ライフのコツ

2014.04.04

あそんでみました!キッズデザイン受賞作品

こどもの創造性をひらく商品を徹底分析 前編

「こどもたちの創造性と未来を拓くデザイン」などのテーマで優れた製品・空間・サービスを紹介・表彰しているキッズデザイン賞。今回は、過去の受賞作品の中からWorMo‘編集部がセレクトしたオススメの玩具を前編・後編に分けて紹介します。編集部メンバーのあそび方や、身近なモノとの組み合わせ方をヒントに、こどもといっしょに「あそびの可能性」を拡げてみませんか。

WorMo’編集部
河内律子/WorMo’編集長。工学分野を修了後、教育業界を経て、知育教室や保育施設のプロデュースを歴任。3歳男児のワーキングマザー。
疋田千束/学び関連の記事を担当。保育士・幼稚園教諭資格保有者として幼児教育のプログラム開発や受験指導など豊富な経験と知識を持つ。
栗木妙/ワークスタイル関連の記事を担当。イギリスでMuseum Studiesを修了し、美術とこどもの学びを繋ぐアートエデュケーターとして活躍。
安永哲郎/リサーチとインキュベーションを担当。保育施設のプロデュースやワークショップなどの運営を経て、創造性に関する研究に従事。

ソフト積み木こるく
(2010年度 フューチャープロダクツ部門 キッズデザイン賞受賞)

手触りがやさしく
倒れても安心なコルク素材

栗木:(手に持ってみて)あ、思ったより軽い。ちょっと弾力があるかな。
河内:角も縁も丸くなってて、全体的に曲線的な感じだね。見た目からして安全な感じ。
疋田:積み木ってつい投げちゃう子もいるけど、これなら万が一当たってしまっても痛くなさそう。
栗木:私はこのカラーも好き。コルクタイルとかだとダークブラウンのモノも多いけど、天然素材コルクのナチュラルな色は目に優しいよね。
 
編集部:左から)安永、疋田、栗木、河内
栗木:たとえば、こうやって積み上げていっても...
河内:もっと積めるかな?危ない、倒れそうだ!
全員:(積み木が倒れてしまって)あー。
疋田:でもコルクだから危なくないし、倒れることも恐れず思いっきりあそべそう。

軽くて滑りにくい素材で
積み木あそびの可能性が拡がる

安永:(積み木を積み始めて)へーえ、こうやって斜めにも積めるんだ。
疋田:このコルクは塗装してないから、ほどよく摩擦力が働いて滑らないのよね。こういう積み方は今まで見たことがなかったかも。
栗木:ここに気づくと、楽しみ方が一気に拡がるね。もっと高く積んでみましょうよ。1人ずつ順番に。
河内:おともだちが来た時に、こうやってみんなで積み木ゲームすると面白いかもね。この半円形の上に三角を載せてみようかな。
 
安永:グラグラしてる。この上に積むのは緊張するなぁ...あっ!(積み木がバランスを崩して倒れる)やっちゃいました(笑)。崩れてもあまり音がしないんですね。
疋田:コルク材が衝撃を吸収するからだね。こどものファースト玩具にいい感じ。
栗木:ただ積み上げるだけじゃなく、どれだけ難しい場所に積めるかとか、面白い形になるように積んでみようとか、いろいろ挑戦していくと、バランス感覚が養われるね。
安永:それに、できた形がすごく面白い!
河内:親子で挑戦しても、すごく楽しめそうだね。
安永:手に持ったまま積むあそびはどうですか?けっこう難しいけど...
疋田:あっそれ面白いかも!
安永:見てください!おでん(笑)。
 

大きいこどもたちなら画びょうや付せんで
アレンジして見立てあそびも

河内:コルクといえばコルクボードを思い出すよね。画びょうとかが刺せるのもコルク積み木の魅力かも。
栗木:ちいさなこどもには危ないけど、大きくなってからの発展的なあそびとしては面白いね!
疋田:(画びょうを差しながら)いろんな画びょうを使えば...できた!
栗木:それは...ウサギ?
安永:いや、ネズミでしょ。
疋田:じゃなくて...もういいです(笑)。形がシンプルだから、いろんな動物に見えちゃうんだよね。
河内:つまりいろんなモノをつくれるってことでしょ(笑)。こどもなら、もっと想像もつかないモノをつくるかもね。動物に見立てるなら目玉をつけてみてもいいんじゃない?
栗木:かわいい! カラフルな付せんでアレンジするのも面白いよ。
安永:丸いのを上に載せようとするとうまくいかないけど...画びょうを使って安定させればいいんですね。
疋田:ほら、こんなふうにしてメッセージボードもつくれる。
河内:これならリビングにあっても違和感がないね。こどもにつくってもらおうかな。
栗木:積み木に他の素材を組み合わせると、あそびの可能性も拡がるね。
 
 
注意)画びょうの取り扱いには十分ご注意ください。また、画びょうによって本体に穴が開く場合もございます。

【ソフト積み木こるくの編集部おすすめポイント】

 ・柔らかくて持ちやすく、手先にちょうど良い感触や刺激がある
 ・倒れても安全だから、「高く積み上げたい!」という好奇心を満たせる
 ・斜めにつんだり尖ったものをさせたり、素材の特徴から気づきを得られる
 ・コルクという素材が積み木の可能性を拡げている



