リサーチ

2019.04.17

徹底比較! 意識高い系フリーランス×忍耐強い会社員

何が変わる? 会社員とフリーランス

フリーランスと会社員の、年収・満足度・仕事に対する意識などを比較調査した「プロフェッショナルな働き方・フリーランス白書2018」。フリーランスと会社員の実態を調査した結果、働き方を変えたことで生じた違いは年収や労働時間ではなく、仕事に対する考え方であることが見えてきた。

実は、両者には労働時間、年収のボリュームゾーンも大差がない。月あたりの労働時間を見ると、両者ともにボリュームゾーンは、140時間以上200時間未満で、200時間以上働く人の割合は会社員とフリーランスは同程度だ。ただし、フリーランスの方が短時間労働の割合が高くなっているのは、定年退職者や主婦、学生など短時間で働くすきまワーカーを含むためである。
 
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年収比較でも両者のボリュームゾーンや年収分布は似通った数値となった。すきまワーカーを含むフリーランス全体では年収100万円未満が多い一方、1000万円超の収入を得る層も存在するなど年収分布にばらつきが見られるものの、会社員とフルタイムフリーランスでは年収分布はほとんど変わらない。
 
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しかし、仕事への満足度はすべての項目においてフリーランスが高い。驚きなのはフリーランスで不安視されがちな「社会的地位」や「収入」においても、会社員より高い満足度を示していることだ。自らの選択に責任を持ち納得した上で働いているという自律意識が、フリーランスの満足度を押し上げているのかもしれない。
 
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フリーランスの仕事への高い満足度の要因は、彼らの過去にあるという推察もできる。実は、今回調査したフリーワーカーフリーランスのほとんどが会社員経験者。つまり、会社員時代と比較して、今の自分が置かれている状況を評価しているとも言える。会社員時代の苦労を思い出し、あの頃よりは…という気持ちも作用しているのではないだろうか。
 
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両者の仕事に対する意識を比較すると、フリーランスの意識の高さが顕著だ。「現在の働き方を続ける/成功させる上で重要だと思うもの」の多くの項目で、フリーランスの方がさまざまな能力や資質が必要であると認識しているようだ。自分一人で何役もこなさなければならない、厳しい環境に置かれているからこその考えであろう。その中で唯一会社員の方がフリーランスより重視しているのが「忍耐力」。組織の中での調整力が求められ、思うに任せないことが多いサラリーマン生活の気苦労がにじんでいるようで興味深い。
 
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フリーランスの仕事に対する満足度の高さや会社員に見劣りしない収入などは、これから副業やフリーランスへの転身を考える会社員にとっては後押しとなるポジティブな結果かもしれない。自分の仕事にやりがいを感じ、生き生きと働くフリーランスは確かに魅力的だ。ただし、会社員の仕事に対する満足度の低さは、会社組織に所属しているという安心感から不満が言いやすいという環境要因もあるのではないだろうか。自分の仕事に対する意識を変えられるか、フリーランスにつきまとうリスクをどう捉えるか、ビジネスパーソンそれぞれの価値観が問われるところだ。
 
 
【出典】
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2018

 

作成/MANA-Biz編集部