ロジカルシンキング

2016.04.13

上司を納得させる、上手な話の組み立て方

ロジカルシンキング2:話す順番しだいで10倍伝わりやすくなる

あなたの話がわかりにくいのは
伝える順番がイマイチだから

「あの件、やっぱり止めていいですか」と上司に話を切り出すと、「えっ、何の件だよ?」と注意される。こんな経験ないでしょうか? 上司は複数の仕事を複数の部下と進めています。だから、いきなり話をされてもわかりません。論理的に話すために必要な要素として「結論」と「理由」がいるという話を前回しましたが、それ以外にあと2つ必要なものがあるんです。


その1つが「論点」です。「論点」とは、ざっくり言うと「何のことについて考える(話す)のか」です。ビジネストークでは、「課長、(論点)来週の広島出張の同行の件ですが、(結論)やっぱり止めてもいいですか。(理由)実は急なトラブルが発生しまして・・・」というように、まず論点を言ってから、結論と理由を話すことが大切です。


もう1つの必要な要素とは最後に「行動」を言うことです。日本語は主語がなくても「〜すべきじゃないですか」という言い回しができるので、誰がするのか曖昧になりがちです。会議で「来週までに競合の調査をするべきですね」と言っていたのに、誰もしなかったという経験はないでしょうか。話の最後に具体的な「行動」つまり、「誰が、何をするか」をきちんと言うことで、しっかりとしたコミュニケーションがとれるわけです。


わかりにくい話とは、たとえばこのような感じです。


「A社のスマートフォンはとても安いです。他方、営業は多機能なスマホを求めていまして、その点はB社も悪くないのですが、A社の機能で十分です。C社も...」。


何の話かという論点も、何が言いたいのかという結論も、よくわからないですよね。

つまり、わかりにくい話の原因は、以下の4つになっています。


1.そもそも何を話しているのか、「論点」がわからない

2.結局何が言いたいのか「結論」がわからない

3.どのような根拠があってそう言っているのか「理由」がわからない

4.どうしてほしい(どうする)のか「行動」がわからない


ということは、わかりやすい話をすることは結構、カンタン。「論点」→「結論」→「理由」→「行動」の流れで話せば、誰が聞いても伝わる話ができるようになるんです。


(論点)営業部隊へのスマートフォン導入の件ですが、

(結論)A社の製品を導入するのがよいと思います。

(理由)機能、価格、セキュリティの視点で調べましたがA社が一番優れていました。

(行動)こちらの比較表を確認いただき承認いただければ、手続きに入りますね。


このように「論点」「結論」「理由」「行動」の4つがきちんと伝われば、どんな相手にもうまく伝えることができます。もちろん、相手が結論に対して、反論することもあるでしょう。ただし、それは話がわからなかったわけではなく、建設的な議論になっているはずです(もちろん、相手も論理的に話してくれればですが)。

スムーズにコミュニケーションするために、4つのポイントを正しく押さえて伝えることを意識してみてください。

下地 寛也(Shimoji Kanya)


コクヨ㈱入社後、行動と環境(創造性、コミュニケーション、場のあり方等)に関する研究・分析を担当。2003年より、クライアントの企業変革のコンサルティングや研修コンテンツ企画を担当する。著書『コクヨの3ステップ会議術』(中経出版)、『コクヨの1分間プレゼンテーション』(中経出版)、『コクヨの5ステップ ロジカルシンキング』(中経出版)、『コクヨの「3秒で選び、2秒で決める」思考術』(中経出版)、『コクヨのコミュニケーション仕事術』(総合法令出版)



イラスト/フクイヒロシ