仕事の効率化

2018.07.25

目的と関係性に合った情報共有でムダをカット

仕事の効率化12:コミュニケーションツールを的確に使い分ける

伝えるツールを使い分けて
コミュニケーションを効率化する

近年は携帯電話やスマートフォンのショートメール、SNSなどさまざまなツールが登場し、定番である対面や電話、PCによるメールなども含めて、コミュニケーションのとり方が多様化しています。
 
しかし、コミュニケーションツールの選択肢が増えるにつれて、新たな問題も出てきています。例えば、プロジェクトの関係者全員に情報を共有しようとCCでPCメールを送付したのに、ほとんどのメンバーはメールを機械的に開いただけで添付ファイルは見ずに、後日メールや電話で個別に質問される……といったことはよく起こります。便利なはずのコミュニケーションツールが、情報のヌケモレや二度手間の原因となり、仕事の効率を下げてしまう場合もあるのです。
 
そこで今回は、コミュニケーションツールの使い方を取り上げます。いつも決まったツールばかりを使うのではなく、コミュニケーションの目的や相手に応じて的確に使い分けることで、情報や意見をモレなく伝え合うことができます。
 
今回の内容は、連載第1回で紹介した「忙しさの7つのタイプ」の中でも、タイプ4「仕事が堂々めぐりして、前進していないと感じるこどがある」と、タイプ6「仕事が速いとき・遅いときのムラがある」に当てはまる人には特に、ご一読をお勧めしたいと思います。コミュニケーションツールを効果的に使い分けることによって、情報伝達によるタイムロスや行き違い、二度手間がなくなり、仕事を効率化できるはずです。
 
 
 

コミュニケーションツールの使い分けは
3つの視点から考える

コミュニケーションツールの使い分けは、以下の3つの視点から考えるとよいでしょう。
 
①目的に合っているか
例えば、日時確認や可否の返事だけなら、PCメールでなくショートメールやLINE、社内なら口頭で十分な場合もあります。一方で、記録として残す必要がある場合や、相手に見てもらいたい資料を添付するときはPCメールの方が適切です。また、トラブル対応は取引先を訪問して対面で話すのがマスト。
このように、コミュニケーションの目的に応じて適切なツールは違います。どのツールが業務の目的に合うかを考え、使い分けましょう。
 
②相手との関係性にフィットするか
①で例として挙げたように、日時確認にショートメールを使うと便利です。しかし、1~2回しか会ったことのない取引先の担当者に対して使うのは、一般的には失礼にあたります。相手との関係性によってツールを使い分けることも、コミュニケーションをとるうえでは重要です。さらに、面識のある相手にも「開始時間はショートメールで連絡していいですか?」など、そのツールでよいかどうか合意をとることも忘れずに。
 
③時短につながるか
ショートメールを使って社内のプロジェクトチームメンバーに打ち合わせ日時の連絡をしたのはいいけれど、相手から「その日程は都合が悪い」と返信があり、結局何回もやりとりをすることに……。この場合は、ショートメールではなく直接会ったり電話をかけたりしてやりとりをする方が短時間で済み効率的なのは明らかです。使い慣れたツールを無意識に選ばず、「このツールを使うことは本当に時短につながり効率的か?」と常に自分に問いかける習慣を持ちましょう。
 
この3つの視点をベースに、ツールを使い分ける基準を整理しておくと、効率的にコミュニケーションをとることが可能になり、仕事のスピードがアップします。
 
 
 

複数ツールの「合わせ使い」も
より的確なコミュニケーションに有効

なお、場合によっては複数のツールを組み合わせて使うことも、的確なコミュニケーションの手助けになります。
例えば冒頭で挙げたように複数の人にCCで資料を送るなら、PCメールの後にLINEで「ミーティングの内容に関わる資料なので見ておいてください」と伝えておけば、多くのメンバーは資料に目を通してからミーティングに臨んでくれるでしょう。
 
また、少し複雑な内容について電話で話したいときは、「5W1H程度の簡単な内容をPCメールで知らせておく→実際に電話で話す→決定した内容をPCメールで共有する」といった段階を踏んだ使い方もお勧めです。先に箇条書きレベルで話したいトピックを知らせておくことで、相手は必要な資料を揃えて準備をしておくことができるので、電話中に書類などを探す必要がなく、時短につながります。
また電話で決めた内容をPCメールによって文字で共有すれば、ニュアンスを取り違えたまま作業を始めてしまうなどの食い違いが防げます。
コミュニケーションツールの使い分けに絶対の正解はありません。しかし、「この場合にはこの方法で」という基本型があると、コミュニケーションのタイムロスや行き違いが減り、何かあったときに迷わず対応できます。自分なりに使い分けの方法を整理しておきましょう。
 

鈴木 進介 (Suzuki Shinsuke)

経営コンサルタント。独自の思考整理術を構築し、「思考の整理家」として、現在では一部上場企業からベンチャー企業までコンサルティング実績は100社以上。講演会や人材教育の分野でも活躍する。『1分で仕事を片づける技術』『1分で頭の中を片づける技術』(共にあさ出版)など著書多数。

イラスト/海老佐和子