STOCS(ストックス)
(2012年度 子どもの未来デザイン クリエイティブ部門 優秀賞受賞)

つくりながら模索する
プロセスが思考力を育てる

河内:棒状の縄がたくさん...軽いけど、しっかり硬さがあるね。
疋田:これはオランダの建築家が考えた知育玩具で、縄みたいな棒をどんどんつなぎ合わせて立体物を作れるのが特徴なんだって。
栗木:平面でいろんな形を作って、陣取りゲームもできるよね。棒と棒をつなげるには、端と端を結べばいいんでしょ?
安永:硬いところどうしが重なり合うようにするのがコツみたいですね。あまり力を入れなくても段階的に締めると頑丈になります。
 
疋田:結び方はわかってきた...ところで私、いったい何をつくってるんだろう?こどももきっと、つくりながら考えていくんだよね。
栗木:(STOCSを結びながら)こうすれば立体に...あれ、立たない。
河内:やってるうちに、どうすれば丈夫な構造になるかわかってくるよね。タテの線をプラスすればいいとか。
安永:STOCSでいろんな三角形を作っておくと、中学の数学で図形の勉強をする時に、感覚として理解しやすいかもしれませんね。四角をつくって、そこに棒を斜めに繋げると...あっ、長さが足りない?って気づくから三角形の辺の長さの関係を実感できますね。
河内:図形の基本を体感できるってことだね。

室内におうちをつくって
こどものプチ隠れ家にも

安永:なんとなく、おうちらしき立体になってきましたね。でもしっかり自立させるのは...支えになる棒を足していかないと。
河内:この支えの棒をどこに結ぶかも考えないと。バランスが大事。
栗木:そうだね。ただ棒の端を結んでいくだけじゃなく、自立できるようにバランスを考えないとね。最初はちょっと難しいかも...
安永:どうすれば自立するか、あそびながら考えていくのがいいですね。
疋田:でも、けっこうこどもの方がその辺のカンがいいかも。大人よりも上手くできたりして(笑)。
全員:完成!パチパチパチ
安永:けっこう頭も体も使いましたね。汗かいちゃいました。
河内:でも、達成感!これ楽しいね。理数系のお父さんと一緒にやるのがいいかも。
安永:別売りで、こんな屋根がつくれる布があるんですよ。
疋田:わっ、面白そう。かけてみようよ。
河内:(布をかけて)こうすればまた違った感じに...。あー、一気におうちっぽくなった。テントみたい。
栗木:私、入ってみていい?(テントの中に入って)わ、楽しい! 隠れ家みたい。
安永:こどもの「隠れたい願望」が満たされますよね。
疋田:しかも、かけてあるのが薄い布なら、外からこどもの姿が見えるから、大人としても安心。そこもポイントだね。
栗木:この空間って、守られてるみたいで落ち着く。それに、こどもにとって1人で落ち着ける場所ってとっても重要だよね。集中して考えごとをしたり、なにか作業したりとか...
疋田:そうそう!隠れがでこっそりと面白いこと考えたり、1人あそびに夢中になったり。こどもはこういう空間が大好きだからね。
栗木:自分だけの世界だから、おもいっきり空想にふけったり(笑)。
安永:想像力が育まれますね。
 

素材を組み合わせれば
世界に1つだけの私のおうちに

栗木:せっかくだからもっとおうちっぽくなるように装飾してみようか。模造紙に絵を描いて、おうちの壁をつくってみたんだけど...どうかな。
河内:あっ、いいんじゃない!豪華なにったよ(笑)。
疋田:こどもたちが喜びそう。もっと飾ってみようよ!
栗木:マスキングテープとかもいいね。
 
安永:このおうち、外でつかっても楽しそう。今日は天気がいいし外に出してみましょうか。
河内:あー、影がキレイ!風も通って気持ちいいね。楽しみながら自然に触れられるから、こどもの新たな気づきが得られそう。
疋田:外だからこそ影にも気づけるし、このおうちを使って光と影の探索ができるね。自然現象に興味をもつきっかけになりそう。公園とかで家族みんなで、光と影と風であそべたら楽しいね!
栗木:いろいろ飾り付けて、自分らしくするのもいいし、使う場所もいろいろ選べて、あそび方の可能性が拡がるね。
河内:そんなところが、このSTOCKSの魅力だね。

【STOCSの編集部おすすめポイント】

 ・工夫や思考を重ねながら構造を学べる
 ・図形の基本的な理解につながる
 ・頭と身体をいっぺんに使える
 ・屋内だけでなく、屋外であそぶことで新たな発見ができそう


【商品紹介】
ソフト積み木こるく/フレーベル館(2010年度フューチャープロダクツ部門キッズデザイン賞受賞)
舐めたりかじったりしても安全で手触りの良い高品質のコルクを無塗装で使用し、縁や角が欠けにくい曲面処理で仕上げました。素材に適度な摩擦もあり積みやすく、軽く扱いやすい大きさの積み木です。
購入はこちら>>>
 

文/横堀夏代 撮影/野村一磨