リサーチ

2018.12.12

多様な働き方を実現するテレワーク...実は不自由?

足かせは労務管理? 運用ルールに課題あり

テレワークとは、ICT等を活用した、時間や場所の制約を受けない柔軟な働き方。「テレワーク」という用語は一般に浸透しつつあるようだが、企業での運用実態はどうなっているのか。勤務先のテレワーク制度を利用している雇用型テレワーカーへの調査から読み解いてみよう。

会社からテレワークが認められている場所として最も多いのが自宅である。次いで自社の他営業所となっており、それ以外の場所は10〜20%台にとどまった。企業側が社員の所在を確認しやすい特定の場所での業務が一般的なようである。
 
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また、自宅でテレワークをする際に、上司などへの申請承認が必要という回答が約50%。そのうち、申請・承認時期を1週間前までとするものが約40%を占めていた。
 
 
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さらに、始業・終業時刻の上司への報告義務が課されている割合も50%を超えた。企業側がテレワーク導入に際して課題としていることの一つが、適正な労務管理ができるかどうか。実際の就業状況が直接確認できないぶん、こうした申請や報告を求めることになるのだろう。
 
 
 
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今回の調査では、多くのテレワーカーが「自由に使える時間が増えた」「通勤時間・移動時間が減った」「業務の効率が上がった」などのプラスの効果を感じている一方、「仕事時間(残業時間)が増えた」「業務効率が下がった」といった本来のテレワーク導入の目的と逆行するマイナスの効果も挙げられていた。自宅でのテレワークでは育児や介護などで仕事を中断せざるを得ず、結果的に長時間労働になってしまうケースもあるのだろう。とはいえテレワークの場合、働く時間や場所が自由なだけ、ワーカー自身に個人裁量が求められる。会社側は労務管理にとどまらず、テレワーカーの仕事効率を高めるマネジメント方法を探り、ワーカーへのサポートを行うことも必要だろう。また、職場の上司や同僚とのコミュニケーションの取り方にも課題がある。テレワーカーからは「職場に出勤している人とコミュニケーションが取りづらかった」という意見が挙がっている。ビデオ会議やチャットなど、業務内容に合ったコミュニケーションツールをうまく活用することで、テレワーカーとオフィスワーカーがお互いにストレスなく業務を進められる環境を整えることが、テレワーク普及の後押しになるのではないだろうか。
 
 
【出典】「平成29年度テレワーク人口実態調査」(国土交通省)
作成/MANA-Biz編集部