リサーチ

2016.07.12

誰も知らない課長の悩み

職場環境の変化がダイレクトな負担に

上司と部下との板挟みというつらいポジションにある課長。その課長たちが、今、頭を悩ませていることとはどんなことだろうか。

いわゆる「中間管理職」という立場の課長は、部下の管理に神経を使う一方、成果を求める上司のために、プレーヤーとしても動かねばならない。経営と現場をつなぐ企業の要ともいえる重要なポジションなだけに、頭を悩ませることも多い。
 
学校法人産業能率大学が2016年3月に、従業員数100人以上の上場企業で働く課長を対象に、職場の状況や課長自身の意識などに関するアンケート調査を行った。そこに表れた課長たちの悩みを検証すると、現在の日本の職場環境が浮き彫りになってくる。
 
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『課長として現在抱いている悩みについて』複数回答で尋ねたところ、トップは「部下がなかなか育たない」というもので42.7%。次いで「業務量が多すぎる」(35.8%)、「部下の人事評価が難しい」(27.3%)、「部下が自分の指示通りに動かない」(19.8%)などが続き、「部下」に関する悩みが上位を占めている。そしてこれらの項目はどれも前年度よりポイントが増えている。やはりプレーヤー兼務という現状もあり、どうしても部下の育成に力を注げないジレンマがありそうだ。実際、「プレーヤーとしての活動は、あなたのマネジメント業務に何らかの支障がありますか?」という問いには、「とても支障がある」が13.2%、「どちらかと言えば支障がある」が45.1%と、半数以上の課長がその事実を認めている。
 
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また、近年は「部下」そのものの性質も変化している。『あなたの職場の部下について、あてはまるものをすべて選択してください』(複数回答)という質問には、「自分よりも年上の部下がいる」が最も多く48.8%。非正規社員や嘱託社員など、働き方が多様化する現在では自然な結果といえるだろう。また、2012年、2010年と比較して、「育児休業中の部下がいる」(8.1%)、「介護が必要な家族を持つ部下がいる」(7.2%)、「外国人の部下がいる」(6%)、「介護休業中の部下がいる」(0.6%)が増加傾向にあるのも、現在の職場環境の変化を示すようで興味深い。
 
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「3年前と比較した職場の変化」(複数回答)という質問を見ても、「メンタル不調を訴える社員が増加」(16.1%)、「非正規社員が増加」(11.8%)、「家庭の事情で、労働時間・場所に制約がある社員が増加」(7.8%)、「外国人社員が増加」(6.5%)など、部下のマネジメントに関わる項目が、過去よりポイントが増えている。
 
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課長の悩みは尽きないようだが、管理する職場や部下の多様化に柔軟に対応しながら、プレーヤーとしての自身の負担を、部下をうまくマネジメントして分散していくことが、今後必要とされてくるのだろう。
 
 
【出典】「第3回 上場企業の課長に関する実態調査」(学校法人 産業能率大学)をもとに作成
作成/MANA-Biz編集部