リサーチ

2016.09.05

AI社長が登場! そのときあなたはどうする?

AI導入による働き方の変化とは?

企業にAIを導入することで業務の効率化が進められる中、AIとワーカーとのすみ分けはどうなるのだろうか?

 テレビや新聞などで、AI技術に関するニュースを見ない日はない。それだけAI技術の進歩は目覚ましく、インターネットが登場して以来の「第4次産業革命」ともいえる状況に世の中は熱狂している。実際、2016年に入ってから大きなニュースが続いた。米グーグルの研究部門であるGoogle DeepMindが開発した囲碁AI「AlphaGo(アルファ碁)」は、韓国のプロ棋士イ・セドル氏との5番勝負において4勝1敗で圧勝。オランダでは、17世紀の画家レンブラントの全作品データを解析し、3Dプリンタで新作油絵を制作。プロでも見分けがつかないレベルに達した。2045年頃には、AIが人間の知能を超える「シンギュラリティ(技術特異点)」を迎え、その主導権がAIに移るとも言われている。
 企業でもAI技術の導入に積極的だ。驚くべきは企業の判断を下す「経営」にまでAIが使われる時代が近いということである。2016年6月、株式会社日立製作所は「賛否が分かれる議題に対して、賛成・反対双方の立場から根拠や理由を伴った意見を日本語で提示する人工知能(AI)の基礎技術を開発した」と発表。今後さらに研究開発を進め、グローバルな企業の経営判断を支援するAIの実現を目指し、2019年の実用化を目指すという。
 
 医療の現場でもAIは採用されつつある。医師専用コミュニティーサイト「MedPeer」を運営するメドピア株式会社は、2016年5月、会員医師を対象に「人工知能が診療に参画する時代は来るか?」のアンケートを実施。医師3701人のうち約90%が、人工知能が診療に使われる時代が来ると回答している。
 
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 この結果は、AIの使われ方に関する未来予想図となっていることに注目したい。診療とは、患者の症状を観察し、その症状から根本原因を探り、対処療法を提示するものだ。正しい診療に必要なのは、これまで蓄積された診療データへの正確なアクセスであり、アンケート結果は「診療はAIで代替可能」と多くの医師が認めたということを示している。
 このことは、医療だけでなく多くの企業にもあてはまる。AIがもっとも得意とするデータベース型の思考でできることは、AIに任せる流れとなることは必然だ。さらにAIの導入は個々の働き方や仕事内容にも劇的な変化を及ぼすことが想定できる。これまで当たり前のように行ってきた判断や思考方法について、AIを合わせ鏡として深く考え直す時代に来ている。
 
 
(出典)メドピア株式会社 医師専用サイト「MedPeer」アンケート「人工知能が診療に参画する時代は来るか?」、 日本経済新聞「人工知能「2045年問題」 コンピューターは人間超えるか」(2015年1月29日)をもとに作成
 
作成/MANA-Biz編集部