特集記事SPECIAL

2022.07.20

【横須賀市上下水道局】自走・自律型で取り組むオフィス改革(3)

働き方改革推進係として挑むオフィス改革と意識改革

Overview

概要

人口減少と高齢化率の上昇により、2040年に向けて生産年齢人口減少が予測される横須賀市。上下水道事業を提供する上下水道局においても将来的に職員減少が見込まれており、サービスの維持やリスク管理に強い危機感を抱いています。そこで2021年に働き方改革の一環として、「自走・自律型」のオフィス改革プロジェクトが上下水道局内で立ち上がりました。

第3回の今回は、今年度から新設された上下水道局の働き方改革推進係に専任という形で着任した郷原氏、寺崎氏へのインタビューをご紹介します。

横須賀市上下水道局 経営部 総務課
課長補佐 郷原 正幸氏
主任 寺崎 篤志氏

Interview

インタビュー

——— お二人は今年度、上下水道局の働き方改革推進係に専任という形で着任されました。新設の係ということですが、まず働き方改革推進係が設置された背景や、業務内容についてお聞かせください。

郷原氏
自治体戦略2040構想にもある少子高齢化・生産年齢人口の減少が目前に迫るなか、横須賀市職員も将来的に職員数の大幅減少が予想されています。一方で、安全・安心を維持するという上下水道局の業務は変わらず維持すべきライフラインであり、例え働き手が減ったとしても今のサービスを提供し続けなければいけません。2040年まであと18年、今何をすべきかを考える必要があります。

寺崎氏
上下水道局では昨年、働き方改革に関連する21のプロジェクトが立ち上がりました。滋野たちが行っていたようなオフィス改革に限らず、テレワーク、お客さまサービスの向上など様々なテーマがあります。今年度もそのプロジェクトは継続しているため、私たちはそれらのプロジェクトを俯瞰する立場として、成功に導くための各種調整や進捗管理を行っています。

私は土木職で、これまで水道管・下水道管の布設替工事などの設計・監督業務を行ってきました。ですので、最初にこの係に異動になると聞いた時、イメージが沸きませんでした。DXなのか、業務のシステム化なのかと。蓋を開けてみたら、オフィス改革やテレワーク、意識改革、それこそいろんなことをやっていくんだなと。ですから今自分がやるべきことは、プロジェクトメンバーとのコミュニケーションはもちろん、セミナーなども使いながら情報やノウハウをインプットすることだと思っています。

——— 業務イメージが沸かないなかで始められたのですね。ちなみに、お二人は総務課がオフィス改革を実施した直後に異動されてきましたが、その際の感想は?

郷原氏
正直に言うと、「全部捨てるのか、この20年以上かけてためてきた書類を」と思いましたよ(笑)。

寺崎氏
私も紙で全部整理していたので、これだけのロッカーで過ごしてくださいと言われた時には戸惑いました。書類も印刷せずモニターで見るのだと言われ、最初は不安でしかなかったです。

——— そんな状況から始まったのですね。ペーパーレスワークにはどのくらいで慣れましたか?

郷原氏
実際はすぐ慣れましたね。一週間…二週間はかかっていないかと。一つ良かった点としては、新設係なので引き継ぐ書類がなかったことでしょうか。これから自分たちがつくるものだけだったので、そこは助かりました。

寺崎氏
とはいえ、個人の書類は段ボール3箱分くらい捨てましたよ。悔しい思いをしながら(笑)。それでもすぐに慣れるもので、今では感覚が完全に変わりましたね。紙でもらうと困ってしまいます。

寺崎氏

郷原氏
紙でもらうと綴らなければいけない、保管しなければいけない、でも保管スペースはほとんどない。紙だといずれ捨てるか引継ぎ時に渡すかのどちらかですが、それを整理して管理するのが意外と手間がかかります。電子データはきちんと体系化できていれば、そこに入れておくだけで共有できるので便利です。

——— ペーパーレスワークのメリットはすぐに実感されたということですね。ではオフィスについてお伺いします。総務課では2022年3月末にオフィス改革を行ったあと、新年度に入って2022年5月にも再びレイアウト変更をされたとのことですが、短期間でレイアウトを変えた経緯を教えて下さい。

寺崎氏
3月末に実施した最初のオフィス改革では、実は大きな課題が解決できていない状態でした。一つ目は運用ルールが定まらず、目指す働き方が浸透していなかったこと。二つ目は電話の問題です。

同じタイミングでオフィス改革を行った経営料金課では、家具を入れ替える前にフリーアドレス運用を導入していました。早い段階から新しい働き方を実践し、運用ルールも自分たちで作っていたので、家具を入れ替えた後もフリーアドレス運用が機能していた。一方総務課では、家具を入れ替える前にフリーアドレス運用を行っておらず、固定席運用のままでした。家具の入替と同時にフリーアドレス運用に切り替えたのですが、実践していなかったために具体的な運用ルールもなく、フリーアドレスを行う目的も浸透できていなかった。言ってしまえば「デスクが入れ替わっただけ」のような状態でした。

——— フリーアドレス運用を目指して家具を入れ替えたが、目的の浸透やルールの整備が不十分だったために、固定席化してしまっていた?

郷原氏
そうですね。また、固定席化してしまったのには他の理由もあります。大きな課題の二つ目に挙げた電話の問題ですが、3月末の時点では職員の内線が固定電話のままでした。電話の位置が決まってしまっていたので、どうしても座る場所が制限されていました。ですから5月のレイアウト変更の際に内線をコードレス電話に切り替えて、フリーアドレスができる環境を整えました。

——— 2度目のオフィス改革は、どのようにして進められましたか?

