会議

2017.10.25

発言者のモチベーションをググッと上げる3つの秘訣とは!?

会議10:進行役の「笑顔・うなずく・褒める」で空気が変わる!

会議の空気をつくるのも
進行役の仕事

みんな冴えない顔でドヨーンとしていたり、無関心な人が多かったり、会話もなくギスギスした感じだったり...なんとなく空気が重たい会議って、ありますよね。その原因は、主に3つあります。

① 一部の偉い人がオーラを出しすぎている
 →他の人が自由に発言できない雰囲気がある
② 部署間などで対立構造があり、冷戦状態になっている
 →お互いを非難し合い、議論が硬直している
③ 負け続きで会議をしてもムダ...という無気力モードになっている
 →議論で何かを突破しようという覇気がない

空気が重たい状態で固まってしまうと、生産性やアウトプットにも影響し、会議自体が機能しなくなります。これまで会議の進行役には、参加者から意見やアイデアを言ってもらう「アイデア・マネジメント」、時間通りに結論に導く「タイム・マネジメント」をする必要があるというお話をしてきましたが、それに加え、会議の空気を明るくし参加者のチームワークを醸成するという「チームワーク・マネジメント」という役割があります。ではどのようにすれば会議の空気は変えられるのでしょうか?


「笑顔・うなずく・褒める」で
会議の空気は劇的に明るくなる

会議の重苦しい空気をほぐすコツは、「笑顔・うなずく・褒める」の3つ。まずは、ニコニコ笑顔を心がけましょう。自然な笑顔が難しいという人は、口角(唇の両端)を軽く上げてみると、ニッコリした柔らかい表情になります。

次に、相手の話にうなずきながら、しっかりと耳を傾けましょう。うなずくのは「聴いていますよ」というアピールになり、話し手も「きちんと聴いてもらっているのだな」と感じて話しやすくなります。

そして、褒めること。相手の意見を批判するのではなく、「いい意見ですね!」、「なるほど」、「さすがですね!」と積極的に褒めましょう。この3つを実践するだけで、会議の空気は劇的に明るくなります。

ちなみに、褒める際には、ただ「いいアイデアですね!」と言うより、「田中さん、それはいいアイデアですね!」と発言者の名前を加えたほうが、発言者のモチベーションはより上がります。ぜひ、実践してみてください。


褒める以外の相づちの
パターンも決めておく

逆に会議の空気を悪くするNGワードも押さえておきましょう。
「前例がない」、「現実的じゃない」、「コストがかかりすぎる」、「うちの会社じゃ無理だ」...。発散の段階でこういった発言が出たら、進行役は「今はアイデアの発散段階なので、一つひとつのアイデアの評価は後回しでお願いしますね」などとやんわりと伝えましょう。

難しいのが、参加者の発言に対して進行役としてもあまり同意ができない場合にどのように反応するのかです。こういった場合に備えて、あらかじめどのように相づちを打つのかを決めておきましょう。例えば、自分の考えとは少し違った意見なら、「なるほど、それもあるかもしれませんね」、現実的ではないが既成概念を打ち破るアイデアであれば、「おお、すごい発想ですね!」、あまり面白みのない意見なら、「たしかに、それも押さえておく必要がありますね」など。
相づちのパターンを決めておくと違和感のある発言が出ても対処がしやすいはずです。ただし、ワンパターンになりすぎないよう気をつけましょう。参加者が「あの進行役が、『なるほど、それもあるかもしれませんね』と相づちを打ったときは、心の中では同意していないらしいよ」と思われてしまいます。


参加者の年齢や能力も考慮し、
気持ちよく発言できるよう気を配る

また、会議においては、参加者の年齢や能力の違いに対しても配慮が必要です。すべての参加者の意見は平等に扱うべきですが、プライドや自尊心を傷つけるような反応はNGです。

例えば、年配のベテラン社員の発言に対しては、「さすが、佐藤さんのコメントには重みがありますね」、「さすが、経験に裏打ちされた意見ですね」などと、経験に対する尊敬の意を添えるようにしましょう。一方、「佐藤さんの時代とは今は変わってきているんですよ」などといった発言はプライドを傷つけかねないので、十分に注意しましょう。

また、若手に素晴らしいアイデアを発言してもらうというような過剰な期待をするのも酷です。若手はベテランより後では発言がしにくいものです。ベテランより先に指名して意見を求めたり、たとえ的外れな意見だったとしても「今の時代らしいアイデアですね」などとフォローをして、若手が臆することなく発言できるような配慮をしていきましょう。

下地 寛也(Shimoji Kanya)


コクヨ㈱入社後、行動と環境(創造性、コミュニケーション、場のあり方等)に関する研究・分析を担当。2003年より、クライアントの企業変革のコンサルティングや研修コンテンツ企画を担当する。著書『コクヨの3ステップ会議術』(中経出版)、『コクヨの1分間プレゼンテーション』(中経出版)、『コクヨの5ステップ ロジカルシンキング』(中経出版)、『コクヨの「3秒で選び、2秒で決める」思考術』(中経出版)、『コクヨのコミュニケーション仕事術』(総合法令出版)



イラスト/ちぎらはるな