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選ばれる企業になるためのEVP(従業員価値提案)とは?
トレンドワード:EVP
労働力不足で人材獲得競争が激化するなか、「選ばれる企業」であるためにEVP(従業員価値提案)が注目されている。その背景や、企業が従業員に提供できる価値とは何か、設定するうえでのポイントを解説する。
EVPとは
EVP(Employee Value Proposition)とは、「企業が従業員に提供する価値」のことを示します。ここでいう「価値」には、給与や福利厚生といった金銭的報酬に限らず、キャリア成長の機会や柔軟な働き方、企業文化なども含まれます。 何を提供「価値」とするかは企業によって異なりますが、多くの企業で活用されているEVPとして、次の5つに分類されます。
報酬
給与に加えて、ボーナスやインセンティブ、ストックオプション、独自の手当など、金銭的な価値が該当します。具体的な事例として、スキルベースでの昇給や業績連動賞与などの制度があります。
福利厚生
有給休暇や各種保険制度、社員割引、カフェテリアプランなどが該当します。具体的な事例として、ジム・ヨガ等の利用補助、不妊治療支援や人間ドック費用の負担などの制度があります。
キャリア
スキル開発やキャリアアップを支援する制度、成長や昇進のチャンスの提供などが該当します。具体的な事例として、社外キャリアコンサルタントとの面談の実施、リスキリング支援制度などがあります。
企業文化
企業理念やパーパスへの共感、SDGs貢献、職場の心理的安全性、多様性、人事制度の公平性などが該当します。具体的な事例として、メンター制度やD&I研修、社内イベントなどがあります。
職場環境・働き方の柔軟性
リモートワークやフレックス制度、育休や介護休業制度などワークライフバランスに対する支援制度、副業の許可、ABWなオフィス環境などが該当します。人によっては、オフィスの居心地の良さや立地などもEVPになる場合も。
かつては終身雇用と年功序列が前提であり、それ自体がある意味EVPだったともいえます。つまり、定年まで働く場が確保され、長く働くほど給料が上がることが企業の提供する価値でしたが、すでにそれは崩壊しつつあります。企業が終身雇用や年功序列に代わって「自社で働くとこれが得られる」とアピールする価値がEVPであるといえます。EVPが注目されている背景
EVPが注目され、企業ホームページや採用広告などでアピールされるようになっている背景の一つには、人材獲得競争の激化が挙げられます。少子高齢化により今後ますます人手不足になることが見込まれ、また新卒者の34.9%が3年以内に離職するなど、転職市場はかつてないほど流動化しています。 また、人的資本に関する情報開示の義務化によてい、企業価値における「従業員満足度」や「離職率」が注視されるようになっています。 さらに働く目的や企業選択における基準などの価値観の変化も影響しています。例えば20代、30代のワーカーは報酬よりも自己成長、柔軟な働き方、ワークライフバランス、パーパスへの共感などを重視する傾向が見られます。 つまり、従業員が企業に提供されたい価値は多様化しています。「自分を大切にしてくれる企業で働きたい」「社会的意義を感じられる仕事をしたい」など、非金銭的報酬に価値を見出す人もいます。 すべての要望に応えることはできませんが、「自社らしさ」「自社だからこそ」の価値を提供することで、この会社で働く意義を感じてもらうことにつながります。
EVPを発信する必要性とメリット
企業が自社のEVPを明確にし、実現に取り組むメリットには、次の3つが挙げられます。
優秀な人材の獲得
採用市場でオリジナルの価値を提示し、「この会社で働きたい」と感じてもらうことができれば、採用競争力が向上し、優秀な人材を獲得できます。また、採用時に自社の魅力や提供できる価値を正しく伝えることで、ミスマッチによる早期離職を回避することにもつながります。
エンゲージメント・定着率の向上
企業が従業員に魅力的な価値を提供できれば、離職率を下げることができ、その結果採用コスト削減にもつながります。自社のEVPを明確化することで、企業理念の浸透や定着、企業文化の共有にもつながり、働きがいや納得感を持って働いてもらえるようになります。
企業ブランドイメージの向上
EVPを発信し、実現に向けて取り組むことは、働きがいのある職場環境をめざすことでもあります。それが「社員を大切にする会社」として、企業ブランドの向上や、ステークホルダーからの信頼獲得につながり、その結果、顧客のロイヤリティや企業のブランド価値も上昇させることができます。
EVPは、「サービス・プロフィット・チェーンモデル」との深い関連性があります。サービス・プロフィット・チェーンモデルとは、企業が従業員を大切にすることが、サービスや商品の品質向上、顧客の満足度、さらには企業収益の向上につながるという考え方です。 中長期的な収益向上に向けて、「従業員を大切にする」という"起点"を強化するための取り組みがEVPです。EVPを設定し、有意義なものにするまでの流れ
自社のEVPを見直し、改めて設定するには次のステップで進めていきます。
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①現状把握
自社が現状提供できている価値や、強み・弱みは何かなどを様々な視点で分析し、不足している点や改善すべき点を理解します。
②ニーズの理解
アンケートやヒヤリングなどを通して、従業員や求職者は何を求めているのかを確認します。その際、競合他社と比較し、自社に足りないものや優れている点を客観的に把握することも有効です。
③EVPと指標(KPI)の設定
現状分析とニーズを見比べて「必要だが不足しているもの」と経営方針や価値観とを照らし合わせ、評価制度の見直しや、新しい福利厚生制度やワークスタイルの導入など、施策の構築と実施を進めます。その際、何を指標(KPI)とするかも設定する必要があります。
④社内外への発信
求人サイトや社内メディア、広告、SNS発信、研修資料やムービーなどさまざまな媒体を活用して、従業員や求職者に広く周知します。また、EVPを評価制度や勤務規程などにも反映し、価値を享受できるように実装していきます。
⑤振り返り、調整
設定した指標と照らして効果測定を行い、改善するといったPDCAサイクルを回していきます。価値が定着するには時間がかかります。EVPは一度つくって終わりではありません。定期的に振り返りながら、従業員の声や社会の変化に合わせてアップデートしていくことが求められます。
EVPを設定・実施していくうえでのポイント
EVPは企業と従業員との「約束」です。不履行や形骸化など、実態との間に乖離があれば、かえってマイナスに働くことにもなりかねません。パーパスと行動・制度を一貫化させる、誠実な情報発信を行うなど、納得感のあるEVPである必要があります。また、「ずっとこの会社で働きたい」と思ってもらえるよう、競合他社と比べてオリジナリティも必要となります。どのような価値を提供することが優秀な人材に「選ばれ続ける」ことにつながるかを理解し、優先順位を決めて施策を実施していくことが重要です。





