仕事に役立つオノマトペ

2020.08.26

行動をオノマトペでシミュレーションする

オノマトペ2:仕事をテキパキこなすイメージング

TO DOリストがいっぱい、たくさんの仕事をテキパキこなしたい…。効率よく終えられるかどうかは、始める前のシミュレーションにかかっています。

オノマトペを駆使して
今から取り組む仕事をイメージする
仕事を始める前に、「午前中に報告書を仕上げて、13時から社内ミーティング」などと1日の行動を頭の中でイメージしたり、TO DOリストをつくったりすることはよくあります。このような行動によって、仕事への意欲が高まるのを実感した経験をもつ人も多いのではないでしょうか。
さらに自分のやる気を引き出すには、ここにオノマトペを加えるのがオススメです。例えばデスクワークなら、「ピーンと背筋を伸ばして」「メラメラした気持ちでササっと机に向かう」「パパッと書類を見て」「サクサク報告書を書いて」「パパッと確認する」といった具合です。つまり、自分が今から取り組む仕事を、オノマトペを使ってイメージするのです。
オノマトペを使ったイメージングで
やる気スイッチが入る
脳科学者の篠原菊紀先生は、オノマトペを使って行動を表現した場合と、使わずに表現した場合で、脳活動がどう変わるかを調査する実験を行いました。その結果、オノマトペを使って表現した方が、脳の線条体という部位が活発に働くことがわかりました。
線条体は、行動と快感を結びつける働きを持ち、「やる気」をつかさどる部位といわれています。つまり、オノマトペを使って仕事をイメージすることでやる気がわき、作業をサクサク片づけていくことができると考えられるのです。
やるべきことがたくさんある日は、作業を始める前に目を閉じて、オノマトペを駆使しながら仕事の手順を具体的にイメージしてみましょう。チーム全体の効率を上げたいときは、朝のミーティングなどで、作業イメージをメンバーと共有してみるのも有効ではないでしょうか。

藤野良孝
FUJINO YOSHITAKA

朝日大学保健医療学部教授、早稲田大学オープンカレッジ講師。国立大学法人総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了後、文部科学省所管独立行政法人メディア教育開発センター研究開発部助教などを経て現職。スポーツやビジネス、日常生活で使われるオノマトペの効果について多角的に研究し、テレビやラジオ、講演などを通じて普及に努めている。著書に『運動能力がアップする「声の魔法」』①~③巻(くもん出版)、『脳と体の動きが一変する秘密の「かけ声」』(青春出版社)など多数。

文/横堀夏代 撮影/ヤマグチイッキ イラスト/岩並明里