レポート

2021.02.22

アメリカビジネス界で役立つ三大教養とは?

日本のビジネスパーソンも知っておきたい引用事例

「ビジネス教養」は商談や交渉を円滑に進めるコミュニケーションに欠かせないビジネスの重要知識。相手の興味や関心を引き、ビジネス交渉がしやすくなるメリットもある。今回はアメリカのビジネスエリートが身につけている教養とよく使われる哲学的引用の事例を紹介する。

予測困難な時代だからこそ
教養が重要になる

現在は、将来の予測が困難なVUCAな時代と言われています。また、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大、パンデミックによってさらに厳しく予測困難な時代が到来しています。そんな不確実な時代を生き抜くためにも、自らの力で考えて判断できる力が求められますが、その礎となりよりどころとなるのが「ビジネス教養」であることは、変化が目まぐるしくスピードが速いアメリカビジネス界で活躍しているビジネスエリートが証明しています。

数々の教養を武器として、ビジネスの重要な節目で引用や例えの言葉を使いながら交渉することは、アメリカのビジネスエリートたちにとっては日常茶飯事。なかでもよく会話に登場するのは宗教・歴史・社会。アメリカにおける三大教養といえます。

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教養として必須でも
会話で避けるのが賢明なテーマは宗教

アメリカのビジネスエリート必須の「宗教・社会・歴史」は、日本人にも知っておいてもらいたい重要な教養テーマといえます。ただ注意したいのは、知識としては押さえておくべきでも話題とするのは避けたほうがいいテーマもある、ということです。

話題として避けるのが賢明なテーマは宗教です。多民族のアメリカでも宗教を語るには深い理解を必要とします。とくに、イスラム教については2011年の同時多発テロ以降、とてもセンシティブなトピックとなり、話題に挙げないことが処世術ともなります。

さらにアメリカで約80%を占めるキリスト教においても、テーマとしては難しい面があります。なかには「キリスト教の教え通りに生きていれば問題は起きない」という保守的な考え方をする人も。キリスト教的な考え方が仕事における考え方にも影響を与えることもあるため、ビジネスの話題としては避けた方が無難とされています。

とはいえ、宗教によって慣習や考え方が異なることから、アメリカでビジネスをするなら知識として宗教を理解しておくことは日本人が思っている以上に重要です。



歴史の知識は
社会的常識として必須

一方、教養として身につけていてあたりまえなのが歴史です。アメリカでは建国の歴史を小学生から学んでいます。たとえば、1620年12月のアメリカ大陸上陸の際に清教徒たちが最初に踏みしめた岩が「プリマス・ロック」であること。感謝祭(サンクスギビング)は、アメリカに移住した清教徒たちがネイティブアメリカンの助けを借りて冬を越し、初の収穫に感謝したことに由来する、といった、自分の先祖の歩んだ歴史に関する十分な知識を身につけています。

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ただし歴史のなかでも戦争の話題は注意が必要です。相手の国籍に関係なくビジネスの場面では触れないことがマナーといえますが、宗教同様、お国柄や国民性を理解するためにも、その国の歴史、とくに建国の事情をある程度知っておくことは社会的常識として必要です。

社会的な教養はテーマとしては好まれますが、その範囲が広いため相手しだいというところがあります。無難なテーマとしては、多くのアメリカ人が好んでかかわるチャリティ活動。また、ハーバード大学など政財界リーダーを数多く輩出しているアイビー・リーグ(北東部にある8つの私立エリート大学の総称)については、スポーツでも話題になるため知っておくとよいでしょう。



ビジネスエリートが好む
哲学的な引用

アメリカでは哲学を学んだり語ったりできるかどうかは社会的な階層によるところが多く、哲学はブルーカラーからホワイトカラーへの「壁」ともいえます。ビジネスエリートとされる層は、哲学者や偉人が残した核心をついた言葉を日常的に使っています。

哲学者や偉人たちの名言や格言は、ビジネスの場面においても自身の気持ちを引き締めるとき、リーダーとしてチームのモチベーションを上げるとき、相手を説得するとき、重要な決断をするときなど、さまざまな場面で引用されます。ときにはおよそ2千5百年前の偉人の言葉が役立つこともあるのです。


竹内 太一郎(Takeuchi Taichirou)

学生時代に化学を専攻し、1996年から2015年まで日本の大手化学メーカーに勤務。同時多発テロから間もない2002年からアメリカ北東部ロードアイランド州の工場に2年半駐在、販路開拓のための研究開発とともにアメリカ国内での法適合性を弁護士と検証するなど現地ビジネス界で活躍。その後、非鉄金属メーカーにて化学物質管理などに従事し、現在は各国の化学物質規制に関するコンサルタント会社にてプロジェクトに参画している。

グローバルママ研究所

世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。https://gl-stage.com/service/mama/

文/グローバルママ研究所