仕事のプロ

2019.06.05

ピークを過ぎた脳を「デキる脳」にするためには?

次世代脳トレで脳を鍛えて仕事に活かす

人間の思考や活動のすべてを司る脳。当然、働くうえでのパフォーマンスも脳の状態により大きく左右される。しかし、私たちは普段、脳の活動をあまり意識することなく生活し、仕事をしている。一方で、年を経るごとに記憶力や瞬時の判断力の低下を痛感している人もいることだろう。そこで今回は、東北大学加齢医学研究所所長で株式会社NeU(ニュー)のCTOを務める川島隆太氏に、最新の研究成果に基づく、ビジネスに役立つ脳の鍛え方について伺った。

脳トレと脳活動の可視化で
脳の力を最大限に引き出す

川島氏がCTOを務めるNeUではさまざまなツールを開発し、企業に向けた働き方改善のソリューションとして提供している。その軸となるのが、「脳活動を可視化し、自分の脳活動を正しく認識し、意識的に脳活動を調整する」というトレーニング(ニューロフィードバックトレーニング)だ。近赤外光で脳の血流を測るセンサーを額につけると、連動したアプリケーションが脳の活動状況を可視化する。センサーをつける位置により測れる脳活動が異なるため、脳の活性化の度合いや雑念の度合い(集中度)、ストレスなど、目的に応じた測定ができる。

NeUは企業に向けて、脳活動の可視化によって実現した、脳の機能向上やストレス低減のサービスを提案しており、導入した企業では成果が出ている。導入前後でクリエイティビティを測るテストを行った結果、1か月間トレーニングをきちんとやった社員はクリエイティビティが向上し、やらなかった社員は上がらなかった、という明確な差が現れたのだ。

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「この結果が示すように、脳は20歳を超えても鍛えれば機能が上がるし、脳の活動を正しく認識してコントロールすればその力をより活かすことができます。ただし、これをキープするためには継続的にトレーニングを行う必要があります。でも、人は弱いもので、続けるのが難しい。継続のハードルを下げるために、楽しく鍛えられるツールを開発したいと思ったのが、私の脳トレ開発の原点です。自分のボケ防止のためにつくったのが、最初ですから」


川島氏が監修した任天堂のゲームソフト『脳を鍛える大人のDSトレーニング』シリーズは空前の大ヒットとなったが、NeUのサービス内でも川島氏考案の楽しく脳を鍛えられる脳トレ問題が提供されている。「楽しみながら脳を鍛えられる」というのは、同社の製品・サービスに共通するコンセプトだ。

そして、今年2月には、新たな個人向け商品・サービスが発売された。脳活動を計るセンサーと脳活動を可視化するアプリがセットになったものだ。「脳トレで脳の機能を高めつつ、脳を活性化してムダなく能力を発揮できるようサポートする商品。幅広い年齢層の方に活用していただきたい」と川島氏は述べる。今後は、利用者のデータを蓄積し、ビックデータとして研究にも役立てたい考えだ。

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「脳は何歳からでも鍛えられます。一生懸命やっているけど成果が出ないという人は、もしかしたら脳をうまく使えていないのかもしれません。楽しく脳を鍛えながら、最大限に力を発揮できれば最高ですよね」



働き方改革が進み、業務の効率化や高い生産性が求められる今、自分の脳の状態や使い方に目を向け、そこからアプローチしてみてはどうだろうか。

川島 隆太(Kawashima Ryuta)

東北大学加齢医学研究所所長。株式会社NeU CTO。1959年千葉県生まれ。東北大学医学部卒業。同大学院医学系研究科修了(医学博士)。脳機能を維持・向上するための手法を研究・開発する応用脳科学研究、人の心の動きを画像化する脳機能イメージング研究を行う脳機能開発研究などを専門とする。『脳を鍛える大人の音読ドリル』(くもん出版)など著書多数。監修を務めた「脳を鍛える大人のDSトレーニング」シリーズが大ヒットし、脳トレブームを巻き起こした。

株式会社NeU(ニュー)
東北大学加齢医学研究所川島研究室の「認知科学知見」と日立ハイテクノロジーズの「携帯型脳計測技術」を融合し、2017年8月に発足した脳科学カンパニー。脳科学の知見と技術を軸に、社会のさまざまな分野で人にフォーカスしたソリューションを展開し、脳科学の産業への応用を目指す。次世代脳トレ「ブレインフィットネス」、企業向けの「働き方改革ExBrain@Business」やコンサルティング、脳計測ハードウェア・システムの開発・販売、個人向け商品「Active Brain CLUB」などの事業を手がける。

文/笹原風花 撮影/荒川潤