ライフのコツ

2014.05.28

あそびながらお片づけ!こどもが喜ぶ収納

「片づけなさい!」以前にこどもが楽しむ工夫を!

部屋中に散らかったおもちゃやあそび道具を眺めて「片づけが苦手なのはどうしたらいいの?」「あそんだら、片づけることをしつけないと!」と思っているお母さんたちは多いはず。そんなときは「片づけが楽しくなる収納を用意してあげるといいですよ」とは、今回の収納グッズの数々を考案してくれたGELCHOPのモリカワリョウタさんだ。「DIYをしたことがない人でも簡単につくれるレシピにしてあります」というとおり、今回、創作活動にトライした編集部員も笑顔で次々と創作物を仕上げていく。休日は、お父さんの手をちょっと借りて、こどもたちが楽しく“片づけ”を経験していくためのツールを創作してもらって。

あそびながら片付ける、新発想の収納グッズを
"片づけるのが楽しくなる収納アイテム"というお題のもと、家庭でつくれる創作物を考案してくれたGELCHOPさん。「『ハンドワークで、イメージと現実の世界をつなぐ立体』というカテゴリーであれば、パブリックスペースのアートワークから建築、車、農作物......までなんでも"つくる"のが仕事」と語るGELCHOPのモリカワリョウタさん。自身が子育てを通して感じてきた"片づけるあそび"のアイデアが詰まった作品たち。
「片づけなさい! といっても片づけませんよね。怒ってもダメですね、こどもって。だったら、片付けをあそびにしちゃったらいい。そんな発想でつくりました」。うちの子は片づけられない、片づけをどのように教えたらよいか......と悩んでいるお母さんも多いはず。でも、片づけを知らないうちは、なかなかできなくて当然ともいえます。
「新しいおもちゃがお家にやってきただけでこどもは大喜びですよ。それが、ちょっと友だちに自慢できたら、ますます楽しむ。『TOY TRAIN』なんかは、公園なんかに持ち出して使ってみて欲しいですね。まわりのこどもたちも、楽しんで片づけに参加してくれますよ(笑)」。『BOOK』などとアイコンをつけて、どのBOXになにを入れるのかがわかるようにしてあげることで、物のお部屋ができあがる。こどもにとってはすべてが"あそぶ道具"だけれど、その中にも分類があり、同じカテゴリーの物を集めて片付ける習慣づけになりそう。
収納BOXがおもちゃをとりに行く、発想の転換
≪TOY TRAIN≫
収納BOXは用意してあるけれど、いつも中身がぐちゃぐちゃ。ぬいぐるみや本が混在しているのを見て、仕方なくお母さんがお片付け......。そんな手間を省くためには、こどもが自ら分類して片付けられるツールが必要。
「とくに男の子は電車や車が大好きですからね。『TOY TRAIN』を引っ張りながら、車掌さん気分で片づけを楽しんでくれそうです」(編)。晴れた日は、外に出て、ちょっと大きな創作物を親子でトライするのもいいかも。「ドリルで穴をあけるのは、お父さん担当。ボックスを繋げたり、ひもをとりつけたり、こどもにも手伝ってもらえることがありますね。そのまま、おもちゃを積んで、公園にあそびに行ってもいいかもしれません」(編)。また、プラスチックケースにステンシルを施し、BOOKなど、収納すべき物のカテゴリー分けをしてあげると、より上手に片付ける習慣にも繋がる。
「TOY TRAIN」の材料はこれだけ!作業時間は約1時間ほどで完成します。
慣れてきたら台車の上にカラーボックスを置き、一度にボックスと台車の両方に穴をあけると、作業も素早く簡単に。
「おもちゃを収納ボックスまで持ってきて片付けるのが普通ですよね。でも、あそびの延長で片づけてもらおうと考えたとき「収納ボックスがおもちゃをとりに行く」ほうが、あそんでいる感覚が続くと思うんです。こどもの目線で"片づけ"の発想を変えてみたら、『TOY TRAIN』が浮かびました。列車を自分で動かしながら、ボックスに物をしまっていく作業は、こどもから見たら、あそび感覚になるでしょう」とモリカワさん。
