チェックワード

2017.08.28

「ジンクス」は大事にしない方がいい

本日のチェックワード 45「ジンクス」

「このネクタイでプレゼンをするとうまくいく、というジンクスがあって……」

 大切なプレゼン前。場の雰囲気を和ませようと、チームメンバーに上記のような言い方をすることはありませんか?
「ジンクス」(Jinx)という英語は、実は「縁起の悪いもの」を表します。そのほかに「呪い」や「不運」という語義もあり、かなりマイナスなニュアンスのある言葉なのです。ですから、「ジンクスを破る」という言い方はありますが、「ジンクスを守る」などはあり得ません。この言葉が日本に入ってきたときに、因縁があるようにみえる事柄を広く指す意味合いで使われたため、そこから転じて「縁起のいいモノ・コト」という意味でも用いられるようになりました。
 ジンクスを大切にすることは、言葉が持つ本来の意味から考えると、わざわざ縁起の悪いコト・モノを取り入れていることになります。ビジネスシーンでは、「縁起がよい」などのフレーズを使って言い換えましょう。

この使い方ならOK

・3年目のジンクスを破ろう
・あの会場は立地も設備もいいのですが、受講者が集まらないジンクスがあるので、他を探してみませんか?

監修/篠崎 晃一(Shinozaki Koichi)

東京女子大学教授。専門は方言学、社会言語学。『例解新国語辞典』(三省堂)編修代表や、テレビ番組「ワーズハウスへようこそ」(日本テレビ系)の監修など幅広い分野で活躍。『えっ?これっておかしいの!? マンガで気づく間違った日本語』(主婦の友社)など、日本語の誤用に関する著書も多い。