リサーチ

2018.08.31

失敗しないために! 押さえておきたいメンター制度のポイント

育成面だけでなく組織活性化向上へ期待

先輩社員(メンター)が、後輩(メンティ)の課題や悩みの相談にのるメンター制度は、厚生労働省もマニュアルを発信するなど女性社員の活躍を推進するために有効な方法の一つとして注目されている。制度導入による職場へのさまざまな波及効果や成功させるためのポイントを、導入企業へのアンケート調査から読み解いてみよう。

導入企業の多くがメンター制度の効果としてあげたのは「メンター自身の人材育成意識の向上」で、メンティのモチベーション向上やスキルアップを上回る結果となった。職場の人間関係が希薄になったといわれる中、制度を通じて後輩育成に携わることでメンターの意識向上や視野の拡大につながったと考えられる。
 
また、メンターとメンティは、同じ部署の上司・部下、先輩・後輩ではなく、異なる部署同士で組み合わせるのが一般的といわれるが、普段は接点のない他部署・他職種間にメンターとメンティという人的交流が生まれ、組織間のコミュニケーションの活性化につながったことがアンケート結果から読み取れる。
 
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メンター制度を成功させる最重要ポイントは、当事者であるメンターとメンティに対し、研修等で事前説明を行い、内容や目的を十分に浸透させたで実施することにある。またメンター制度によるサポートが円滑に行われるよう、直属の上司をはじめとした関係者に対する事前フォローも欠かせない。アンケート「メンター制度を成功させるために必要なもの」の結果からも、制度実施に向けた下地づくりの大切さをうかがい知ることができる。
 
もう一つのポイントは、メンターとメンティのマッチングだ。厚生労働省作成『メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル』によると、以下の4点をマッチングの一般的な留意点として挙げている。
「メンティのキャリア志向にメンターの経歴が合うか」
「メンティの期待とメンターの特性が合うか」
「メンティ・メンターが直属ライン以外か」
「メンティの能力開発ポイントを補強できるメンターか」
 
 
「女性の活躍推進が目的のメンター制度だから、女性のメンティとメンターを組み合わせよう」といった安易な発想ではなく、幅広い視点で最大効果を生み出す形を検討することがポイントとなる。
 
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メンター制度導入による波及効果が、当事者だけでなく会社全体に及ぶことを考慮すると、ゴール設定を明確にしたうえでさまざまなケースを想定して臨むことが重要となる。通常業務と並行して取り組むことになるメンターとメンティをサポートするためにも、取り組みの内容と目的の周知徹底が欠かせないだろう。
 
 
 
作成/MANA-Biz編集部