リサーチ

2021.01.25

2020年新入社員「入社後に会社のイメージが悪くなった」が20.3%

新型コロナウイルスが新社会人に及ぼす影響とは?

マイナビ転職は2020年7月~8月、同年4月に新卒で入社した新社会人(22~23歳の男女800人)を対象に、『2020新入社員の意識調査』を実施。その結果には、新型コロナウイルスが新社会人たちの意識に及ぼした影響や、企業への課題が浮き彫りになっていた。

「入社後にイメージダウン」が
昨年より7.9ポイント増

2020年度新卒新入社員の多くは、新型コロナウイルスの影響によって、入社式や研修の中止、入社直後からのテレワークなどを余儀なくされ、大きな不安とともに社会人生活をスタートさせた。例年とは大きく異なる状況のなかで、新入社員たちが会社に対して抱いた印象には、前年までとどのような差異があるのだろうか。

『2020新入社員の意識調査』によると、入社後に会社に対するイメージが「良い方向に変わった」という回答は25.9%で、昨年より3.0ポイント減。一方で「悪い方向に変わった」は、20.3%で7.9ポイントも増加しており、今年の新入社員は昨年と比較して、入社後に会社に対してネガティブな印象を持っていることがわかる。

4_res_171_01.jpg


感染症対策や変化への対応力など
コロナ対応が満足度アップにつながる

調査で「会社のコロナ対応への満足度」を聞くと、「とても満足している」と「やや満足している」の合計が51.9%、「あまり満足していない」「まったく満足していない」の合計が22.6%、「どちらでもない」が25.5%。

現場の感染症対策がきちんとなされていたり、テレワークや時差出勤導入などフレキシブルな対応ができていたり、テレワーク下でも手厚いサポートを受けられたり、オンライン研修中もきちんと対価が支払われた会社に対して、好印象を抱く新入社員が多かった。

興味深いのは、コロナ対応への満足度と会社に対するイメージの関連性だ。会社のコロナ対応に満足していない新入社員の約5割が、入社後に会社のイメージが「悪い方向に変わった」と回答し、満足している層の約6倍にものぼっている。また、コロナ対応に満足している新入社員の4割近くが「良い方向に変わった」と回答し、不満がある層の9.4%を大きく上回っている。

4_res_171_02.jpg


働き方に対する悩み・不安は
在宅勤務でOJTの機会が失われたこと

会社になじまないうちに在宅勤務やテレワークが始まったことにより、大きな不安を抱く新入社員も多かった。調査では、入社以降に在宅勤務を経験した494人に、在宅勤務での不安や悩みの内容をヒアリングしている。

最も多かったのは「質問や相談がしにくい」。「していること・進め方が分からない場面が多々ある(4位)」ときに、すぐに質問できる状況でないことが、大きな不安要素になっていたことが読み取れる。質問や相談ができない状況は、「業務知識・スキルが身につかない(5位)」という不安にも通じるものであり、オンラインでも新入社員をしっかりとフォローできる教育体制の構築・強化が必須だと考えられる。

「上司や同期との距離が縮まらない」や「相手の温度感(重要度など)がわからない」はコミュニケーションに関する不安だ。テレワークがもっと社会に浸透した場合、オンラインでも円滑に信頼関係を構築できるコミュニケーションツールやスキルの習得が必要になるのではないだろうか。

4_res_171_03.jpg


コロナ影響下の新入社員は
業務外の交流に好意的

「入社後、会社や上司・先輩にやってもらって良かったこと、または、これからやってほしいことは?」という質問では、「話し掛けてもらえる・雑談してくれる」が最多だった。この結果には「ランチ・食事に誘ってくれる(4位)」とあわせて着目したい。

近年の若者はドライで、業務外で上司や先輩との関わりを避ける傾向があるといわれていた。しかし、テレワーク下ではもちろん、テレワークができない業種・職種で毎日出勤していても、2020年春は歓迎会が開催できなかったり、感染症対策として一人ランチが推奨されたりして、周囲と親しくなる機会が極端に少なかったことが推察される。そのような状況のなかで、新入社員は業務外の関わりを通してでも、「距離感を縮めたい」と感じているようだ。

4_res_171_04.jpg


コロナの経験を
働き方改革の推進力に

調査では、会社の新型コロナ対応に不満がある新入社員は勤続予定年数が短くなり、満足している社員では長くなる傾向が見られた。また、新型コロナ対応に不満がある社員の約半数が、新卒で入社した会社を3年以内に退職する予定であるという結果も出ていた。

感染症対策としてのテレワーク推奨は今後も暫く継続するため、企業は的確かつ柔軟なコロナ対策を実施していくことに加え、いかに新入社員とコミュニケーションをとっていくか、不安や孤独感をどう解消するかが課題になる。

また、この調査は新入社員を対象にしたものであるが、新型コロナ対応のありかた次第で会社に対する印象や労働意欲が変化するという現象は、新入社員に限ったことではない。新型コロナ収束後には、働き方改革としてのテレワークが拡大していくことが予測されるので、これらの課題を解決していくことは、企業にとって重要なポイントになるし、全社員にとって有益といえるだろう。

新型コロナウイルス影響下での働き方は、働き方改革が進んだ後の、未来型の働き方でもある。オンラインでもできる教育体制の構築やコミュニケーションの強化、不測の事態にも的確に対応できる柔軟性が、これからの企業に求められるのではないだろうか。

〈関連記事〉新型コロナウイルスの影響 で「採用活動」は停滞している?

【出典】マイナビ転職 『2020新入社員の意識調査』