ライフのコツ

2013.09.27

まわりの人と手をつなごう

世界の学び/ドイツのノンフォーマル教育

世界の教育情報第1回目の今回は、昨年、2週間のドイツでのセミナーに参加したNPO法人東京学芸大こども未来研究所の研究員である中島順さんからのレポートです。

ドイツの「ノンフォーマル教育」とは
ドイツでは、学校教育以外に各地域の民間団体が主体的に様々なプロジェクトを行う「ノンフォーマル教育」が盛んです。
午前中で授業が終わるドイツの学校教育は、知識教育に重点が置かれているため、自己管理や自己決定など社会的能力の育成は、学校教育以外の時間で行われる「ノンフォーマル教育」が担っています。
「ノンフォーマル教育」は、各地域や運営団体により対象年齢や参加の仕方、運営方法は様々ですが、一般には子どもが自由に参加できる活動です。その一つに、地域のアーティストと子どもたちをつなぐことで子どもを育み、地域を活性化した「QUARTIER(クアティーア)」という団体による活動事例があります。


子どもとアーティストをつないだ「QUARTIER(クアティーア)」
25年前に、ブレーメン州内の荒れた地域でスタートした「QUARTIER(クアティーア)」の活動は、多くのアーティストがいるという、その地域の良さを活かして、子どもたちが芸術に触れる機会を創出し、地域に芸術を根付かせました。今では、50名程のアーティストや学校と同団体とが連携して、作品の企画や共同制作など様々な文化的教育プロジェクトを進めています。加えてこの活動は、舞台や展覧会、ファッションショーなどの成果発表をあえて地域の中心部で行うことで、多くの人に活動を知ってもらい、より地域が活性化することへつなげています。
QUARTIERの入り口には、活動の様子を伝える写真が置いてありました。


手をつないだ先には
これは、地域の人たちが手を取り合ったドイツでの活動事例ですが、日本でも、家庭や地域などで、まわりの良いところに目を向けて手を取り合ってみると、子どものための新たな可能性が拓けるかもしれません。その時には、活動のテーマや内容などを大人がすべて用意してしまうのではなく、子ども自身がやりたいと思う自発的活動を尊重することが大切だということを、私は「ノンフォーマル教育」から学びました。そこでは、子どもたちはもちろんのこと、一緒に活動した大人たちも共に楽しみながら学び合う事が出来るのです。

中島 順

特定非営利活動法人  東京学芸大こども未来研究所 研究員