リサーチ

2019.10.17

低迷する若い世代の「挑戦力」をどう育てるか?

「認められている」実感が重要

従業員同士がオープンに贈り合う新しい成果給「ピアボーナス」を実現するサービス『Unipos』を提供するUnipos株式会社は、2019年5月に『“新しい挑戦”に関する実態調査(対象:全国の上場企業に勤める20~30代の男女ビジネスパーソン1,030名)』を実施している。その結果をもとに、仕事における「挑戦への意欲」と、「認められている実感」の関係性を考察する。

新しい挑戦をすることは仕事をするうえでの喜びでもあるが、挑戦にためらう人も少なくない。企業は新しい感覚を求めて若い世代の採用を進めているものの、挑戦に消極的な若者に対して戸惑いを感じる管理職もいるようだ。しかし、挑戦に対する意欲が他ならぬ「職場環境」によって削がれている可能性に注目したい。
Unipos株式会社が2019年5月に実施した『“新しい挑戦”に関する実態調査』によると、仕事の中で新しい挑戦をすることに心理的なハードルを感じる20~30代のビジネスパーソンは、84%にのぼるという結果が出ている。
 
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心理的ハードルを感じる理由として1位に挙がったのは、「失敗をして信頼を失い評価が落ちるのが怖いから(35.6%)」。結果を重視しすぎる企業体質 や個人の意識は 若者を萎縮させ、可能性をつぶしてしまっている恐れがある。「成果が上がらなければ企業の損失になる」という目先のことにとらわれず、「失敗してもいいからやってみろ!」という度量をもって育てることも必要だ。
2位の「今やっている仕事で認められている実感がないから(24.9%)」という意見は非常に興味深い。日頃の仕事で認められてもいないのに、新しいことに挑戦などできるわけがない、挑戦を許してもらえるわけがないという心理が見える。
 
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一方で、挑戦に心理的ハードルを感じない人の理由としては、「スキルアップに繋がると感じるから(31.5%)」がトップ。そもそも、仕事において向上心の強い層は、自らの目標のためなら挑戦をいとわない。しかしそれも、「言われたことだけやればいい」、「失敗しなければいい」という風土では成し得ないことなので、挑戦をスキルアップの手段と考えることができる人たちは、ある程度挑戦が許される環境にいることが推測される。
 
2位は「日々仕事を認められている実感があるから(24.8%)」。挑戦にハードルを感じる理由の2位だった「認められている実感がないから」と対極の回答だ。日々の仕事を認められていれば、挑戦に対するモチベーションも上がるということが如実に表れている。また、3位以下の回答を見ても、「自分を認められている」という実感が、挑戦に対する躊躇を振り払っていることは明確だ。
 
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両者の明暗を分けた「日々の仕事を認められているか否か」。それを明確に示すグラフが以下である。新しい挑戦をしたことがある人のうち60.8%が、「週に一度以上、小さな工夫を認められている」と回答している。一方で、新しい挑戦をしたことがない人は、わずか33.2%しか同じ頻度で小さな工夫を認められていない。日々の業務の中で認められ自信をつけることと、新しい挑戦への意欲や不安の払拭には、深い関係性があることは否めない。
 
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日々の挑戦をためらう最大の理由は、「認められていない」ことに対する不安かもしれない。さらに、失敗したときに責められる、評価が下がるといった不安も加わる。「日々の仕事で実績を上げていないのに、新しい挑戦なんて」という社内の空気も影響しているかもしれない。しかし、そのような風潮で若い芽を摘むのはもったいない。現状のルーティンの中では発揮しきれない才能が開花する可能性もある。若者の挑戦する力を育てることは、企業の将来にとっても大変重要なことだ。
 
仕事への向き合い方が多様化してきた昨今、「仕事は生活費を稼ぐ手段であり、大事なのはプライベート」と割り切る若者も多い。しかし、周囲から認められ自己肯定感が満たされれば、「がんばりたい」という気持ちも自ずと膨らんでくるものではないだろうか。仕事のフィールドであろうと、プライベートであろうと、その心理は同じであろう。
 
若者にもっと挑戦してほしいと感じているなら、小さなことでも若手を認め、褒める試みをしてみてはいかがだろうか。反骨精神の時代ではなくなった今ではあるが、「褒めて伸ばす」の威力は思った以上に健在なのかもしれない。
 
 

 

作成/MANA-Biz編集部