リサーチ

2019.01.09

残業削減で収入ダウン? 働き方改革に潜む落とし穴

コストカットか生産性向上か。残業削減は何のため?

働き方改革の一環として企業が取り組みを進める残業時間の削減。しかし、株式会社あしたのチームが行なった企業の残業時間削減に関するインターネット調査によると、残業削減がかえって従業員の不満の種となり、生産性を下げる要因となることがわかってきた。その理由をアンケートから読み解いてみよう。

会社の残業削減の取り組みについて、経営者と従業員でその満足度に大きな違いが表れた。80%を超える経営者が満足しているのに対し、満足していると答えた従業員は50%を切ったのだ。
 
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従業員の満足度が低い理由の一つが、残業削減の取り組みによって収入が減ったことのようだ。残業削減の取り組みにより収入に変化があったかを聞いたところ、収入が減ったという人は全体の約30%に上った。これは給料に占める残業代の割合が高いことによる大幅な給料ダウンという可能性も示唆している。残業を減らし生産性を高めたにも関わらず、収入が減るのではモチベーションも上がらない。
 
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それでは残業削減の取り組みにおいて、従業員の満足度を上げるために何が必要なのだろうか。インターネット調査で、「残業削減について、あなたは会社からどのような評価がされるべきだと思いますか」と、人事評価について聞いたところ、従業員が望むのは残業時間にかかわりなく個人の生産性のみで評価すること、また、半数にのぼる人が残業削減の達成そのものを評価すべきと回答している。
 
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生産性を維持もしくは向上させながら残業削減を達成するには、従業員の仕事への取り組み方の工夫や努力を伴う。その姿勢や結果を人事評価に反映してほしいというのが従業員側の言い分である。確かに残業削減による業務効率化への貢献を人事評価制度に反映することも必要であろう。しかし、残業削減は目的ではなく、あくまで生産性向上の手段である。また、残業削減を達成したところで、その結果が現場の期待に反するものでは、仕事へのモチベーションにも影響する。企業側は数値目標を残業削減のみで設定するのではなく、残業削減によって最終的に何を達成したいのかまでを含めて目標とすることで、残業削減はあくまでも通過点でしかないことを理解してもらい、納得してもらったうえで取り組みを促進していく必要があるのではないだろうか。
 
 
【出典】株式会社あしたのチーム 人事の調査
作成/MANA-Biz編集部