レポート

2015.02.10

女性ならではのビジネススキルを身につける

講義レポート/プレゼンテーションのお作法

本格的なビジネス理論やメソッドを、女性が理解しやすいスタイルでお伝えする本講座。最終回のテーマは「プレゼンテーションのお作法」です。プレゼンテーションの目的・目標とは何か、どのように構成すれば相手に伝わるのか、資料はどのようにつくればいいのか、そして本番でうまく話すコツについて、講師のタブタカヒロさんが徹底的に伝授してくださいました。

相手に自分の想いを伝えて
相手を動かすための手段
プレゼンテーションとは、相手に自分の想いを伝えて、相手を動かすための手段です。重要なのは、「相手を動かす」という部分。ただ想いを伝えるだけでは不十分なのです。
では、人生において最高のプレゼンテーションとは、何でしょうか。そう、プロポーズですね。自分の想いを相手に伝えて、相手を動かす(結婚を決心させる)という、とても重要なプレゼンテーションです。
さっそく本題に入りましょう。最初に押さえておきたいのが、プレゼンテーションの基本原則です。プレゼンテーションでは、聴き手の根本的な二つの質問に答えます。「私(聴き手)に何をしてほしいのか」、そして、「それをすると、私にどんないいコトがあるのか」。この質問を頭に入れておかなければ、独りよがりのプレゼンテーションになってしまいます。
では、よいプレゼンテーションって何でしょう?それは、次の3つの要素をおさえたプレゼンテーションです。順番に説明していきます。
  • ①明日の自分がイメージできる
  • ②納得できる・共感できる
  • ③記憶に残る
プレゼンテーションの
目的と目標を明確にする
まず、「明日の自分がイメージできる」こと。プレゼンテーション後のあるべき姿、つまり、プレゼンテーションの目的と目標を明確にすることです。
目的と目標というのは混同されがちですが、この場合の目的は「プレゼンテーションを通して、自分はどんなことを実現させたいか(=大きなビジョン)」、目標は「プレゼンテーション後、相手にどうなってほしいか(=今回のプレゼンテーションのゴール)」です。目的と目標がはっきりとしていないと、たとえ見やすくキレイな資料がそろっていても、「よいプレゼンテーション」とは言えません。相手を動かすことができないんです。
目標を決める際に欠かせないのが、プレゼンテーションの聴き手、つまり相手を知ることです。具体的には、案件に対する興味(ある・ない)、知識(少ない・豊富)、言葉(専門用語を知っている・知らない)、決定権(強い・弱い)の4つについて、相手の現状を把握すること。そしてプレゼンテーションが終わったら、聴き手にどうなって欲しいのか目標をきめます。
では、ここで最初のワークです。チームに分かれて、実際に皆さんがお仕事で近々やる予定のプレゼンテーションをテーマにしましょう。そして、相手、目的、目標、そして相手のあるべき姿(現状とプレゼン後の目標)を考えて、シートに書き込んでいきましょう。
Why(ビジョン)、How(理論)
What(具体論)の順で伝える
続いて、2つめの要素「納得できる・共感できる」について、考えていきます。相手に自分の想いを伝え、納得・共感してもらうためには、本講座の第1回目で紹介した「Why・How・What」の順で伝えていくことがポイントです。なぜなら、人の脳の構造が、この順でものごとを理解する仕組みになっているからなんです。
最初のWhyはビジョンです。具体的な提案の前にまずは魅力的な未来像を相手に伝わる言葉で訴えます。Howは理論です。その魅力的な未来像はどのようにすれば実現できるのか、誰にでもわかるロジックやフレームワークを使いながら伝えます。最後のWhatは具体論です。明日何をやればどうなるのか、相手に具体的に提案していきます。
Howで用いるフレームワークには、コツがあります。フレームワークとは、思考の「型」のことです。本講座第3回の「ロジカルシンキングのお作法」でお伝えしたように、数式やだんどりを使う、ポイントは3つにまとめる、ということを心がけると、わかりやすく伝わりやすいプレゼンテーションになります。
ここで2つめのワークです。「伝わるカタチにするシート」を使って、各チームのプレゼンテーションのテーマを、相手に伝えるビジョン(Why)、理論(How)、具体論(What)を整理していきましょう。
ストーリーをつくり
シンプルに、美しく
3つめの要素「記憶に残る」は、相手を動かすプレゼンテーション資料づくりのお作法です。主なお作法は3つです。
  • ①ストーリー :目次をつくる(今どこの話かわかるように)
  • ②シンプル :1ページ1メッセージ(50文字以内)、色とカタチに意味を持たせる(色もカタチも3つ以内)
  • ③ビューティフル :文字の大きさは16ポイント以上、グラデーション・コントラストを使う、写真やフレームワークでみせる
では、実際にプレゼン資料(スライド)をつくってみましょう。各チームのテーマについて、プレゼンテーションの目的と目標のスライドとビジョン・理論・具体論を説明するスライドをホワイトボードに描いてみましょう。
聴き手と対話をしながら
誰かになりきり演じ切る
プレゼンテーションでは、一方的な講演ではなく、聴き手と対話することを心がけること。そのためには、自分を開放しつつ、コントロールすることが大切です。
●開放する :自分は一人じゃない、と言い聞かせる。聴き手を見渡し、うなずく人を見つけ、語りかけてみる。
●コントロールする :時間割をつくる。台本は読まない。スライドをつなぐ接続詞と言い出しを事前に考えておく。
そして、演じるように誰かになり切り、歌うような話し方をするのも本番で上がらないコツです。事前に、頭の中で通しでシミュレーションをしておきましょう。
講義の最後には、これまでのワークで詰めてきたテーマについて
3分間のプレゼンテーションを行いました。
プレゼンテーションは舞台です。プレゼンテーションの間、皆さんは女優です。自分の想いを込めたストーリーを、堂々と演じ切ってください。
自分の魅力やつよみに気づき
それを活かしてさらに輝く女性に
じぶんせんりゃくのお作法、ロジカルシンキングのお作法、はやく帰る仕事のお作法、そして、プレゼンテーションのお作法と、5回にわたって本格的なビジネススキルを身につけるための講座をお届けしてきました。講師のタブさんが願うのは、女性が自分の持つ魅力やつよみに気づき、それを活かしてさらに輝いていくこと。本講座で学んだ4つのお作法をつかって、自分の理想に一歩ずつ近づいてください。

文・撮影/笹原風花