会議

2020.11.16

ファシリテーターが活用したいオンライン会議に役立つツール

会議12:パフォーマンスアップと効率化のための注意点

オンライン会議では、ツールを活用することで生産性を高め、効率化を図ることができます。また、会議のスケジューリングやネット・パソコン環境の整え方によっても、会議の生産性が変わるもの。そこで、ファシリテーターとして意識したいポイントを紹介します。

オンラインならではのツールを活用して
多彩なアイデアを引き出す

対面の会議では、大きなホワイトボードや模造紙、付箋を使って参加者のアイデアを引き出したり、まとめたりすることができますが、オンラインではこうしたツールが使えません。

ただ、最近のオンライン会議システムにはさまざまな機能が備わっていますし、ネット環境下で使える便利なツールもたくさんあるので、それらのツールを活用することで参加者のアイデアを引き出し、議論を活性化することができます。


共同編集できるソフトなどを活用し
オンライン会議の効率化を実現

オンライン会議の場合、情報を共有する際の素材は紙ではなくデータになります。そこで活用したいのが共同編集機能です(G SuiteやTeamsなど)。もちろん、メール添付でデータ共有することも可能ですが、共同編集機能のあるファイルやフォルダで共有しておくことで、会議の前後で発生するちょっとした作業も効率化できるのです。

たとえば、部門の定例ミーティングなどで各自の予定を共有するときは、会議前に参加者へアジェンダを配信し、各自の予定をあらかじめ書き込んでもらってから会議を始めると、スムーズに情報共有でき、会議時間も短縮できます。

また、新たなアイデアを生み出す会議では、共同編集できるスプレッドシートなどをファシリテーターが事前に用意し、参加者が自分の考えを書き込みながら会議を進めていくと、たくさんのアイデアを同時に引き出すことができます。

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対面の会議では、アイデアを書き込んだ付箋をホワイトボードに貼ってグルーピングし、考えを整理したりしますが、スプレッドシートは各自が書き込んだアイデアを簡単に並べ替えてグルーピングできるので、スムーズに考えを整理することが可能です。

さらに、会議で使ったアジェンダやスプレッドシートは、そのまま議事録として活用できるので、会議後のまとめ作業が不要になります。

クライアントとのオンライン会議でも事前にアジェンダを用意して会議中に決定事項を書き込んでいけば、その場でお互いに議事録を確認できて効率的です。

対面の会議では、参加者全員がパソコンを持参していないこともありますが、オンライン会議は基本的に、全員がパソコンやタブレットなどを使って参加することが前提。そのため、パソコンの便利なツールを活用し、機能や情報を共有することで、対面の会議にはない新たな可能性が広がっていきます。


録音・録画を活用して
会議後の作業も効率アップ

オンライン会議は、パソコンで録画・録音ができるのも大きなメリットの一つです。録音・録画データは議事録として利用できるため、記録係を設ける必要がなく、参加者全員が会議に集中できるというメリットがあります。さらに、会議に参加できなかった人も、録画を見ることで簡単に内容をキャッチアップできます。

しかし、場合によっては、会議のポイントを簡潔にまとめたテキストのほうが重要な点を把握しやすいこともあります。すべてを録画し、会議後に見ることは効率が悪い場合があるので、状況によって録音・録画データとテキストを使い分けて議事録をつくりましょう。 また、録画・録音の可否については、事前に参加者と意思疎通しておくことが重要です。自分がホストとして会議を主催し、録画・録音をする必要がある場合は、必ず事前に断りを入れておきましょう。

許可をとることなく、突然画面に「レコーディング中」と表示されると、ゲスト側の参加者は不信感や不快感を抱きます。逆に、自分がゲストとして会議に参加する際、録画・録音がNGの場合は、その旨を事前に申し入れておきます。

さらに、録画・録音をする場合は、用途を明確にしておくことも大切です。場合によっては「見た後、すぐ削除します」など、事前にすり合わせをしておくと、お互いの関係性を損ねることなく円滑に会議を進められます。

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オンライン会議の詰め込み過ぎに要注意!
スケジューリングが生産性の向上につながる

オンライン会議の場合、移動時間がなくなったぶん、立て続けに会議の予定を詰め込みがちです。その結果、終わった会議のまとめや次の会議の準備ができないまま、会議に追われる状態になってしまう人が増えています。

こうした状態を避けるには、ファシリテーターやリーダーが会議の日時設定に配慮する必要があります。会議の前後にどんな作業が発生するかを考え、その時間を踏まえて日時を設定しましょう。

また、一日に多くのオンライン会議をこなすと、緊張が続いて意外と疲れてしまうもの。会議の後にクールダウンしたり、次の会議に備えたりする個人作業の時間をスケジュールに組み込むことで、ファシリテーターも参加者も、会議に向けて最良の自分へとチューニングでき、生産性が上がります。


オンライン会議だからこそ
パソコン・ネット環境の整備が重要

オンライン会議の場合、事前にパソコンやネット環境を整えておくことも大切です。パソコンとネット環境に依存したオンライン会議では、パソコンがフリーズしたり、ネットが切断したりすると、ファシリテーター不在となって会議が滞ってしまいます。

会議の前にパソコンを再起動する、投影するファイルのみを残して不要なファイルは閉じる、万が一に備えて、いつでもスマートフォンで接続できるよう準備しておくなど、パソコンとネット環境を整えておきましょう。

また、投影資料を準備する際は、タブレットやスマートフォンで参加する人がいることを想定し、文字のフォントを大きめ(推奨サイズ24程度)にして見やすくする配慮が必要です。


このように、自分自身も参加者も会議で最高のパフォーマンスを発揮できるよう余裕をもってスケジューリングし、パソコンやネット環境をととのえることも、オンライン会議におけるファシリテーターの大切な役割といえます。  

成田 麻里子(Narita Mariko)

コクヨ株式会社 ファニチャー事業本部/ワークスタイルイノベーション部/ワークスタイルコンサルタント
コクヨ入社後、10年間にわたりオフィスデザインやワークスタイル研究、新規事業企画に携わる。現在は企業向けサービス[コクヨの研修]スキルパークにおいて、人材育成、働き方改革に関わる研修企画および講師を担当。

イラスト/ちぎらはるな