HOME > オフィスづくりに役立つコラム > 働き方用語辞典 「近接性バイアス」
2024.2. 5[ その他 ]
働き方用語辞典
「近接性バイアス」
近接性バイアス
物理的に距離が近かったり、対面で接する時間が長い人に対し
より親近感が増し、優遇したくなること
「近接性バイアス」とは、対面で会う機会が多かったり、接触時間の長い人や自分と関係の近い人、以前からの顔見知りの人などにより好感を持ち、無意識に高く評価する一方、接触機会の少ない人を低く評価してしまう現象です。
ビジネスシーンにおいては、経営層と近い座席にいたり、話す頻度が多い人が評価されやすい、といった現象として知られています。近年、新しいパターンの近接性バイアスとして世界的に注目されているのは、ハイブリッドワークやABWといった柔軟な働き方の浸透による影響です。
コロナ禍では多くの人が在宅勤務を経験し、制度も整備されましたが、アフターコロナでオフィス回帰が進んだことで、ハイドブリッドワーク出社組と在宅勤務組が生まれました。その結果、出社が多い上司が、介護や育児などやむを得ない理由で在宅勤務を選択する社員より、出社する社員を優遇してしまう近接性バイアスが発生しやすい状況が起きています。
■オフィスでの近接性バイアスの例
-
・全員出社型のオフィスでの例
物理的な距離や座席が近い、話す機会が多い社員に好感を持つ
-
・ハイブリッドワークオフィスでの例
上司や評価者が出社型の場合、接触機会の低い在宅勤務の社員よりも、出社型の社員の方に好感を持つ
■管理職のリモートワーカーについての意識調査(アメリカ)
アメリカの人材マネジメント関連団体「Society for Human Resource Management」が、2021年に800人以上の管理職を対象に、近接性バイアスに関する調査を実施し、以下のような結果が報告されています。
<管理職>
- ・42%:「タスクや業務を割り振る際に、リモートワーカーの存在を忘れることがある」
- ・62%:「フルタイムのリモートワークがキャリアに悪影響を与えると考える」
- ・67%:「リモートワ―カーはオフィスに出社する社員よりも替えが効く存在である」
- ・72%:「部下全員がオフィスで働くことを望む」
<リモートワーク社員>
- ・34%:「リモートワークを続けるとキャリアの機会が減る」
- ・29%:「リモートワークで働いていると能力開発の機会が減る」
この調査では、上司のリモートワーカーへの感じ方が業務分担やキャリアにも影響を与える可能性があること、リモートワーク社員がそれらに懸念を持っている様子がうかがえます。
■働き方による近接性バイアスを防ぐ方法
-
・ハイブリッドワークを推進する
経営層やリーダーが積極的にリモートワークを行い、在宅勤務しやすい環境を作ることで出社社員とリモートワーク社員の隔たり減らす
-
・会議は必ず全員参加にする
リモートワーカーとオフィス勤務者の全員が会議に参加できるように、在宅勤務者がいる場合はオンライン会議で行うようにする
-
・データや成果を基に客観的に評価する
心理的要因や人間関係、労働時間などの要素は払拭し、業績や数値、実績などで社員を公平に評価するようにする
-
・カジュアルなミーティングを活用する
日常会話や相談事のようなカジュアルなコミュニケーションを設定し、日々の勤務状況を把握したり信頼関係を構築する
社員が近接性バイアスによる不公平さを感じることは、モチベーションや生産性の低下、離職率の上昇など企業にとってもデメリットとなります。会社で研修を取り入れ、リスクや対策を認識させるのもひとつの手でしょう。
ネガティブな面が注目されがちな近接性バイアスですが、心理を利用してチーム組成時にメンバーと小さな接触機会を積み重ねてチームビルディングにつなげたり、よく見かける商品が買われやすいといったマーケティング手法にも活用されています。
おすすめ記事
連載コラム
学べるコクヨの
オウンドメディア
コクヨ公式SNS
働き方・家具・オフィス空間の
最新情報をチェック!