チェックワード

2017.10.06

「縁の下の力持ち」は恩着せがましい表現にもなる

本日のチェックワード 48「縁の下の力持ち」

縁の下の力持ちとして、お役に立ちたいと存じます」

 取引先とのやりとりで、上記のようなフレーズを使おうと思ったことはありませんか? 「縁の下の力持ち」は「人に知られず陰で努力や苦労をすること」という意味があるので、「役に立つ人アピール」には一見ぴったりな感じがします。
 ただし、「人に知られず」という要素を強調して「他人のために骨を折るだけで世間的に認められないこと」といったニュアンスで受け止められることもあるので要注意。自分からこの表現を使うと、「私は報われずに苦労しています」と言っているのかな、と誤解を与えてしまう場合もあります。シンプルに「お役に立ちたいです」だけで、あなたの意欲は十分に伝わるはずです。なお、陰で苦労や努力をしている人を称賛するときによく使われる表現なので、後輩や部下をねぎらうのには適しています。

この使い方で差が出る

・プレゼン用の資料をまとめてくれてありがとう。キミは縁の下の力持ちだね。
縁の下の力持ちに甘んじていないで、もっと自分を売り込んでみたら?

監修/篠崎 晃一(Shinozaki Koichi)

東京女子大学教授。専門は方言学、社会言語学。『例解新国語辞典』(三省堂)編修代表や、テレビ番組「ワーズハウスへようこそ」(日本テレビ系)の監修など幅広い分野で活躍。『えっ?これっておかしいの!? マンガで気づく間違った日本語』(主婦の友社)など、日本語の誤用に関する著書も多い。