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2021.11.18

脱炭素とは?地球温暖化対策として注目されている理由

知っておきたいトレンドワード1:脱炭素

気候変動による自然災害が世界的に頻発し、年々深刻化する地球温暖化。その対策として最も注目されているのが「脱炭素」。脱炭素社会の実現が急務といわれるのはなぜか? 地球温暖化と脱炭素の関係とは?

脱炭素ってなに?

脱炭素とは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を抑え、排出された二酸化炭素を回収することで実質的な排出量をゼロにすること。この二酸化炭素の排出を抑制するという概念は、「カーボンニュートラル(炭素中立)」とも呼ばれています。




なぜ二酸化炭素が増えたのか?

地球温暖化をはじめとした環境問題のはじまりは18世紀イギリスの産業革命にさかのぼります。科学技術のめざましい発展の一方で化石燃料などによるエネルギーの大量消費によって、二酸化炭素が大量に排出されるように。環境省が発表した2019年度のデータでも、二酸化炭素総排出量の9割以上が、燃焼やエネルギーの使用によるものといわれています。




脱炭素が急務な理由

二酸化炭素は温室効果ガスの約80%をしめ、地球温暖化の最大の原因といわれています。この二酸化炭素の排出量が増え続けたことで、2010年からの10年で気温上昇のペースが加速しています。その影響で、世界中で異常気象や海面上昇といった問題が多発するなど、地球温暖化の影響が目に見える形で深刻化。危機感が急速に高まりました。




脱炭素への取り組み

二酸化炭素排出量の削減に向けて、さまざまな対策が打ち出されています。

日本の脱炭素の目標は?
日本は2030年に2013年比で26%減という目標を掲げていますが、日本は世界的にみても温室効果ガスの排出量が多いこともあり、26%減では不十分だという指摘もあります。2030年目標は日本にとって、必ず実現しなければならない最低限の目標です。


脱炭素経営とグリーン・バリューチェーン

脱炭素社会の実現には産業活動を担う企業の協力が可欠。二酸化炭素の排出を抑制しながら企業活動を継続させる「脱炭素経営」が求められています。なかでも注目されているのが、自社だけでなく他社も含めたサプライチェーン全体で、温室効果ガスの排出量削減に取り組む「グリーン・バリューチェーン」。関連企業と連携して取り組むことで、より効果的で効率的な「脱炭素経営」が実現できると期待されています。環境省は「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム」を公開し取り組みを支援しています。



2030年エネルギーミックス

エネルギーミックスとは、エネルギーをバランスよく組み合わせて社会全体が必要とする電力をまかなうこと。二酸化炭素を削減するためには、太陽光や風力を利用した自然エネルギーが推奨されていますが、価格や安定供給の面で課題があります。また石油や石炭など化石燃料の枯渇も深刻化していて、エネルギー問題は複雑です。環境への影響だけでなく、経済面や安定供給の面など複数の要素を考慮しながら、最適なエネルギー計画が求められています。

2030年エネルギーミックスは、2030年度の実現を目標に政府が示している電源構成案です。エネルギー自給率の低い日本が安定的に供給を維持しながら、化石燃料の削減や再生エネルギーの利用拡大といった、二酸化炭素の排出量を抑えたエネルギー供給をめざしています。




二酸化炭素と共存する未来へ

二酸化炭素の増加が地球温暖化の最大の原因といわれ、脱炭素が急務になっていますが、同時に、二酸化炭素は生物が生きていくうえで欠かすことのできないものでもあります。地球を適温に保つ温室効果に優れ、植物の成長に欠かせない光合成の素としても必要不可欠だからです。

脱炭素や脱炭素社会の実現に向け、これからの経済活動は、環境負荷を減らしていくことを最優先に、二酸化炭素と共存しながら持続可能な未来を創っていく必要があるのです。

COVID19の影響で、2020年の世界の二酸化炭素排出量は大幅に減少
新型コロナウイルス感染症の流行により、各国がロックダウンなどの行動制限を行ったことで、2020年の二酸化炭素の排出量は大きく減少。科学ジャーナル「Earth System Science Data」によると、1月から9月にかけて世界の排出量は約8%減少し、すべての国と地域で減少しました。

作成/MANA-Biz編集部