リサーチ

2020.09.24

新型コロナウイルス感染拡大でオンライン商談の普及が一気に加速

訪問営業とオンライン営業が共存する新しい社会に

新型コロナウイルス感染拡大によるオンライン化は、自社内の業務や会議だけではなく、対外的な商談にも波及している。ベルフェイス株式会社は、2020年4月30日~5月1日、全国に先駆けて緊急事態宣言が発令された7都府県(東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡)の経営者層・営業職1,000名を対象として、『オンライン商談に関する実態調査』を行った。

日本のビジネスシーンには、訪問文化・対面文化が根強く、「営業は足を使ってこそ」という価値観が主流だった。ICTの発達を受けて、web会議システムやオンライン商談システム等も世にあらわれ始めていたが、広く普及するには道程が遠い印象だったのではないだろうか。対外的な商談どころか、自社内の会議をオンラインで完結することにさえ、抵抗のあった企業が多かったと思われる。


ところが新型コロナウイルスの影響により、対面をできるだけ避けることや、在宅勤務・テレワークが長期的に推奨される中、企業の営業活動を継続させるために、「オンライン商談」の必要性が増している。


オンライン商談システム『bellFace』の開発・販売事業を行うベルフェイス株式会社が実施した『オンライン商談に関する実態調査』によると、2020年4月1日~5月1日時点で、オンライン商談を導入している企業は52%。そのうち48.5%が「新型コロナウイルス感染症対策として、導入・実施を始めた」と回答していた。


また、以前から一部導入はしていたが、感染症対策として本格実施した企業も28.1%あった。新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、日本のビジネスシーンにおける「オンライン商談」の立ち位置が、大きな転換期を迎えたことがわかる。


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オンライン商談の導入にあたって、これまで企業やビジネスパーソンが最も懸念していたことは、"クライアントの反応"だろう。此方が導入したくても先方が渋って(または渋ることを懸念して)、導入に至らなかったケースもあったと推察される。


しかし、調査では63.1%が「営業先、取引先にオンライン商談を拒否されたことはない」と回答。新型コロナウイルスとの共存する社会では、より歓迎ムードが増すことが予測され、オンライン商談が普及するチャンスとも考えられる。


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では、訪問営業とオンライン商談では、成果にどれくらいの違いがあるのだろうか。訪問文化・対面文化を重視してきた日本の企業やビジネスパーソンにとって、最も気になるポイントだと思われるが、調査では下表の各項目の全てにおいて、「訪問と比べて成果は変わらない」という回答が圧倒的に多かった。


また、「移動コストの削減」や「リードタイムの短縮」という項目では、「上がった」という回答も目立つ。各項目で「下がった」という認識も少なからずあるものの、今後しばらくの間は最優先事項が「感染拡大防止」であるため、ネガティブな認識が減少していく可能性もある。


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オンライン商談は、場所の制約がなくなるだけでなく、スピーディーに商談を進められるので、クライアント側にもメリットがある。調査では、「システムの音声や映像の安定感に不安がある」、「対面のコミュニケーションよりも空気感がはかりづらい」という声もあったが、新型コロナウイルスを転機に「新しい生活様式」・「新しい働き方」として、そんなデメリットも受け入れよう、受け入れるしかない...という風潮が高まってきていると考えられる。


ただし、オンライン商談を活用している場面について、「既存顧客へのフォロー」は44.6%にのぼったが、「新規顧客との初回商談」では16.2%に下がっていた。ファーストコンタクトにおける訪問・対面の意義については、認識しておく必要があるだろう。


新型コロナウイルス感染拡大の影響で、一気に普及が加速しそうなオンライン商談。今後の継続利用については、これから検証や判断が進んでいくと思われるが、せっかく訪れた機会だ。オンラインで完結することはオンラインで、対面が望ましい場面では対面で...という使い分けが、最も理想的なのではないだろうか。


今後、企業やビジネスパーソンには、リアルな営業が必要な場面の見極めや、"オンラインコミュニケーション力"が、新たに求められてくるだろう。




【出典】ベルフェイス株式会社 『「オンライン商談」に関する実態調査


作成/MANA-Biz編集部