組織の力

2020.05.12

Walking Meetingプロジェクト_実証実験

日々の打ち合わせをウォーキング・ミーティングでやってみた

ウォーキング・ミーティングは、実際に私たちのはたらき方をどう変えるのでしょうか? 哲学者でもなく、有名社長でもなければ大統領でもない当研究所のメンバーが実際に実験することで、一般のワーカーが実感できる効果には何があるのかを検証してみます。

実証実験

検証したい内容
・どのくらいの運動になるのか? 運動以外の効果には何があるのか?
・人数や話題には向き、不向きはあるか?
・実施するうえでの課題、ハードルは?


実験計画
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実際の実験の様子(実験2の例)
  • まずは、「ウォーキング・ミーティング」の開催連絡を入れます。
  • メンバーからルート提案の返信あり。会社近くの運河を一周したいとのこと。約2kmほどのルートです。


  • 実験当日、社内で待ち合わせて、出発。歩きで30分、オフィスで30分の計1時間、2人での打ち合わせ(実験2)に臨みます。
  • いきなり本題に入るのはなんとなく気恥ずかしく、世間話がしばらく続きます。


  • 運河に到着。世間話ばかりもしてられないので、今日の議題を確認します。
  • これで準備はバッチリ。当研究所毎週月曜恒例の、週次報告・相談を開始します。


  • (ウミネコからも注目を浴びています)
  • 歩きはじめてしばらくすると、いつのまにか議論に集中していきます。


  • 並んで歩くと、いつもと違う一体感。前向きに報告し、受け止める。互いに気持ちの余裕が生まれます。
  • 折り返し地点に来ると、「打ち合わせも残り半分」と意識し、自然と議論の内容も収束モードに。


  • 運河をひと回りし、議題も概ねクリア。いくつかの積み残しを持って会社に戻ります。
  • 会社に戻った後は、資料の再確認等の積み残しを片付けます。歩いたので暑い!


今回のウォーキング・ミーティングデータ
・人数: 2人(上司&部下)
・ミーティング内容: 週次活動報告と相談
・歩いた時間: 29分40秒
・歩いた距離: 1.89km
・消費したカロリー: 112kcal



実験結果の考察:
結果仕事を"しながら"1日で計10km歩いた!

まず、約30分のウォーキング・ミーティング、今回の実験での平均データを見てみると...
歩いた距離 :2.05km
消費したカロリー :120.8kcal
という結果となりました。2kmという距離は、身長170cmの人でおおよそ3,000歩に相当するようです。出退勤時の歩数に加えることで、理想的なウォーキングの歩数と言われている「1日10000歩」目標にグッと近くなりますね。
ある日の実験では、ウォーキング・ミーティングで5人分もの週次活動報告を受けることになり、なんと1日の合計で約10km歩きました。仕事の"合間に"ではなく、ちゃんと仕事を"しながら"1日10km歩く運動量を得られるというのは、他にはなかなかないワークスタイルではないでしょうか。


次に、「仕事をしながら運動できる」以外の効果としては、どんなものがあったのでしょうか。 参加したメンバーの感想を見てみると、共通したものでは、大きく2つありました。

1. 横並びで自然に話せる
・会議室だと面と向かって座ることが多く、場合によっては緊張することもある
・横並びの方が、目線が重なりすぎず、自然に会話ができる
・「同じ目標に取り組む仲間」という一体感を生み、ポジティブな気分で会話できる

2. 打合せが効率化しそう
・予定したルートを歩き切るまでに、話を終わらせようという意識が働く
・ルートの設定次第で、打合せのタイムマネジメントがうまく行くのでは
・資料などを持ち込めないので、何をどう話すか事前に整理できるようになりそう


さらに、ミーティング内容との親和性としては、以下のような気づきが得られました。

報告、相談、共有に向いている
・何かを意思決定するような打ち合わせは、着座してしっかりやったほうがよさそう
・アイデア出し等も、付箋等にアウトプットしていける環境の方がよさそう
・上司と部下による会話ベースでの報告・相談・共有が一番しっくりくると感じた


一方、現状の環境での課題には、どんなものがあったでしょうか。参加メンバーの感想として、大きく2つ挙がっていました。

1. 待ち合わせ場所で、効率的に準備したい
・報告・相談する要点をパッとまとめたい
・1枚だけ持って行きたい資料などをパッと印刷したい
・準備に使ったPCを一時的に預けて行きたい

2. 戻ってきた後、着座ミーティングに効率的に移行したい
・話したことを忘れないうちに記録したい
・置いていったPCや資料をすぐ受け取り、スムーズに着座ミーティングに移行したい

これらは、オフィス構築を生業とするコクヨのファニチャー事業が、新たな機会として前向きに捉えるべきポイントかもしれません。



まとめ:
若手マネジャーにオススメの働き方

実験結果をまとめると、ウォーキング・ミーティングという働き方について、以下のようなことが言えそうです。

・仕事を"しながら"運動不足を相当量解消できる
・打ち合わせに対してポジティブに臨める。効率化も見込め、生産性が拡大する
・上司と部下の間の報告・相談・共有ミーティングと相性がよさそう



ワークスタイル研究所的結論

「部下が増えはじめるが、体力は落ちはじめる、30代後半からのマネジャーにオススメの働き方」、ということで、ウォーキング・ミーティングをオススメしていきたいと思います。実際にやってみるとこの良さがよくわかりますので、ぜひ一度試してみてください!

ここからはじめてみよう
・月1回、上司 / 部下との打合せをウォーキング・ミーティングで実施してみる
・ルートと議題、待ち合わせ場所は部下に決めてもらう
・30分ウォーキング+30分着座の1時間ミーティングがオススメ

ワークスタイル研究所

2017年創設。ワークプレイスを基軸とした新しい働き方に関して、調査・実践研究・発信を通した研究活動を担っている。ワークスタイルコンサルティングや先端的な働き方や働く環境を紹介するオウンドメディア『WORKSIGHT』の発刊を行う。

作成/ワークスタイル研究所(なんか変化より転載)