リサーチ

2019.12.16

働き方改革「残業時間削減」のひずみは中間管理職へ?

部下のサポートのために仕事量が増加したと感じる中間管理職が3割以上

働き方改革施行から約3ヶ月が経過した2019年7月、株式会社リクルートスタッフィングは、『働き方改革における管理職への影響と変化に関する調査(※)』を実施している。その結果からは、企業と部下の狭間で苦心する中間管理職の実態が読み取れた。

※対象:従業員数300人以上の企業に勤める25~65歳の管理職/有効回答412人

2019年4月に働き方改革関連法案が施行され、企業が労働時間の短縮に前向きな姿勢を見せている一方で、その対応に追われる中間管理職の負担が増加しているという声も聞かれる。世の中では働き方改革の施行前から、「業務の量が減るわけではないのに労働時間を削減できるのか?」と懸念されていたが、部署・課全体の業務をマネジメントする中間管理職は、どう感じているのだろうか。
株式会社リクルートスタッフィングが実施した『働き方改革における管理職への影響と変化に関する調査』では、「所属部署・課全体の残業時間」と「自身の残業時間」について、それぞれの変化を質問している。回答数だけを見ると、「変わらない」が圧倒的に多いところも含め、全体と自身の残業量の変化に大きな差異はないようにも見えるが、注目すべきポイントがある。
■残業時間が「やや減った・とても減った」という回答は、自身<部署・課全体
■残業時間が「とても増えた・やや増えた」という回答は、自身>部署・課全体
ここからわかるのは、「部署・課全体では働き方改革が進んでいても、自身の負担は増している」と感じている管理職が、確かに存在しているということだ。
 
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残業時間が「とても増えた」、「やや増えた」と回答した人に、自身の残業時間における業務内容について聞いたところ、1位は「所属部署・課における管理業務」であった。2位には、「部下のサポート業務」が挙がった。どちらも管理職が担うべき仕事内容ではあるが、「部下のサポート業務」のウエイトが高すぎると、管理職の本分でもある管理業務に支障をきたす可能性がある。
 
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「部下の残業時間削減のために自身の仕事量が増えていると感じるか」という質問に対しては、「とても感じる」、「やや感じる)」を合わせると、約35%が「増えた」と実感していることがわかった。人員や業務量が変わらないなかで、部下たちの残業時間を減らすために、管理職が従来以上に身を削っている可能性がある。業務効率アップのために、管理業務そのもののクオリティを上げる必要性もあるだろう。働き方改革を実現に導くために、管理職にかかっている負担は、想像以上に大きなものであるようだ。
 
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では、管理職が部下の業務の一部を負担することなく、部署・課全体の業務を滞りなく進め、かつ管理職自身も部下も残業時間を減らすためには、何が必要なのだろうか。「部署・課全体の残業時間を削減するために実施したいこと」を聞いたところ、「無駄な業務の削減」が1位に挙がった。次いで、「部下のスキルアップ」となっている。部下の残業時間や、自身が部下のサポートをする負荷を減らすためには、部下のスキルアップも重要であるとする一方で、多くの管理職が無駄な業務の見直しを行い、物理的な業務量を削減することに注力している様子が伺える。また、フルタイム人材だけでなく経験豊富な時短人材の活用も含めた人的なリソースの補充や、業務効率アップに効果的なIT機器の活用も、業務削減につながると考えられている。
 
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これらの調査結果からは、部下の残業時間削減のために、負担感を抱いている中間管理職が一定数いることが読み取れるほか、管理職を含めた全体の働き方改革実現のために実施すべき策も見えてくる。
6割以上の管理職が「残業時間削減のために実施したい」とした「無駄な業務の削減」は、最も取り組みやすい方法だ。複雑化した業務を整理することは、業務削減への近道である。そのためのツールとして、ITツールの活用を視野に入れていくことも大切であるし、管理職自身のスキルアップも求められてくる。リーダーシップやマネジメント能力はもちろん、限られた人材を最大限に活かすジョブアサイン能力も重要なスキルである。業務の振り分けを適切に行うことは、全体の業務効率アップに多大な影響を与える。もちろん、これらを実現していくための一要素として、部下一人ひとりのスキルアップにも注力する必要がある。
働き方改革は、組織の在り方を大きく変えていくことである。管理職の適切なリーダーシップが、組織の活性化と勤務時間の適正化に貢献していくだろう。
 
 
 
作成/MANA-Biz編集部