組織の力

2020.03.11

How to テレワーク

テレワークとはインターネットなどのICTを活用し、勤務地ではない場所で仕事をする働き方です。雇用形態によって「雇用型」、「自営型」に、働く場所によって「在宅型」、「モバイル型」、「サテライトオフィス型」に分類されます。裁量労働制と混同されることがありますが、雇用型の場合はあくまでも「場所の制約を外す」という考え方で、労働時間は基本的には出勤時と同様に扱います。(一定の要件を淆たすことでみなし労働時間制を採用できます。)
1991年に日本サテライトオフィス協会(現:日本テレワーク協会)が設立されて四半世紀、採用例や知見も増えています。柔軟な働き方を可能にするテレワークの導入を検討してみませんか?

〇テレワークのメリット

企業のメリット
●優秀な人材の確保や雇用の継続が図れる。
●非常時の事業継続において、交通状況による制約を受けづらい。
●フリーアドレス等と併用することで、オフィスコストの低減が期待できる。
利用者のメリット
●通勤時問がなくなり、時問か有効に使える。
●自分の好きな環境で仕事ができることで、集中力や仕事への満足度が増す。
●時間単位の有給休暇制度等と併用することで、学校や地域活動への参加が容易になる。
 
他にも「テレワークの採用をきっかけに業務改善やペーパーレスが進んだ」、「社員が自律的に仕事を進めるようになった」、「企業のブランドイメージが向上した」などの効果も報告されています。
 
 
 

?テレワークの懸念点

企業からの懸念点
●勤務時問や勤務状況、作業環境の把握が正確にできない。
●情報漏えいなどのセキュリティの確保が難しい。
●制度の整備、ICTへの投資などの負担が増える。
利用者からの懸念点
●インフオーマルなコミュニケーションが減少し、孤独感を感じる。
●電話の取り次ぎなどオフイスにいる人に負担を掛ける心配がある。
●「さぼっていると思われたくない」というプレッシャーで過重労働になるおそれがある。
 
これらの懸念点は適切なツールを導入することで軽減が可能です。例えば勤怠管理やセキュリティについては、導入していない企業の7割以上が懸念点と感じていますが、導入済みの会社では課題として捉えているのは3割以下となっています。(厚生労働省調べ)
 
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テレワーク導入に向けて
検討すべき3つの要素

テレワークに限らずワークスタイルの変革においては、「何を達成したいのか」という目的を明確にし、経営トップが自らメッセージを発信することが最も重要です。そのうえで検討するのは「制度」、「ツール」に加えて「企業風土」の3つの要素。制度やツールは整えても、後押しする雰囲気がないとほとんど使われないということになりかねません。
 
①制度

1_org_107_02.pngテレワークの実施に際して、就業規則にテレワークに関する勤務規定を策定する必要があります。始業終業時刻の管理方法や、テレワーク実施時の通信費・水道光熱代の負担などを事前に取り決めておきましよう。対象者や実施頻度、申請方法などのルールは、あまり制約が多いと制度ができてもテレワークが実施されないおそれがあります。

 
②ツール
テレワーク導入のためのICT環境は、会社PC持ち帰り方式、リモートデスクトップ方式、仮想デスクトップ方式、クラウド型アプリ方式などが代表的な構築例です。また社内SNSなどインフオーマルなコミュニケーションのツールを用意し、テレワーカーの疎外感を少なくする工夫をする例もあります。忘れがちなのが電話です。テレワーカーヘの取次ぎが必要となると他の社員の負担が増えるため、社内外からの電話が携帯電話に直接つながる仕組みを導入する会社もあります。
 
③企業風土
テレワークを「福利厚生のー環」と捉えていると、制度を利用できる人とできない人の間に不公平感を生じるともに、利用者が同僚に負い目を感じてしまい活用しづらくなります。「社員の柔軟な働き方を実現することによって企業としての競争力を高める」という戦略的な人事施策だという理解を促し、管理職から新しい働き方にチャレンジすることで、積極的に取り組む風士を作っていきましよう。
 
 

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あるフリーアドレスオフィスの会社では、PCや電話などのツールが整備されていることやペーパーレスが進められていること、目の前に部下がいないことに慣れていることから、比較的スムーズにテレワークを導入できたそうです。多くの実施例では、導入当初には対象者や対象業務を決めてトライアル実施を行い、課題点を抽出して対策を講じた上で対象範囲を拡大しています。
テレワーク導入に必要な制度やツール、成功事例の情報は厚生労籤省の委託事業である「テレワーク相談センター」のwebサイト(https://www.tw-sodan.jp/)で公開されており、無償での相談も受け付けています。まずは自部門からトライしてみませんか。
 
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オフィスのチカラ

この記事は、コクヨ株式会社が発行する冊子『オフィスのチカラ』に掲載されたものです。冊子『オフィスのチカラ』をご希望の方は、こちらのフォームの「カタログのご請求フォーム」の「家具単品カタログ」の枠に『オフィスのチカラ』最新号希望とご記入の上、ご送信ください。

オフィスのチカラ vol.10より転載