リサーチ

2019.05.05

人工知能が人類を超える日。その時あなたは...?

進まぬAI導入、近づくシンギュラリティ

近年、職場へのAI(人工知能)導入が話題になっている言葉は聞くものの、まだ現実味が湧かない職場へのAI(人工知能)導入のが正直なところだろう。人間のように考えるコンピューターとしてのAIは実現していないとはいえ、すでに音声認識や画像認識などの「識別」、数値予測やマッチングなどの「予測」、表現生成やデザインなどの「実行」といった機能は実用レベルに達しており、AI搭載家電や囲碁・将棋などのゲーム、車の自動運転、検索エンジンによる広告など、活用の場は広がっている。それに、AIが人類の知能を超える技術的特異点「シンギュラリティ」は2045年と予測されており、20年後に迫っているのだ。その時、人類に残されている仕事はあるのだろうか?

AIを現時点で導入している・検討していると言う企業はごくわずか。95%近くの企業が「現時点で導入予定なし」と答えている。しかし、業種別にみると「導入済・導入検討中」の割合が高いのは「金融業、保険業」、次いで「医療、福祉」、「建設業」となっている。大量のデータを扱う金融業や保険業では株価予測や保険料算出に加え、窓口業務の代替などで業務の効率化が期待される。また、医療福祉分野ではAIを用いた診断や遠隔治療、病院経営などが見込まれるだろう。建設業では建機の操縦、施工計画の提案、工期算出などが考えられる。
 
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AI導入・導入検討中と回答した企業がAIに求める役割・機能の上位を占めるのは、「既存の業務効率・生産性を高める役割・機能」、「既存の労働力を省力化する役割・機能」など。革新的なビジネスを生み出すというよりは、今ある仕事の効率化及び省力化を担わせる目的でAI導入を進めているようだ。
 
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さらに、AI導入後、従業員数はどう変化するかを企業に尋ねたところ、正社員の職種別調査では下記のような結果が出た。「減少する・やや減少する」の割合が高かったのは、営業職・事務職。資料やリストの作成、メールの自動返信など、一部業務のAIへの置き換えが進むと言うイメージが持たれているようだ。
 
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AIの活用が一般化する時代に従業員に求められることとして、「チャレンジ精神や主体性、行動力、洞察力などの人間的資質」、「コミュニケーション能力やコーチングなどの対人関係能力」「企画発想力や創造性」などが挙がっている。データや過去事例からは導き出せない、いわゆる“人間らしい能力”ということであろうか。ここではAIの活用分野と競合しない結果が出たことも興味深い。映画やドラマの世界では脅威として描かれがちなAIだが、人間から仕事を奪うライバルではなく、業務の効率化や省力化を担い、ヒューマンエラーを補完してくれる頼れる存在として、実社会に取り入れていくことが導入成功の鍵ではないだろうか。
 
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作成/MANA-Biz編集部