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ym-01を支える、4つの技術。

思わず触れたくなるような美しいフォルムに、
全身がたっぷり包み込まれるような豊かな座り心地。
ym-01を支えるのは、成形合板をはじめとした、
確かな腕を持つ職人たちの知識と経験が結集した木工技術の
数々です。ここでは、シリーズの製作を担う木工家具メーカー・
天童木工の工場を訪れ、ym-01をかたちづくる上で欠かせない
4つの工程をご紹介します。

天童木工

天童木工とは

山形県天童市を拠点に1940年に創業した木工家具メーカー。終戦間もない1947年から、薄くスライスした板を複数枚重ね合わせ、専用の型に入れることで曲面状に加工する成形合板の技術を国内でいち早く実用化させ、量産体制を敷いたことによって飛躍。柳宗理デザインによるバタフライスツールはじめ、剣持勇や丹下健三らあまたのクリエイターとの協業により、日本の暮らしに寄り添う美しく丈夫な名作家具を数多く発表してきた。

1. 国産の丸太を、厚さ1mm程度の薄い板へ。

単板と呼ばれる薄い板を重ね合わせ、そこに突板と呼ばれる表面材を表面と裏面に貼り合わせることで作られるym-01。まず作業は、単板となる材料を丸太で仕入れ、薄くカットするところからスタートします。材料となるのはすべて国産の木材。オフィス家具としてはまだあまり活用が進んでいない日本の木材が、さまざまなワークスペースの中で当たり前の素材になることを目指しています。
工場に届いた丸太は、劣化を防ぐためにできるだけ早く製材の工程へと進めます。製材機にかけられた丸太は、大きな音を立てながら、余計な樹皮などが切り落とされたフリッチと呼ばれる角材の状態へ。さらにそこから1.2mm〜1.5mm程度の厚さへスライスされます。これで、ym-01を構成するパーツとして欠かせない単板が出来上がります。

2. 成形合板によって、美しく湾曲するフォルムを形成。

積層させる単板の枚数はおよそ7枚。パーツのサイズに合わせてカットされた単板に特殊な接着剤を塗布し、重ね合わせた状態で巨大なプレス機へ。いよいよ、ym-01の美しいフォルムの所以たる繊細な曲げ加工を施す、成形合板の工程です。
重ね合わせた単板を、プレス機に設置した製品やパーツごとに特注で作られる治具と呼ばれる木製の型に入れ、圧力と熱をかけながら曲げていくこの作業。ラウンジチェアーのシェル(座面と背面が一体になったもの)ならば、1時間もの時間をかけてゆっくりとプレスしていきます。その際、少しでも機械と板の位置がズレてしまう、あるいは一気に圧力や熱をかけ過ぎてしまうと、割れてしまったり、継ぎ目がヨレてしまったりすることも。試作の段階では、座面の中央に切り込みを入れたり、適切な機械の扱い方を探ったりと幾たびも工夫と検証が重ねられました。また、その日の湿度や気温によっても木の状態が微妙に変わるため、作業時の状況に合わせて機械操作の加減を調整することも大切になります。さらに、単板を積層させた成形合板のみならず、表面と裏面に貼り付ける2枚の突板も、割れやヨレを避けるべく、それぞれ別々にプレス機に通して接着させるので、職人とプレス機との対峙は1つのパーツだけでも計3回。神経を研ぎ澄まして向き合うことが求められる、職人の経験と腕が試される工程です。

3. 手で触って、確かめて、丁寧に磨いていく。

シリーズ共通で十字に組み合わさる象徴的な脚の部分は、単板と突板をプレス機で接着した後にパーツのサイズに合わせてカットされます。そして、曲面加工を経た座面や天板などと合わせて、組み立ての工程へと移行します。

こうした作業の合間に、パーツごと、そして組み立て後に丁寧に施されるのが研磨です。サンドペーパーやスピンドルをはじめとする研磨機など、10数種類の道具を駆使しながらの研磨は、すべて職人の手作業によるもの。磨いては、直接触ってざらつきの具合を確かめて、また磨いていく、を何度も繰り返します。
特に、ym-01のプロダクトの突板は1mmにも満たないほど薄く、さらに突板に使われているヒノキは柔らかい特性を持つ樹種のため、力をかけ過ぎると簡単に削り過ぎてしまうのだそう。熟練した職人による繊細な作業の末に、触っても心地よい家具へと仕上がっていきます。

4. 時間と手間を惜しまず、木目が生きる塗装を。

組み立てと研磨が完了した家具は、塗装の工程へ。まずはベース剤を塗って時間を置き、木に塗料が乗りやすい状態を作ってから本格的な作業を始めていきます。今回採用しているのはポリウレタン塗装。表面に樹脂の膜を作ることで、熱や水に強く、キズや汚れが付きにくくなるという利点もあり、耐久性向上にも一役買っています。
ムラになったりまばらな状態になったりしないよう、塗装は6回に分けて進行。塗って、一晩乾かして、研磨して、また塗る。そんな工程を地道に進めていくのだといいます。さらにym-01は、突板となるヒノキ本来の表情を生かした自然由来の美しい仕上がりも特徴。ゆえに、半透明の塗料を採用しており、厚く塗り過ぎて木目が失われることがないように細心の注意を払うことも欠かせません。
こうして仕上がったプロダクトは、納品へ。プラスチックの梱包材を極力使わないというのも、サステナビリティを追求したym-01の特徴のひとつ。オフィス空間を彩る家具として長きにわたって愛されることを願って、丁寧に梱包し、見送ります。