レポート

2018.05.14

人工知能時代における幸せな働き方とは?

「幸せに働く技術 新しい時代のリーダーが最も大切にするもの」

2018年4月5日夜、KOKUYO東京ショールームのスタジオにて、「YeLL/幸せに働く技術 新しい時代のリーダーが最も大切にするもの」と題するイベントが開催された。『幸せな働き方』というテーマを軸に参加者同士でアクティブな意見交換が行われ、大いに盛り上がったこのイベントの模様を紹介しよう。

データを活用することで
安心できる環境が実現する

第3部では、藤野氏が第2部の総括を行った。「直感・感性・身体性を大切にできる環境」という問いについて、多くのテーブルで上がった「直感や感性、体の感覚を否定されない場」「安心できる場」という声を取り上げて藤野氏は次のように考察する。

「『否定されない』『安心できる』とはどういうことで、どんな環境なのかを考えていくと、つまり『直感や感性、身体性を大切にすることがルール化されている』『直感や感性、身体性を大切にする人が集まった環境』ということではないかと思います」

そして藤野氏は、「物事がデータとして共有されていれば、直感や感性を働かせやすくなるのではないか」と提案する。直感・感性・身体性は個人によって違うので、これらの要素だけに基づいて話をしようとすると、話は食い違うばかりだ。しかしデータ(=事実)を共有して共通認識をつくったうえで対話すれば、材料があるぶんアイデアが出やすくなるし、思いつきで発言しても理解が得られやすくなる、というのだ。

質疑応答の時間には、ある参加者から「私は直感で対話するタイプで、データは苦手だけど、データに歩み寄るにはどうすればいいですか?」と声が上がった。その質問に対して藤野氏は、「例えば家計簿とか消費カロリーとか、自分の好きなデータを日常生活の中で蓄積してみると、新しい気づきが生まれるかもしれません。それがデータに親しむきっかけになるのではないでしょうか」と答え、「データ対人間の直観・感性、という二元論ではなく、どちらも大事、というスタンスがこれからは大切ではないでしょうか」とまとめた。

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今回のイベントでは、「テクノロジーの進化が加速する時代に、幸せに働くには?」というテーマについて、藤野氏や櫻井氏、参加者が意見を寄せ合った。そして2時間半にわたるセッションは、「直感・感性・身体性はAIでは代替できない人間の強みであり、これらの要素を大切にすることが幸せな働き方につながる」「直感・感性・身体性を大切にするには、データを活用することも大切」という着地点にたどり着く形で終了した。


藤野 貴教(Fujino Takanori )

株式会社働きごこち研究所代表取締役。ワークスタイルクリエイター。企業研修や講演を通じて、「働くって楽しい!」と感じられる働き心地のよい組織づくりの支援を実践。著書に『2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方』(かんき出版)がある。

文/横堀夏代 撮影/MANA-Biz編集部