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2021.08.30

ビジネス文書の書き方は社内・社外でどう違う? 基本ルールと押さえておくべき12のポイント

基本のフォーマットを理解し、受け取る相手の立場に立って書く

企業では社内外に向けて多くの情報伝達を文書によって日々発信している。ルールから逸脱したビジネス文書を出してしまうと、会社やビジネスパーソンとしての自分の信頼に関わることにも。社内文書、社外文書の書き方としてそれぞれ何を押さえればいいのか、書き方のポイントを解説する。

社会人に必須のスキル!ビジネス文書とは?

「ビジネス文書」とは、ビジネスにおいて情報の伝達や意志確認のために作成される文書のことです。正しく文書化することによって、記録として無用な誤解やトラブルを避けることができる証拠として活用できたり、同じ内容を一度に多くの相手に、正確に伝達できることができるなどのメリットがあります。
ビジネス文書ではビジネス上の用件を相手に素早く的確に伝え、「言った・言わない」や「伝えたつもりが伝わってない」などの行き違いが生じることを避けることが必要となります。




ビジネス文書には3つの種類がある

ビジネス文書は伝達する相手や目的によって次の3種類にわかれます。

社内文書

社内文書は社内の人に向けて発信されるビジネス文書で、報告書、議事録、稟議書、申請書などがあり、業務を円滑に行うため社内での伝達を確実に行うためのものです。



社外文書

社外文書は取引先や得意先など社外の人に向けて業務文書として発信されるビジネス文書で、依頼書や案内状、照会状などがあり、受信者を尊重した礼儀正しい文書であることが重要です。



社交文書

社交文書はあいさつ状、お礼状、見舞状、招待状など、社外の人に向けて儀礼的な役割としてお祝いやお悔やみの気持ちを伝えるためのものであり、より格式を守ることが求められます。




ビジネス文書の書き方12個のポイント

業務の効率化や信頼関係の構築につながるビジネス文書を書くためには押さえておきたいポイントがあります。以下、1つずつ紹介していきます。


1.読み手の立場になり、文を書く

ビジネス文書を書くうえで大前提として押さえておきたいのは、誰に向けて書く文書なのかということです。
文書は人に伝えるためのもの。情報に誤りがないことはもちろんのこと、伝達先の相手の背景や関係をわきまえて、礼に尽くした表現をすることが大切です。
そのためには、ビジネス文書を書く目的を念頭に置いたうえで、読む相手の立場になって作成をするといいでしょう。相手の忙しさや関心度、伝えたい案件に関する知識や理解度を踏まえて長さや構成などを考えると伝わりやすい文書を書くことができます。



2.結論や最重要の内容を最初に明記する

ビジネス文書は、結論は最初に書くのが基本です。先に結論を知ることでこの文書を読む必要があるか判断できますし、結論を踏まえてそこに至った経緯や原因などを読めば理解度も高まります。時間のない相手ほど簡潔に結論を伝えることがビジネスマナーであり、正確に理解してもらえれば判断や求めるアクションも素早く対応してもらえることにもつながります。



3.シンプルでわかりやすく、簡潔に書く

ダラダラとした文章は内容を理解するのに時間がかかり、正確に伝えることが難しくなります。簡潔に、一文を短く区切ることを心がけましょう。大仰な修飾語や比喩などは必要ありません。できる限りシンプルになるよう余計な要素はそぎ落とし、改行や段落を区切って読みやすくする工夫をすることも効果的です。



4.原則として1つの文書には1つの用件

1つの文書の中に複数の用件が含まれていると、結局何をどうしてほしいのか伝わりにくくなってしまいます。一見で何についての文書なのか伝わるよう、1つの文書につき用件は1つに絞りましょう。



5.センテンス(一文)は短く、段落を分ける

一文は50~60字以内に収めるように区切ると理解しやすくなります。また、あまりぎっしり詰め込まれた文章は読む気が失せてしまいます。数行で段落を分けた方がまとまりで理解できるので親切だといえます。段落と段落の間には1行スペースをあけ、行頭は1字下げるなど余白をつくるようにすると読みやすくなります。



6.箇条書きを活用し、わかりやすく

要素が複数ある場合、文章で伝えるよりも箇条書きにした方が視覚的に理解しやすく、要素を見失いにくくなるというメリットがあります。例えばセミナーの案内をしたいのであれば、「日時」「場所」「タイトル」「セミナー内容」など箇条書きで並べると、書きながら抜け漏れがないか自分でも整理できます。
言いたいことの順番や伝えたい相手、最も重要な項目は何かなど頭の中を整理しながら書いていくようにしましょう。



7.5W3Hを意識して文書を構成する

私信と違いビジネス文書は正確に抜けもれなく伝えることが求められます。5W3Hの要素で構成を考えることで、必要事項がそろっているか確認しながら、相手に正確に伝えることができます。5W3Hとは以下の通りです。箇条書きで書き出した項目も5W3Hと照らし合わせて抜けもれがないか確認するといいでしょう。