郷原氏
4月末に検討を開始して5月後半にレイアウト変更を行ったので、実質3~4週間で行いました。プロセスとしては、初めに課のメンバー全員でブレストを行い意見を集約しました。続いて整理した情報に対して、更に意見を募りました。その後、私たちの係でレイアウト案を作成し、それに対して意見をもらう形で練り上げ、レイアウト変更を実行しました。

郷原氏

——— まず、課のメンバーを巻き込んだブレストから始められたのですね。

寺崎氏
始め方に関しては、松本専門官(ICT戦略専門官 松本敏生氏)にアドバイスを頂きました。「ブレスト」の意味が分からない状態から、いきなりファシリテーターをやることになりましたので、色々と教えていただきました。

さまざまな意見を抽出するために、聞き方も工夫しました。例えば、若手職員は周りに気を使ってしまって意見を言いにくいかなと思い、全体とは別で意見を聞きました。一人ずつ聞いていくようなスタンスを示したことで、メンバーもだんだんと乗ってきてくれました。

——— メンバーからの意見を受け、レイアウトではどのような改善を行いましたか?

寺崎氏
コミュニケーションがとりづらい場所があるという指摘や、動線への改善要望に対応しました。始業時や終業時は個人ロッカーが混雑するという指摘もあったので、執務室内に分散配置することで混雑を解消しています。その他で言うと、個人情報や人事情報を取り扱う人事係だけ情報セキュリティが確保できる配置とし、人事係内でのグループアドレス運用に切り替えました。

2度目のオフィス改革からまだ1カ月経っていないですが、今の形はコミュニケーションを取りやすいと感じています。4月の着任当初はフリーアドレスが浸透していなかったため、別の係が何をやっているか分からないどころか、話すこともままならなかった。今は別の係の人が自分の正面に座るようになったので、お互いの状況を知ることができ、声がけやフォローができるようになりました。

2度目のレイアウト変更後の執務室

また、新しい家具がキャスター付きで動かしやすいものが多かったため、レイアウト変更は非常にやりやすかったです。従来の袖机では、まず動かしてみようとは思えないので。

——— 実際にレイアウト変更をされる前に、コクヨのライブオフィスを見学いただいたと聞きました。その際、どのような印象を持たれましたか?

寺崎氏
コミュニケーションが取りやすいオフィスだなと感じましたね。こまめなコミュニケーションが生産性を高めるのだなと。一番印象的だったのは、THE CAMPUSがフロアごとに機能が分かれていて、空間のつくり方が全く異なっていた事です。業務内容やその日の気分、誰と打ち合わせをするかに合わせて場所を変えられるのがいいなと思い、発想が広がりました。

——— ABW(Actibity Based Working)*の働き方に興味を持っていただいたということですね。

郷原氏
レイアウトにもいろいろな選択肢があるのだなと感じました。その時その時で自分たちに必要な機能をチョイスしながら導入していければいいのだな、と思えました。

——— では、続いてプロジェクト全体を俯瞰する立場としての気づきを教えて下さい。お二人から見て、プロジェクトの推進に重要なことは何だと感じますか?

寺崎氏
プロジェクトの推進においては、「誰にリーダーを担ってもらうか」が重要だなと感じています。

郷原氏
そうですね、2度目のオフィス改革の時に寺崎がリーダーとなってブレストを推進したように、知識と人望でメンバーを牽引するリーダーは必要だと思います。

一方で、出来る限り全員で取り組みたい。そうでないと「やらされ感」が生まれてしまいます。そういう意味では、意識改革が一番重要であり、また課題であると感じています。リーダーがメンバーを引っ張る形でプロジェクトを進めることも必要ですが、全員の意識が少しずつ高まることでプロジェクトは一気に進みます。ただ、全員が同じ意見になることは無いですし、総論賛成各論反対も出てくる。意識改革は本当に難しい。

だからこそ「多様性」を尊重したいと思っています。場や運用に選択肢を与えることも「多様性」につながる。例えば総務課の中で一部の席だけ卓上パネルがついていますが、これはブレストの際に、そういう席も残して欲しいという要望が上がったためです。また、共通の文房具を使いたくない人もいますし、毎日違う席に座ることに不安を覚える人もいる。そういう人も安心して働くことができれば、チーム全体でオフィス改革を目指すことはできると思っています。

一部の席は半透明パネルを立てた状態で運用

——— オフィス改革を通じて、多様性への理解を含めた意識改革が行われているということですね。

郷原氏
着任時、島田に「オフィス改革ができないのであれば意識改革なんて到底できないよ」と言われたんです。言われた時は実感がわかなかったけど、オフィス改革に取り組む中で「そういうことか」と理解しましたね。

——— 最後に、オフィス改革の推進に向けた展望や計画があればお聞かせください。

寺崎氏
上下水道局では今年度、また別の課や出先機関でのオフィス改革を検討しています。既存庁舎のまま限られた予算でオフィス改革を行うため、全ての家具を一気に入れ替えるのは難しく、既存の家具も併用せざるを得ない状況です。そうした中でもオフィス改革をしっかりと推進していきたいと思っています。

*ABW=Activity Based Workingの略。「時間」と「場所」を自由に選択できる働き方のこと。

(作成/コクヨ)

  1. コクヨの庁舎空間づくり
  2. 特集記事
  3. 【横須賀市上下水道局】自走・自律型で取り組むオフィス改革(3)