仕事のプロ

2018.10.22

働きやすさを支える「オフィスカイゼン」〈後編〉

「ワーカーが笑顔になれるかどうか」が成功のポイント

コクヨ株式会社では、オフィスの働きやすさ向上を目指すオフィスカイゼン委員会が6年前から定期的に活動している。自ら「カイゼンマン」として活動するファニチャー事業本部の一色俊秀氏は、「一度カイゼンした課題でも、見直しが必要になってくる場合もあります。繰り返し手をかけていくことで、さらなる使いやすさが実現します」と語る。後編では、委員会のとりまとめを手がける一色氏に、カイゼン活動で意識していることや実際のオフィスカイゼン例についてお聞きした。

小さな不便や不満を見過ごさなければ
快適なオフィスに一歩ずつ近づける

最後に、オフィスのカイゼンポイントに気づくためのコツを一色氏に聞いてみた。

「私の場合は、頭の中で1日の行動をシミュレーションしています。すると、『そういえばここが不便だな』と気づくことは多いですね」
そして、小さな不満も見過ごさずに挙げることが大切だという。

「私が最初に出したオフィスの課題は、男性トイレに設置してあるシャワートイレの水勢が弱い、というものでした。誰も言わないけれど、確かにストレスのもとになっていました。でもビルの管理会社に相談したら翌週には直りました。このことを事例として挙げたことで、委員会のメンバーは『こんな小さなことでもいいのか』と思ってくれたようで、躊躇せずに気づいたことを挙げてくれるようになりました。課題というと深刻な響きがありますが、まずは小さな不便や不満を洗い出してみてはいかがでしょうか」

オフィスカイゼンは、ストレスのない働き方を実現するための小さいけれど確かな一歩になり得る。まずはここで挙げるオフィスカイゼン案で取り入れられそうなものを、あなたのオフィスでもやってみてはどうだろうか。



明日から実践したくなる
「オフィスカイゼン」事例


共用文具

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共用文具は、平らなところに置くものの形状(姿)を表示しておく「姿置き」にする。定位置があることで「使ったら戻す」の意識が高まり、紛失が減る。




虹色ハンガー

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ハンガーの首の部分などの見えるところに色違いのマスキングテープを巻く。自分が掛けたハンガーの色を覚えておけば、外出時や退出時に迷うことなく簡単に探せる。






傘持ち帰ってくだサイ

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晴れた日の朝、残っている傘に「持ち帰ってくだサイ」シールを貼り、一週間後にチェックし、シールがそのままの傘を撤去。シールを貼ることで、放置物かどうかを見た目で区別できる。




会議備品トレー

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会議室にホワイトボードマーカーやマーカーのカートリッジ、イレーザーなど会議備品一式が入ったトレーを用意しておく。必要な備品が見やすい位置に常備されていることで、探す手間をはぶき、備品の不備によるタイムロスが防げる。





オフィスカイゼン委員会

2013年春にコクヨ霞が関オフィスで発足。ワーカー自身が知恵を出し合ってオフィスのさまざまな課題を運用面から解決するための委員会。2015年には株式会社リクルートキャリア主催の「グッド・アクション賞」を受賞。2016年に開設されたwebサイトでは、6年間で蓄積された数百件のカイゼンアイデアを順次公開している。https://www.kokuyo-furniture.co.jp/kaizen/

文/横堀夏代 撮影/石河正武