で「上司に気をつけて欲しい点」や「直して欲しい点」を聞くと、「仕事とプライベートな時間の棲み分け」が、過半数の回答を集めて1位だった。3位の「コミュニケーション内でのプライベートへの介入」や5位の「仕事をするうえでの管理や束縛」も似た内容で、業務の遂行状況を昼夜問わず頻繁にチェックすることや、プライベートに足を踏み入れるような言動は控えたほうが良さそうだ。

2位の「チャットやメールでの言葉の使い方」や、4位の「オンラインによる会議やミーティングでの言動」については、雰囲気や微妙なニュアンスが伝わりにくいオンラインでは、対面のコミュニケーションよりも誤解を招きやすい側面もあるので、普段より気をつけておいたほうが良いポイントといえるだろう。

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新型コロナウイルスとの共存生活は今後も続くことが見込まれており、テレワークの継続が推進されている。また、新型コロナウイルス収束後も、享受してしまったテレワークのメリットを完全に手放すのは難しく、働き方改革の一環としても、今後ますますテレワークが進んでいく可能性は高い。

そのなかで、リモートハラスメント(リモハラ)は"新時代のハラスメント"として見逃せない課題だ。新型コロナウイルス感染拡大によって、多くの人がテレワークを経験したことを糧として、より良いテレワークの在り方を皆が考え、社会全体、企業、ビジネスパーソン個々の意識が高まっていくことを期待したい。


【出典】ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社 『テレワークにおけるハラスメントの実態調査


作成/MANA-Biz編集部