組織の力

2020.09.25

テレワークは出社するより疲れる!?

コクヨ狭小空間改造プロジェクトの全貌

長期化するテレワークで心身に疲労がたまっていませんか?今回は、「テレワーク疲れ」の要因を徹底分解。中でも「身体的な疲れ」を一挙解決したコクヨ有志プロジェクトの活動全貌をご紹介します。特に狭い空間で働くことを余儀なくされているワーカー必見です!

テレワークをめぐる現状

2020年4月の緊急事態宣言以降、それまで想定さえしていなかった自宅からのテレワークに突然取り組むことになった方も多いと思います。当初は誰もが戸惑ったビデオ会議に頼るコミュニケーションでしたが、宣言解除後にはテレワークの恒常化を決断したり、オンラインコミュニケーションを前提に本社機能の地方移転に踏み切る企業も出てきています。

労務管理やコミュニケーションの手法に未だ課題が残ると言われながらも、ポストコロナ時代の働き方の選択肢としてテレワークは定着する可能性の方が高いと言われています。

一方で、「出社するよりもテレワークの方が疲れる」という声も少なからず聞こえてきます。実際、日本生産性本部の調査(※1)によると、「自宅での勤務の満足度」は、「満足」と「どちらかといえば満足」の合計が57%ある一方で、「満足していない」「どちらかといえば満足していない」割合も43%と半数弱いる結果になっています。

また、同じ調査で、「コロナ禍収束後もテレワークを行いたいか」に対しては、63%が肯定的なのに対し、残り37%は否定的で、「大多数が満足」「継続希望」とは言えない結果になっています。

大きく二分される結果の背景にはいったい何があるのか。
今後、この新たに増えた働き方の選択肢を有効に使いこなすためには、この「疲れ」「不満」の要因を解明し、できる限り解消しておくことが大事になってくるのではないでしょうか。

(※1)公益財団法人 日本生産性本部「新型コロナウイルスの感染拡大が働く人の意識に及ぼす調査」



「テレワーク疲れ」の三大要因

一言で「疲れる」といってもその理由・正体は大きく3つの類型に整理できます。

①精神的な疲れ
上司・部下・同僚とコミュニケーションがうまく図れないことによる不安・ストレス、職場にいる時は何とも思っていなかった雑談、いわゆるインフォーマルコミュニケーションが激減することによるストレス、あとは、社会の急激な変化に伴う「これからどうなるんだろう」という漠然とした不安などが「精神的な疲れ」の典型的なものです。

もともとスペシャリストが多いIT系や研究開発・リサーチなどの職種においてはあまり問題にならない一方で、チームワークを重視する職場であればあるほど、失われたと感じられたものが大きかったかもしれません。

4~5月の緊急事態宣言中に大きく話題になったこの「精神的疲れ」ですが、ウィズコロナ時代がある程度続くことを全員が理解し、制約のある環境の中でどうしたら課題解決できるか、多くの人が努力や工夫を重ねることで少しずつ解消の方向にあるようです。

コクヨの中でも、チームごとにランチミーティングで他愛ない話ができる時間を作ったり、チャットシステムを活用して気軽に雑談できる環境を作ったり、オフィスごとに誰でも参加できるミニセミナーを企画したりすることで、不安を解消すると同時に、場所の制約を超えて、これまで知らなかった新しい出会いをつくるといったメリットを生み出す結果にもなっています。



②時間的な疲れ
仕事が好きで、できてしまう人ほど陥りやすいのが時間的な疲れ。やりたいことややるべきことがたくさんある、もしくはやるべきことを次々に見つけてしまう人ほど、陥りやすい疲れです。

なくなった通勤時間をそのまま仕事時間へとスライドさせ、さらに夜遅くまで延々働き続けるという人もいれば、いろいろな人からミーティングやブレストや相談の依頼を受け続け、PCの前にはりつけの状態になるパターンも......。

この問題の解消には本人の意識改革が何より大事になります。自分自身の限界点を認識し、その時々の体調に合わせてスケジュールをコントロールしたり、依頼される会議やミーティングの時間調整を意識的に行ったり、仕事と生活のメリハリのつけ方を工夫するなど。
万が一、本人の意思に反して健康を脅かすほどの仕事量がある場合は、まずは上長はじめ周囲に相談をしましょう。これはテレワークであろうが出勤していようが不変です。


③身体的な疲れ
「テレワーク疲れ」の最後が身体的な疲れ。「腰が痛い」「肩がこる」という問題です。今年は特に、外出自粛に続く災害級の猛暑により運動不足になりがちなことも遠因としてありますが、直接的な原因はやはり仕事をする部屋の環境にあります。

日本の住宅事情において、仕事専用部屋を持っているワーカーは決して多くはありません。食事をしたり、リラックスするために作られた空間に、突如「仕事」が入り込むことで無理が生じ、それが肩や腰の疲れとなって出てきていると言えるでしょう。

「姿勢をよくしよう」「1時間に一回はストレッチをしよう」という意識を持つことで解消できるうちは大きく問題ありません。しかしながら、これから長くテレワークを続ける可能性がある方は、やはり空間の役割を見直し、できる範囲で環境改善を図ることをおすすめします。




実は一人暮らしは置き去りにされている!?

今回は「テレワーク疲れ」3要因の中でも、物理的な解決策が求められる「身体的な疲れ」を実際に解決した事例をご紹介します。

実は、コクヨには文具を製造・販売する事業部と、オフィス家具の製造およびオフィス空間の提案を行う2つのメーカー事業部門があります。この2つの事業部、ビフォーコロナ時代は、あまり一緒に何かを考えたり、協働する機会は決して多くありませんでした。

しかし、コロナ禍で外に出られなかった今年5月、「今だからこそ自分たちが普段蓄積してきた知識やノウハウを出し合って一緒にやるべきことがあるんじゃないか!?」とひそかに立ち上がった有志10人(実際はオンラインミーティングなので座ったままですが)、それぞれ在宅勤務を続けながら「テレワークの課題解決」に向けてディスカッションを始めました。

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オフィス空間のプロと、事務用品のプロが知恵を出し合ってできることとして、真っ先に挙がったのは、「身体的疲れ」の解消でした。そして、この時期、多くの企業や個人がインターネットに出す在宅勤務環境に関する情報を片っ端から調べる中で一つの事実に気づきます。

1Kやワンルーム暮らしの独身世帯に対するソリューションが少ない

一人で暮らす独身世代や、単身赴任の人が暮らすスペースの多くは20~30平米程度の空間。ここにベッドを置くと、残るスペースはごくわずか。工夫できる余地が限られ、結果的に座卓にPCを広げたり、ベッドの上にPCを置いて、床に座った状態で一日8時間以上働くことを余儀なくされている現実が見えてきました。



......こうして始まった、コクヨ狭小空間改造プロジェクト!
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コクヨマガジンより一部転載