・What 何を(課題)
・Why なぜ (動機)
・Who 誰に(対象)
・When いつ (時期、時間帯)
・Where どこで (場所)
・How どのように (手段)
・How Many どれくらい(規模)
・How Much いくら(価格)



8.事実と意見を区別する

誤解なく正確に伝えるためには、何が事実(ファクト)であり、それに対しての自分の意見は何かを明確に区別する必要があります。
判断する場面では事実が必要になる一方、改善策を検討したい場面では現場感覚を知るために意見を重視するなど、事実と意見のどちらの情報を求めているのかは相手の立場や状況によって異なります。
何を求められているかを把握したうえで、必要な情報を提示できるよう心がけましょう。



9.数字や具体例を用いて説明する

ビジネス文書は具体的かつ正確である必要があります。そのためできるだけ金額や日時、数量など客観的な数字で伝えるといいでしょう。「大幅な金額アップ」などあいまいな表現では受け手によって印象が違いますが、「前年比35%アップ」など数字を使うことで誤解を防ぐことができます。



10.文体や言葉遣いを統一する

文体や言葉遣いが不統一だと文書そのものに対して信頼感を損ねてしまいかねません。常体と敬体の混在などがないか必ずチェックするようにしましょう。箇条書きは端的に伝えるために常体を用いても構いません。
また社内用語や業界用語などを多用することで読み手にわかりにくくなっていないかなど、伝わる言葉になっているかという観点での確認も必要です。



11.正しい敬語を使う

正しい敬語は基本中の基本。間違った敬語を使ってしまうと社会人としての常識を疑われかねません。
社外文書で社内の人間に対して尊敬語を使っていないか、謙譲語の使い方を間違えて自分の立場が上であるかのような表現をしていないかなどは、ビジネスマナーとして確認するようにしましょう。



12.A4書類1枚に収まるように心がける

ビジネス文書は1枚が基本です。フレームを決めて1枚に収まるように必要な情報だけを端的に記載するよう心がけましょう。どうしても収まらない場合は別紙として分け、必ずページ番号を付与するようにします。




ビジネス文書の基本構造

ビジネス文書は以下のパーツで構成されています。


件名

ビジネス文書では、キャッチーなものである必要はなく、簡潔で内容を的確に表現し、何のための文書なのかを最初に理解できる必要があります。件名と内容で整合性があるか注意しましょう。



前文

作成する文書の内容や送付する相手との関係性を踏まえ、「頭語」「時候の挨拶」「感謝の挨拶」の順に書きます。「頭語」と末文の「結語」は必ずセットで使います。

〈頭語+結語〉 拝啓+敬具  謹啓+謹言

また、「時候の挨拶」とは、「新春の候」や「残暑の候」など季節や天候などに応じて季節感を表現する言葉です。ビジネス文書ではかしこまった表現(漢語調)を用いるようにしましょう。季節を問わない「時下」を使うことも多いです。
「時候の挨拶」「感謝の挨拶」ともに、いくつか定型文がありますWordソフトなどには「あいさつ文」の機能があるものもありますので、活用するのもいいでしょう。

〈時候の挨拶〉
新春の候、貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。
初夏の候、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。
晩秋の候、時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。

〈感謝の挨拶〉
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
平素は格別のご厚誼にあずかり、厚く御礼申し上げます。
過分なるご厚情を賜り、心よりお礼申し上げます。
ひとかたならぬご厚意に心よりお礼申し上げます。



主文

本題となる内容を書く部分です。「さて」「このたびは」といった起こし言葉のあとに続いて、結論とその理由、背景の順序で書きます。件名との整合性も意識し、何を必ず伝えなければいけないのかを見失わないように意識しながら、簡潔ながら正確に書くようにしましょう。



末文

用件に相応しい文で結び、最後に「結語」を右寄せで記載します。結びの表現も定型的なものがありますので、適切なものを選んで使うようにしましょう。

(頭語)拝啓
(時候の挨拶)残暑の候、貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。
(感謝の挨拶)平素は各段のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
(起こし言葉)このたびは、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇。
(結語)敬具




社内文書の具体的なフォーマット

社内文書には会社から従業員に向けて通知する文書や、従業員から会社に向けて提出する文書があります。同じ会社で働く身内に宛てた文書であるため、あいさつなどよりも簡潔でわかりやすい文章になるように心がけましょう。



社内文書の種類

社内文書の種類には、下記のようなものがあります。

・部署間や該当する社員へ連絡事項を伝達するための文書(例:「通知文」「案内書」「回覧文」など)
・上部へ連絡の伝達や指示を仰ぐための文書(例:「報告書」「提案書」など)
・会社の上層部や人事部からの伝達事項や指示を伝える文書(例:「通達書」「辞令」など)
・記録した内容を伝える文書(例:「議事録」など)