ボックスに名前をつけるのは、ステンシルがお勧めです。あそびのレシピにはありませんが、簡単にできますので、挑戦してみてください。
まずはじめにプラスチックケースの縦横幅のサイズを測り、ちょうどよい大きさの文字をパソコンで作成し、プリントアウトしておきます。
1)文字の裏側に紙テープをはると、厚みが出て、カッターで処理しやすくなる。
2)プリントアウトした文字の黒い部分をカッターでくり抜いていく。
3)カラーボックスの中央に文字がくるように、ボックス側面の縦横を計り、中央に印をつける。
4)くり抜いたほうの紙の裏にスプレーのりでのりづけする。
5)プラスチックケースの側面中央に文字がくるように紙をはる。
6)カラーボックスの側面にカラースプレーがかからないように、いらない紙などをまわりにはりつける。
7)貼ったら、ラッカースプレー(ブラック)でくり抜かれた文字を塗る。薄く、少しずつつけていきましょう。
8)1〜2分ほど待ち、乾いていたら丁寧に紙をはがしていきます。このとき、一気に紙をはがさないで、数ミリずつ紙を持ち上げていくのがコツ。
片づけながらも、創造力を育もう!
≪ATTACH PICTURE FRAME≫
床に散らかしっぱなし、テーブルで出っぱなしのレゴやぬいぐるみ、クリップやハサミ類の文房具......。「何度いっても片づけられない!」と、つい心配になったり、怒ってしまったりする前に、こどもが率先して片づけたいと思う工夫をしてみませんか?
素材別に貼りつく物が違う額を用意してあげれば、いろんな素材の違いを学びながら、磁石につくものなどを知るチャンスにもなり、お片付けもできて一石二鳥です。「カッターを使うところだけ父親がやってあげれば、額を組み立てたり、貼りつけるものを一緒に決めたり、こどもと一緒に片づけのルールを決めながら創作活動するのも楽しいですね」(編)。レゴの額をつくっておくことで、レゴを額に片づけるだけでなく、額の上で表現することを学ぶ機会にも。「あそぶたびに違ったかたちに出来上がる額を用意しておくことで、表現力や創造力もアップするでしょうね」とはモリカワさん。モリカワさんはさらに続けます。
「どのおもちゃが、どの額に貼りつくのか? そんな実験をしながら、考えながら片づけさせるとこどもは楽しみながら『元にあった場所に戻す』習慣を身に付けられるのではないでしょうか。マジックシートには『クリップ』や『小さなハサミ』など鉄でできているものは、そのまま貼り付きますね。強力なマジックシートを使うことで『鍵』なども貼りつきますし、鉄とプラスチック素材の違いを『どれがつくかな?』とあそばせながら理解できる。また、毎日、額の中におもちゃを片づけていくうちに、レゴなどは創造力も育めるのもいいですよね」。
「とくに僕のお気に入りはレゴですね。ひとつこの額の中にアートをつくりながら片づけてもいいと思います」とモリカワさん。
お絵描きしながら、時計の読み方まで理解する
≪BLACK BOARD WATCH≫
「明日は何をしようか?」と一緒に話合っても、翌日になると忘れてしまうことも多い。こどもがそのことを忘れてしまったとしても、自分から思い出せる道具があれば・・・という願いをかなえてくれるのが『BLACK BOARD WATCH』。「時計をよむことからスタートするなら、小さなフレームからのスタートがいいと思います」(編)。 こどもと一緒に一日のスケジュールを決めながら、お絵描きする時間を持つと、あそびながら一日の流れをこどもなりに理解してくれそう。もう少し大きなブラックボードを使い、一週間後のあそびの予定や天気、宿題なども書きこんで、オリジナルの家族スケジュール帳にしてみるのもいいでしょう。
