リサーチ

2017.06.09

MOOC利用の鍵は"コミュニケーション"

対面授業や意見交換に高まる期待

MOOCこと「Massive open online course」。大学の講義等を無償のオンライン講座で学べるサービスで、2012年にアメリカで始まり、今や世界中に広まっている。日本では取り組みが開始されてから3年が経ったが、現在の利用傾向と、利用者がサービスに何を求めているかを見てみよう。

日本でのローンチから2年半が経過した2016年時点でのMOOCに関する「NTTコム リサーチ」の調査では、MOOCを「知らない」と答えた人は全体で78%と依然大半を占めた。MOOCの利用経験者は5%と、昨年よりは微増しているものの、まだ認知度には課題があるといえる。
 
ビジネスパーソンのMOOCに対する意識に着目して見てみよう。社会人に対して、学生時代に専攻した科目について「学び直し」の有無を聞いたところ、経験者は16.7%、未経験者は83.3%だった。今後、学び直しをしたいと望んでいる人は、経験者と合わせると約半数(46.9%)であることがわかった。学び直し経験者にその理由について聞いたところ、「職業上必要な科目だった」という回答がトップを占めた。
 
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学び直し未経験者に学び直しの希望手段を聞いてみると、「WEBでの無料講座」と「書物」での自主学習が2大トップとなり、今後ますますMOOCのニーズが高くなる可能性を示唆する結果となった。
 
また現在、日本版MOOCの独自の取り組みである、講師から直接授業を受けられる有料の「対面学習コース」が約4割の講座で提供されている。依然として、学び直しは無料でしたいというニーズが多い中、対面学習への受講意向のアンケートでは、「是非受講したい」「できれば受講したい」が合計で7割を超え、昨年からさらにポジティブにとらえる人が増えている傾向にある。
 
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対面学習コースに期待することとして、「わからないことを直接先生に質問できる」「同じテーマに興味を持つ受講生と議論ができる」など、他人とのより直接的なコミュニケーションを望む人が多いことが見てとれる。
 
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加えて、MOOCを利用する場合に、インターネット上で意見交換・質問などをする場が必要と感じる人は約7割、カフェなどでの対面の意見交換を希望する人が半数近くになるなど、「学び直し」において人とのコミュニケーションが重要な要素だと考えている人が多いことも明らかになった。
 
MOOCなどのオンライン学習システムを使う際も、従来の学習法と通じる「コミュニケーションを重視した活用法」が効率的に学習効果を高める秘訣といえそうだ。
 
 
 
(出典)「大学のオープン化に関する調査結果(2016)」(NTTコム リサーチ/一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会)をもとに作成
 
作成/MANA-Biz編集部