社内文書のフォーマット

社内文書の基本の形として以下のようなフォーマットがあります。


1.文書番号

効率的に文書管理するために通し番号をつけます。文書番号を右詰めで記載します。特に、連続して蓄積されるような文書を整理する際に役に立つのが文書番号です。
文書番号は会社によって表記が異なったり、文書番号を必要としない文書もあるので自社の表記ルールを確認しましょう。


2.文書の発信日付

文書を発信する日の年月日を右詰めで書きます。ビジネスでは元号を用いるのが一般的ですが、和暦を用いるか西暦を用いるかは会社の規定に従います。


3.受信対象者名

文書の受取人の会社名、部署名、職名、氏名、敬称の順に記します。複数の社員に向けて発信する場合は「社員各位」などの表現を使います。


4.文書の発信者名

発信者を所属名、氏名の順に記します。必要に応じて、会社名や所在地、電話番号やメールアドレスを追加します。


5.本文・記書き

用件を簡潔にまとめます。社内文書にはあいさつや尊敬・謙譲語は不要で、「です・ます体」で書きます。重要な内容や詳細は左右中央に「記」と記して箇条書きで記載していきます。


6.追伸内容

メインの伝達事項を補足する内容を記載する必要がある場合は、「なお、~」などを用いて追伸として書きます。


7.以上

内容に続きがないことを示すために「以上」と明記します。


8.担当者名・連絡先

発信者とは別に担当者がいる場合は、部署名と担当者名(名字)、連絡先を記載します。

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社外文書の具体的なフォーマット

社外文書には効率重視の観点からフォーマット化された書式があります。社外文書の目的は記録化にありますので、取引上の証跡を正確に残すためにも「誰が・誰に・いつ・何を」といった事実関係を明確に記載する必要があります。
必要なことをもらさず伝えるため、どの項目を盛り込む必要があるか確認し、明瞭簡潔に記載します。社名・担当者名や日付、金額の桁数、納品場所、付帯条件などの間違いがないか十分確認してから送付するよう心がけましょう。


社外文書の種類

社外文書には「注文書」「督促状」「照会書」「見積書」など取引に関連する業務文書のほか、「案内状」「勧誘状」など会社間の関係性構築のための文書があります。



社外文書のフォーマット

社外文書の基本形として以下のようなフォーマットがあります。


1.文書の発信日付

和暦または西暦を右寄せに記載します。文書整理のために文書番号を記載する場合は発信日時の上に記すようにします。


2.受信対象者名

正式名称で左寄せに記載し、組織名には「御中」を付けて「株式会社〇〇 御中」とし、個人名の場合はできるだけ役職名を付けて「部長 〇〇様」とするのが一般的です。複数の対象者宛てに発信する場合は、「お客様各位」「取引先各位」のように「○○各位」という表現を使います。


3.文書の発信者名

正式名称で右寄せに記載します。会社名、部署名、氏名のほか必要に応じて社印等を押印、所在地や電話番号、メールアドレス等連絡先を明記します。


4.本文

中央寄せでタイトルを書きます。何の文書か一目でわかるようなタイトルになるよう心がけます。本文は前文、主文、末文から構成されます。前文で「拝啓」などの頭語、時候のあいさつ、慶賀のあいさつと日頃の感謝の一文を書きます。
その後「さて」などの起語を用いて用件に入り、結論を先に述べるなど簡潔に要点を述べます。最後に結びの挨拶文を入れ、頭語に対応した結語を右詰めで記入して文書を締めます。


5.記書き

必要なこと、大切なことをもらさず伝えるため、箇条書きで要点を伝えます。記書きの締めとして最後に必ず「以上」を入れて伝達内容の終了を示しましょう。

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まとめ

ビジネス文書は正確な情報伝達を行うことでビジネスを円滑に進めるために活用するものであり、とりわけ社外文書は会社として発する文書であるため企業イメージを左右しかねません。
ビジネスパーソンとして信頼され、関係性の構築や業務効率化につながるビジネス文書を作れるようになるためには、日頃から多くの文書に触れて引き出しを増やしておくことが重要です。

また、土台となるのは相手の立場で読む姿勢です。形式ひとつとっても、機種依存文字が混ざっていないか、フォントや文字サイズは読みやすいか、ワンセンテンスが長すぎないか、連番は正しく通っているかなど、細部まで丁寧に確認しましょう。また、受け取った相手が、返信が必要か等この文書に対してどんなアクションを取ればいいのか迷わせないことも重要です。

今回お伝えした12のポイントも踏まえて、相手に正しく気持ちよく伝わる文書を作っていきましょう。



作成/MANA-Biz編集部