「BLACK BOARD WATCH」の材料。チョークって懐かしいと、撮影中も大盛り上がり。
今回は時計をブラックボートの中央に配置。時計の位置は、書き込む内容によって、右上や左上にしてもOK。
モリカワさんは、作品についてこのように話しています。
「最近、デジタルの時計が増えたからなのか、長針、短針、秒針がある時計の見方が分からないこどもがいることに気がついたんですね。それで思いついたのが、スケジュールを書き込みながら、時計の見方を覚える『BLACK BOARD WATCH』です。1日の時間割を絵でみることで、言葉で伝えるよりも、多くの情報を受けとってくれると思います。お母さんのための『メモ』コーナーやお父さんへの『連絡事項』コーナーをつくるなど、工夫できることも多いですね。また、鉄素材のブラックボードを使えば、マンションや保育園・幼稚園からのお知らせ、忘れてはいけない書類などをマジックで留めておくことも可能。鉄にも使用できるドリルをお持ちなら制作も難しくありません。こどもだけでなく、お父さん&お母さんにも便利な『BLACK BOARD WATCH』になります」。
これで書類を見落とすこともなくなる!
≪CLIPBOARD WALL≫
リビングの片隅にいつも積み上がっている、書類入れいっぱいおさまっている紙類。ペーパーレスの生活をしたいと思っても、幼稚園や保育園、行政からのお知らせなど、まだまだ減らせない書類は実に多い。どこに何があったのか探すのも一苦労...なんて経験はありませんか?
必要な書類がひと目で分かり、しかもスッキリ収納できるのが『CLIPBOARD WALL』です。ドリルとクリップボードがあれば、数分でできる簡単収納。木版はたて掛けたい壁の面積に合わせてホームセンターでカットしてもらえますし、クリップボードの数も、家族の用途に合わせてつくってOK!
「紙類って、重ねて片づけてしまいがちです。必要なときに、一枚ずつめくって探したりすることも多いですよね。クリアファイルに分別してしまっておいても、結局は、どのクリアファイルに入れたのかを捜索しなければいけない。そんな手間がなくなり、しかも見た目もすっきりすると、考えたのがクリップボードの壁です。こどもが幼稚園や小学校からもらってきた書類なども、ここへはさんでおけば紛失することもありません。それに、こどもが少し大きくなって、『帰ったら、ここにお手紙ははさむんだ』と覚えてくれたら、いちいち『今日は手紙もらった? あるなら出して!』といわなくてもいいですね。こどもの渡し忘れもなくなるのではないでしょうか。」
「 CLIPBOARD WALL 」の材料。
「 ZIP CLEAR CASE WALL 」の材料。
「 FILEBOX WALL 」の材料。
「 MAGIC MARKER WALL 」の材料。
あそび道具のお部屋を分かりやすい壁に
≪FILEBOX WALL≫
書類や説明書などはかさばるし、場所をとるもの。クリアファイルやファイルボックスで仕分けしながら、コンパクトに収納している家庭も多いけれど、どんどん増えて棚の一部を占拠していたりしませんか? せっかくスッキリと見せる収納を心がけていても、こういったファイルボックスが場所を占拠していると、見た目にもイマイチ。ファイルボックスも壁を利用することで、場所をとらない収納が可能になる。それが『FILEBOX WALL』です。
「こどものおえかき帳やぬりえ、色鉛筆やクレヨンなんかも、入れるボックスを決めてあげるといいですよね。自分のものが、どこにあるのか? どこにしまうものなのか? を決めてあげることって、とても大切だと思うんです。そうすると、次第にきちんと片づけができるようになっていく。また、棚の一部やタンスの上などに置いておくより、壁の一部を使うことで、部屋もスッキリとして、片付いた印象のお部屋になります」とは、モリカワさん。
 
