トレンドワード

2023.09.14

急速に進化を遂げている、コンタクトレステクノロジーとは?

知っておきたいトレンドワード25:コンタクトレステクノロジー

近年その利便性が広く認識され、注目が高まるコンタクトレステクノロジーについて、業界別の導入事例やメリット・デメリット、今後の展望について解説する。

コンタクトレステクノロジーとは

コンタクトレステクノロジーとは、「タッチレステクノロジー」「非接触技術」とも呼ばれる物理的な接触、対面をすることなくコミュニケーションやサービスの提供を可能にする技術のこと。バーコード決済や交通系ICカードなど、古くは1980年代からテクノロジーの開発は進められていましたが、新型コロナウイルスの流行によって急速にニーズが高まりました。



C

コンタクトレステクノロジーの導入事例

新型コロナの流行後、さまざまな業界で「非接触」「非対面」の技術として急速に導入が進められています。どのようなコンタクトレステクノロジーが活用されているのか、業界ごとに事例を紹介していきます。

小売り・外食産業

非接触ニーズと人手不足もあいまって、タブレット端末でのオーダーや、セルフレジ、アプリ決済やタッチ決済が定着。さらにロボットによるデリバリーや、カメラ・センサーによる人の追跡や商品認識、無人決済技術を利用した無人コンビニ、AIによる採寸や試着などの技術が取り入れられるようになりました。その結果非接触だけでなく、省人化やレジの混雑解消、多様な決済方法への対応も実現できています。


オフィス

非対面でも業務を継続できるオンライン会議が定着したほか、顔認証での入退室記録やエレベーターなどの非接触タッチパネル、センサーによる照明スイッチなども取り入れられ始めています。


製造業

もともとは生産性向上を目的に導入されたロボットによる生産や遠隔からの設備の操作、AIやセンサーによる品質管理などが、結果的に非接触化も実現しています。


教育

文部科学省によって進められていたGIGAスクール構想(※1)と、新型コロナウイルスによる一斉休校によってオンラインツールを活用した学習が浸透。例えばオンライン授業やタブレット端末の活用、AIによる学習支援、遠隔操作による実験や実習、メタバースなどを活用したバーチャル教室などの技術が取り入れられるようになりました。メタバースの教育分野での活用は、海外ではすでに浸透しています。

(※1)GIGAスクール構想とは、全国の児童・生徒1人に1台のコンピューターと高速ネットワークを整備する文部科学省の取り組み。


医療

新型コロナウイルス感染拡大でもっとも急速にコンタクトレステクノロジーが進んだ分野でしょう。遠隔診療システムや調剤薬局の宅配ボックス利用、診療予約や診察のオンライン化、AIによる医療診断のほか、ロボットによる手術や医療施設内のロボットによる医療機材などの自動配送など、高度な技術はますます進化しています。




コンタクトレステクノロジーの
メリット・デメリット

コンタクトレステクノロジーを取り入れることによるメリットにはどのようなものがあるのか、またデメリットはあるのかについても見ていきます。

コンタクトレステクノロジーのメリット

利用者側には、コロナを経て高まった接触に対する抵抗感を受け、衛生面での安心感があります。また待ち時間や手間を省略できるといった利便性や効率面のメリットも大きいでしょう。一方事業者側には、人件費などのコスト削減、オンラインで遠隔地から接客や作業ができるようになることでの人手不足の解消、効率性の向上による顧客満足度の向上などのメリットが考えられます。


コンタクトレステクノロジーのデメリット

利用者側には、不正アクセスなどセキュリティ上の不安や、高齢者のようなテクノロジーに不慣れな人にとっては使い方を理解するまでに時間がかかるといったデメリットが挙げられます。
一方事業者側には、初期費用がかかる、トラブルが発生した際に専門知識が必要、従業員に対して使用方法などのレクチャーやマニュアルが必要になる、セキュリティ面でのリスクがあるなどのデメリットが考えられます。また、仕事をするうえで長期間に渡って非対面の状態が続くことで従業員間に物理的距離が発生し、対面コミュニケーションが不足することによる弊害が出ないかも注視すべきでしょう。




コンタクトレステクノロジーの
今後の展望

新型コロナウイルス感染対策としてコンタクトレステクノロジーの利便性の高さを実感することとなった結果、今後も世界的に発展していくことが見込まれます。特に人材不足が叫ばれる小売業や飲食業では、モニター内でのアバターやロボットによる接客で効率化が実現できるはずです。

また、AR、VRの活用で非接触での試着や商品体験、遠隔地からのスムーズな購買なども実現できるでしょう。ウェアラブルデバイスやバイオメトリックス認証などさまざまな技術の進化によって、さらにコンタクトレスでありながらリアルな顧客体験と、より高度なセキュリティと利便性の両立が進んでいくでしょう。
今後はドローンによる輸送やロボットによる自動配達、自動車の自動運転なども進んでいくと予測され、物流業界の人手不足解消の打ち手として期待が寄せられています。

コンタクトレステクノロジーは一時的な感染拡大予防のために使うものではなく、なくてはならない利便性の高い技術として進化を遂げ、今後さらに利用の幅は広がっていくでしょう。コンタクトレステクノロジーを取り入れることで、効率化、省人化、高セキュリティ化など、さまざまな課題解決につなげることができるはずです。



作成/MANA-Biz編集部