レポート

2021.03.24

アフターコロナの働き方新常識!

INTENTIONAL WORKING~意図を持って働く

意図をもって働くINTENTIONAL WORKINGという新しい働き方が注目されはじめている。各企業のトップが働き方の本質について議論した『アフターコロナの働き方新常識!INTENTIONAL WORKING~意図を持って働く』(2021年3月3日開催)のイベントの模様をレポートする。

登壇者

■林直孝氏(株式会社パルコ 執行役員 CRM推進部兼デジタル推進部担当 株式会社パルコデジタルマーケティング 取締役 株式会社アパレルウェブ 取締役)

■秋山瞬氏(株式会社ネットプロテクションズ 執行役員)
■野島祐樹氏(ANAホールディングス株式会社 デジタル・デザイン・ラボ 次世代ツーリズム推進ディレクター)
■モデレーター:ピョートル・フェリクス・グジバチ氏(株式会社プロノイア・グループ 代表取締役)



INTENTIONAL WORKINGとは
意図をもって働くこと

イベントのテーマとなっている「INTENTIONAL WORKING」とは何か。ファシリテーターを務めるプロノイア・グループ株式会社の丸山咲さんは、「意図をもって働くこと」だという。

Beforeコロナの時代は、働くときの服装も時間・場所も、仕事の手順も、会社の意図(INTENTION)によって決められることが多かった。しかしWithコロナの今は、TPOや環境に応じて、自分の意図で働き方を決めていく方向に変わりつつある。

6_rep_005_02.png 意図を持って、自立した働き方を支援していくにあたって、プロノイア・グループでは、人間が生きていくエネルギーの源である「感情」「思考」「身体」「使命」という4つの要素を大切にしているという。この4要素のバランスをTPOや自分の状態、意図に応じて決めていくことこそが「INTENTIONAL WORKING」だ。

6_rep_005_01.png 6_rep_005_03.png イベント参加者全員に向けて、「INTENTIONAL WORKING」を深めるための4つの問いが提示された。

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INTENTIONAL WORKINGの実現は
自分の使命を考えることから

続いてプロノイア・グループの代表取締役であるピョートル・フェリクス・グジバチ氏から、著書である『パラダイムシフト 新しい世界をつくる本質的な問いを議論しよう』(かんき出版)とリンクする内容のキーノートスピーチが行われた。

6_rep_005_05.pngピョートル:「コロナ禍をきっかけに、確かに多くの人の働き方は『個人が決める』という方向に大きくシフトしました。ただし、それだけでは『INTENTIONAL WORKING』とはいえません。なぜなら、仕事の先にあるゴールは会社によって決められている、というケースが多いからです。

「『自分の使命とは何か』『自分は組織の中でどんなミッションを担っているか』を考え、そのゴールから逆算すれば、どんな働き方をしたらよいかというルートがみえてきます。『意図を持って働く』ことができるようになるのです。意図があれば、今までとは違う世界をつくれるのではないでしょうか」




身体:身体が整えばDX推進も加速する

パネルトークでは、「INTENTIONAL WORKING」のあり方を決める4要素のうち、これまでビジネスの現場で取り上げられることが比較的少なかった「感情」「身体」「使命」が仕事とどう結びつくのかを、3人の登壇者がファシリテーターの質問に答える形で語った。

パルコの林氏への問いは「身体性はDXに役立つのか?」。パルコでICTを活用したビジネスマネジメント改革を推進する林氏は、デジタルと身体性という一見つながりの薄そうな2つの要素をどうとらえるのか。


――身体性はDXに役立つのか?


6_rep_005_06.png林:「身体性と仕事は強くリンクしていると思います。もちろんDXも然りです。『サ道』(講談社)というマンガをきっかけに『整う』という言葉が流行っていますが、私自身もサウナで温と冷を交互に体験することによって、心と身体が整う感覚を体感して、身体性の大切さを改めて感じました。心身が整い、健康で満たされていれば、当然ですがよい仕事につながり、よりよいDXのあり方を探っていけます」

「先ほど参加者の方から、『未来の企画のアイデアがわいても、目の前の仕事に忙殺されるうちに消えてしまう』という悩みが寄せられました。私は、例えば趣味の釣りをしている時間に、長年実現しようと温めている仕事について考えることがあります。若いときは『降ってきたアイデアは今すぐ実現したい』と思うかもしれませんが、私には20年思い続けてやっと実現できた企画もあります。意図を持ってチャンスを待ち続けるには、身体を整えておくことも重要と感じます」



ピョートル・フェリクス・グジバチ

ポーランド生まれ。2000年に来日後、モルガン・スタンレーなどを経て、グーグルのアジア・パシフィック地域における人材開発と組織開発、リーダーシップ開発分野で活躍。2015年に株式会社プロノイア・グループを設立し、企業がイノベーションを起こすための組織文化変革に向けてコンサルティングを行う。『世界最高のチーム』(朝日新聞出版)や『日本人の知らない会議の鉄則』(ダイヤモンド社)、『パラダイムシフト』(かんき出版)など著書多数。

林 直孝

株式会社パルコ 執行役員CRM推進部兼デジタル推進部担当 株式会社パルコ デジタルマーケティング 取締役 株式会社アパレルウェブ 取締役

秋山 瞬

株式会社ネットプロテクションズ 執行役員 人事総務グループ兼ビジネスディベロップメントグループ

野島 祐樹

ANAホールディングス株式会社 デジタル・デザイン・ラボ 次世代ツーリズム推進ディレクター

文/横堀夏代