PDCA

2017.11.08

PDCAサイクルの具体的事例 

PDCA5:成果を出すための方法を学ぼう

Action:プロジェクトの課題を改善する

【Aチーム】
プロジェクトも残すところ1ヶ月となった時点で、大きな問題にぶつかりました。新商品に使う予定の原料が、どうしても調達できなかったのです。この状態では、社長プレゼンなどできません。そこで、リーダーが中心となって、代替原料を探すことになりました。メンバーが手分けして探すことで、使えそうな原料は見つかったのですが、その原料では、既に自社で扱っている商品と類似してしまうというリスクもありました。ただ、社長プレゼンまであと1ヶ月。原料を新たに探していると時間切れになります。リーダーは、苦渋の決断を迫られました。
 
【Bチーム】
Bチームにも似たような問題が出てきていました。新商品に使う予定の原料を製造するメーカーに、必要となる生産量を確保できるラインがないと分かったのです。ここでもチームは集まって解決策を模索しました。「原料を確保できないならば、他の原料にすべきだ」「この新商品のコンセプトを実現させるには、この原料でないとダメだ。だからメーカーにライン増設を要望できないだろうか」と、行き詰まった雰囲気が漂いました。
しかし、リーダーの、「そもそもこのプロジェクトで何を実現したかったのか? 」という問いかけで、メンバーは自分達の考えが凝り固まっていたことに気づきます。そして「新商品のコンセプトを維持したまま、原料もその製法もゼロから見直してみよう! 」そんな前向きな議論になっていきました。
 
 

プロジェクトでPDCAを回す時のポイントは?

【Aチーム】
代替の原料を使うことを決め、新商品案を作成しました。1ヶ月の猶予をもってプレゼン準備ができたので、原料変更以外は当初の計画通り滞りなく進めることができ、万全の体制で社長プレゼンに臨めました。
 
【Bチーム】
原料と製法の見直しに、最後の最後まで手間取りましたが、社長プレゼンにはギリギリ間に合わせることができました。時間との勝負でしたが、妥協することなく挑戦したことで、結果的に画期的な新商品のコンセプトを提案することができました。
 
さて、社長の評価はいかに!?
 
【Aチーム】
すぐにでも着手できるレベルにまで、新商品プランを練り上げてきたのはさすがです。ただし、当初の社長命令である「今までの当社にはない、今の消費者に受け入れられる新商品案」という点では、やや見劣りするものでした。
 
【Bチーム】
最後まで検討を続け、スケジュール的には厳しかったものの、「今までの当社にはない」という社長の意に沿った、新商品案を提案することができました。
 
社長はA、Bチームをそれぞれ評価した上で、Bチームの案を採用しました。
 
この例を見てみると、PDCAサイクルを回すポイントをしっかり押さえられたかどうかが、プロジェクト成功の明暗を分けたことがわかります。
是非、これまでの記事を振返りながら、今回の成功・失敗事例を読み解いて頂けると、より学びが深まることと思います。
 

原 佳弘(Hara Yoshihiro)

Brew(株)代表取締役。人材育成プロデューサー/マーケティングコンサルタント、中小企業診断士、中小企業基盤整備機構認定 人材支援アドバイザー。1973年生まれ。横浜市立大学卒業。(旧)建設省所管の市場調査機関にて経営企画を担当後、法人向け研修・コンサルティングを行う会社へ。階層別研修から営業やマーケティングなど専門領域の研修やコンサルティングの設計を10年以上行う。2014年、Brew(株)設立。専門分野を持った300人以上の講師コンサルタントとパートナーを組み、企業課題に応じたマーケティングコンサルティングや人材育成を企画提供している。著書に「研修・セミナー講師が企業・研修会社から選ばれる力(同文館出版)」がある。

イラスト/ちぎらはるな