探して・使って・片づける。こどものあそび習慣を手助け
≪ZIP CLEAR CASE WALL≫
外から何が収納されているのかが一目瞭然なクリアケース。この特性を生かして「忘れてはいけないもの」「忘れがちなもの」を収納するのも生活の知恵です。たとえば、いつかまとめようと思っている「レシート」や「領収書」。このケースがいっぱいになったら、絶対に片づけるなど、ルールを設けることで、スムーズに処理できるかも。また、ペンや色鉛筆、クレヨンなど、こどものお絵かきグッズを収納してもOK。いつもバラバラに鉛筆立てに立ててあったり、引き出しにしまってあったり......。置いておくとかさばるけれど、クリアケースに入れておけば、すっきりと収納することができます。そんないろいろな使い方ができるのが『ZIP CLEAR WALL』
「外から見えるので、こどもが自分でものを探して、とって、使って、片づけるという一連の作業がスムーズになるかな? と思って考えたのが『ZIP CLEAR CASE WALL』です。こどもって、ついさっき自分が使ってしまったものなのに、どこにしまったのかを忘れてしまい、大騒ぎするときがありますよね。中身が見える工夫をしてあげることで、自分で探し出すことも学んでいくでしょう。もちろん、壁の大きさやクリアファイルの数も家族の用途に合わせて創作してみて。何をどこに収納するかをこどもと一緒に決めながら、一緒につくってみると、お片づけ上手になってくれそうです」と、モリカワさんは説明する。
物の置き場所を自然に覚えるバッグ掛け
≪MAGIC MARKER WALL≫
「こどもの持ち物って、いろんな物を分類して巾着やバッグに入れていくから、とにかく種類が多いんですよね」(編)。保育園に到着してから忘れ物に気が付き、こどもを預けて、忘れ物を取りに帰る......なんて経験はないでしょうか? そんな"うっかり"を少しでも減らすには、見えるように収納すること。玄関やリビングの壁を利用して、バッグや巾着をかけておく『MAGIC MARKER WALL』。こどもが保育園や幼稚園で作って帰ってきた創作物も一緒に飾っておくのもGOOD。カラフルなマジックを使っているので、こどもが楽しくなって、帰ってきたら、まずこの壁に荷物を置くようになるかも!?
「バッグや巾着類の置き場所を決めていても、大人用とこども用が混在していて、朝になって慌てることってありますよね。帰宅したらバッグの中身をすべて出して、生理整頓する家庭もあると思うのですが、こどもがいると量も多く、なかなか生理整頓が難しいもの。とくに、こどもが持っていくもの、持って帰ってくるものが多いのが、悩みの種というお母さんも多いのではないでしょうか。帰宅したら、こどもの荷物はここにかけることを習慣化したいもの。こどもが作った創作物(紙のメダルや鯉のぼりなど......)を一緒にかけておくと、こどもたちが自発的にバッグをここへ掛けるようになってくれるかも。帰ってきたら、自分の持ち物をいつもの置き場所へ自分で戻す。そんな習慣が身についてくれたらと思います。」と、モリカワさん。
お片づけをしてくれない!そんな風に嘆く前に、お片づけしたくなる環境つくりを今日からはじめてみませんか?GELCHOP考案のお父さんがつくるレシピは以下です。
TOY TRAIN
ATTACH PICTURE FRAME
BLACK BOARD WATCH
CLIPBOARD WALL
ZIP CLEAR CASE WALL
FILEBOX WALL
MAGIC MARKER WALL

GELCHOP

2000年に結成。モリカワ リョウタ、オザワ テツヤ、タカハシ リョウヘイ、3人の工作好きによって活動を続ける3D造形グループ。
ハンドワークで、イメージと現実の世界をつなぐ、立体というカテゴリーのもと、 多岐に渡って活動。 パブリックスペースのアートワーク、オリジナルプロダクト、はたまた、玩具、農作物、車、建築、エネルギー、コミュニティーにいたるまで、"つくる"ということを"D.I.Y."精神をもって探り、手を汚す日々を過ごす。
【GELCHOP HP】はこちら

文/坂本真理 撮影/石河正武