リーダーのためのマナー

2017.08.30

部下が巻き込まれたクレームへの対応を間違えるとリーダーとしての明日はない

リーダーのためのビジネスマナー14:お客さまより部下をとる

決して部下を問いつめず
まずは冷静に事実確認を

リーダーへの評価は、トラブル発生時にどう対応するかで決まります。なかでも真価が問われるのは、部下とお客さまとの間にトラブルが起こり、クレームを寄せられる事態に発展したときです。
 
リーダーは当然、まず部下に真相を確認します。このときに大切なのは、「クレームが来た」というだけで頭に血を上らせないことです。部下はただでさえ不安なわけですから、リーダーがここで怒りを爆発させたら、萎縮して何も話さなくなり、真実が見えにくくなってしまいます。努めて冷静に、「お客さまとの間で何が起こったのか」を見極めます。
 
 

部下を信頼して守り抜くことで
他の部下もついてくる

そのうえで、部下には非がないことがわかったらどうするか。リーダーであるあなたがすべき行動は、「お客さまの攻撃から部下を守る」ことです。自分の上司に対しても、「私の部下は悪くない」という姿勢を貫きます。 一流のリーダーなら、トラブルの場面で部下の言葉を信じられるだけの信頼関係を築くことができているはずです。ですから部下を守ることに迷いは生じません。また、売上げや社内評価を捨てて、決然と自分を守ってくれるリーダーだからこそ、部下は信頼を寄せるのです。
 
では、トラブルの中心になっているのが、自分が評価していない部下だったら? この場合でも、部下を信じて守るべきです。選り好みをするリーダーは器が小さいのです。一流のリーダーは、部下との出会いを何かの縁と考え、部下になってくれたからには全力で面倒をみようとします。非常事態に部下を守ろうとするリーダーの姿は、問題を起こした部下はもちろん、ほかの部下にも必ず感動をもたらします。
 

中谷 彰宏(Nakatani Akihiro)

早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂でCMプランナーとして活躍ののち、91年に独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス・恋愛・教育・自己啓発など多彩なテーマで執筆活動を行い、多くのベストセラー・ロングセラーを出版。また、「中谷塾」を主宰し、一流のリーダーをめざすビジネスマンに向けて全国でワークショップや講演会を行っている。『なぜあのリーダーに人はついていくのか』(ダイヤモンド社)、『部下をイキイキさせるリーダーの技術』(リベラル社)など著書は1000冊を超える。 【中谷彰宏公式サイト

イラスト/吉泉ゆう子 写真/為広麻里