リーダーのためのマナー

2017.06.21

まとめて指示を出すリーダーに部下は不信感を感じる

リーダーのためのビジネスマナー12:指示出しは一つずつ具体的に

一度に指示を出しても
部下は混乱するだけ

あなたは部下に仕事の指示を出すとき、どんなことを心がけていますか? 「ヌケモレがないように、できるだけまとめて言う方がいいだろう」と考えた人は要注意です。なぜなら、たくさんのことを一度に言うと、部下は混乱してしまうからです。あなたが優先順位を伝えたとしても、「全部やらなければ」と考え、やりやすい順に手をつける部下もいるはずです。その結果、緊急度の高い項目が最後まで残ることになるのです。
 
なぜ一度にたくさんの指示を出そうとするのか。それは、リーダーの心に不安があるからです。「何があるかわからないから、あれこれセーフティネットを張っておこう」と考えてしまうのです。漠然とした不安があるときは、指示の出し方も抽象的になりがちです。すると部下はますます、何をすればいいのかわからなくなってしまいます。
 
 

「できればやった方が
いいこと」は切り捨てる

たくさんの指示を一度に出すやり方は、業務の効率を下げるばかりか、リーダーであるあなたへの評価をも下げてしまいます。指示を受けた部下は「このリーダーは結局、何を大切だと考えているんだろう?」と迷い、あなたに不信感を抱くからです。
 
部下に指示を送る前に、まず頭の中で「何をしてもらいたいのか」を整理しましょう。頭が混乱しているなら、紙に書き出して思考を整理するのも一つの方法です。そして、一つずつ具体的に伝えます。「安全策としてやっておいた方がいいこと」は切り捨て、するべきことを絞り込んで指示を出しましょう。
 
するべきことが明確なら、部下は安心して業務に向かうことができます。その積み重ねによって、リーダーへの信頼感が育つことは間違いありません。
 

中谷 彰宏(Nakatani Akihiro)

早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂でCMプランナーとして活躍ののち、91年に独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス・恋愛・教育・自己啓発など多彩なテーマで執筆活動を行い、多くのベストセラー・ロングセラーを出版。また、「中谷塾」を主宰し、一流のリーダーをめざすビジネスマンに向けて全国でワークショップや講演会を行っている。『なぜあのリーダーに人はついていくのか』(ダイヤモンド社)、『部下をイキイキさせるリーダーの技術』(リベラル社)など著書は1000冊を超える。 【中谷彰宏公式サイト

イラスト/吉泉ゆう子 写真/為広麻里